強弱混在の米指標、NY連銀製造業景況指数は乱高下継続
更新日:2023年08月16日(水)
米7月の米小売売上高は前月比+0.7%となって市場予想を上回る伸びを示し、米GDPを支える個人消費を下支え。そのいっぽうで8月のNAHB住宅市場指数は50となって市場予想の56を大きく下回り、予想外の低下。31で底打ち後に7ヵ月連続上昇で56となった7月からの急反落で、住宅市場の回復基調に急ブレーキ。
強弱混在となったこの日発表の米指標では、NY連銀製造業景況指数も低調。
8月は-19.0となり、市場予想の-1.0を大幅に下回って7月の1.1からは-20.1ポイントの急低下。続落で5月(-31.8)以来、3ヵ月ぶりの低水準。
乱高下が続くこの指標、6-7月の2ヵ月連続のプラス圏推移は2021年12月以来、1年7ヵ月ぶり。
6ヵ月移動平均では8月時点で-9.48となり、13ヵ月連続のマイナス圏推移。マイナス圏推移の長さでは2015-16年以来、マイナスの深さではコロナショック時を除けば2008-09年の金融危機以来。
構成指数では、新規受注と出荷がいずれも3ヵ月ぶりのマイナス圏、それも2桁へと落ち込んで景気失速状態を示唆。価格指数は仕入れ・販売いずれも2020年夏以来、ほぼ3年ぶり低水準となった前月から10ポイント弱の急反発でインフレ鈍化一服の兆し。雇用指数は半年ぶりにプラス圏を回復して7ヵ月ぶり高水準となった前月から反落で再びマイナス圏入り。
そんななか、半年先の見通しを示す期待指数は19.9となり、昨年3月以来、1年5ヵ月ぶりの高水準。昨年7月の-6.2が大底となり、11月に-6.1の二番底をつけて以降はプラス圏を回復して上昇基調、直近3ヵ月は2桁水準での堅調推移。
また、雇用見通しも24.9で前月から10ポイント超の上昇で1年ぶり高水準、設備投資も前月から10超の上昇で4ヵ月ぶり高水準、テクノロジー支出指数も前月比+10超で7ヵ月ぶり高水準。
時系列的な強弱混在で上下動を繰り返す現況指数の動向により、NY連銀製造業景況指数は乱高下状態が続くなかでも、一足先に明るい見通しが強まりつつあるようです。
15日のNY金は-8.8ドル、0.45%安となって7日続落。7月10日(1931.0)以来1ヵ月ぶり安値圏で下げ止まれず。7日続落は今年最長、昨年7月以来で1年1ヵ月ぶり。1940ドル付近から1930ドル台半ばへと軟調推移が続いた時間外を経て、NY朝には米7月小売売上高の好結果を好感する形でドル高急進となったことを受けて1930ドル割れへと急落。しかし同時に発表されたNY連銀の8月製造業景況指数が低調となったこともあり、巻き戻しの流れへ。さらに、その後発表された8月のNAHB住宅市場指数の下振れを受けて1940ドル台へと小幅に急上昇。しかしこれも続かず、米10年債利回りが4.2%割れでは下げ渋って反発、ドル安も限定的となりNY引けにかけて1930ドル台半ばへ。ミネアポリス連銀カシュカリ総裁 の「インフレ率は依然として高すぎる」発言なども重石となってNY引け後には1930ドル付近へ。1960ドル台の節目割れに伴う短期下値目安1940ドル近辺到達後の一段安の目安、1920ドル近辺に向けた軟調局面継続の様相も、過熱感などからの反発も意識されやすいところ。
NYプラチナは-14.6ドル、1.61%安で3日続落。昨年10月19日(881.1)以来、10ヵ月ぶりの安値。アジア時間には900ドル台半ばでの小幅保ち合い、ロンドン市場では900ドルの大台割れ、NY朝には金の急落局面に追随すると890ドル割れ。安値では一時880ドル付近まで下げながらも、巻き戻しの展開にもしっかり追随して890ドル台を回復。890ドルから920ドルまでの安値保ち合い下限を下ヒゲで割り込みながらも、なんとか維持した格好。これを維持し切れなくなれば870ドル近辺までを目安に一段安の展開へ。
ドル円は5銭のドル高円安、0.03%の小幅高で7日続伸。昨年11月9日(146.39)以来9ヵ月ぶり高値圏で十字線を形成。7日続伸は今年最長で昨年10月以来、10ヵ月ぶり。東京市場では145円半ばでの小幅保ち合い推移、上値は145円60銭付近まで、安値では当局の円安牽制発言などもありながら145円30銭付近までにとどまり、欧州序盤には145円80銭台まで上昇。これが高値となって失速するとNY朝には元の水準へ、強弱混在の米指標結果を受けて一時145円80銭台へと再浮上後には145円10銭近辺まで下落してこの日の安値。しかしNY午後にはカシュカリ総裁発言や米10年債利回りの下げ渋りとともに145円半ばを回復。過熱感も増すなかで、行き過ぎの目安は昨年10月高値(151.94)から今年1月安値(127.21)の76.4%戻し(146.10)近辺。調整目安としては9日移動平均線(143.86)、7月安値(137.24)から8月高値(145.85)の23.6%戻し(143.82)近辺まで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/15終値とチャート
16日の国内金価格は-17円、0.17%安で3日ぶりの反落。8月10日(9695)以来、1週間ぶりの安値。9日移動平均線(9722)上抜けは維持しながらも、9日線自体の下落局面継続に合わせて失速。9720円の節目突破に伴う短期上値目標9850円近辺を目指す流れは序盤に腰折れ、最高値更新トライはいったん失敗。最高値付近での小幅保ち合いへ回帰の様相となり、9690円から9760円までが目先の主要レンジに。サイクル的にはいったん調整局面形成、もしくは時間調整も必要な局面にも。9690円を維持できないようだと大幅調整へ、9550円近辺までが下値目安に。すぐに9760円超へと切り返した場合には9800円程度までが上値目安に。
プラチナ価格は-49円、1.08%の続落で8月10日(4461)以来、1週間ぶりの安値。下落基調の9日移動平均線(4540)に上値を押さえられての下落局面が継続。9日線は7月末以降の抵抗線となり、7月半ば以降の下落トレンドも継続。中期的には5月高値起点の下落トレンドも継続。値幅的には2月安値(4289)から5月高値(5197)の76.4%戻し(4503)を達成し、いったん下げ止まるのにも都合の良い水準。下げ止まれない場合には4460円が重要なサポート、これも下抜けると一段安へ、4350円近辺までが下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格8/16とチャート
2023年08月16日(水)時点の相場
国内金:9,735 円 8/16(水)
▼17(
0.17%)
国内プラチナ:4,504 円 8/16(水)
▼49(
1.08%)
NY金:1,935.2 ドル 8/15(火)
▼8.8(
0.45%)
NYプラチナ:892.2 ドル 8/15(火)
▼14.6(
1.61%)
ドル円:145.59 円 8/15(火)
▲0.05(
0.03%)
8/15(火)のその他主要マーケット指標
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