日銀・FRB高官発言と米労働指標の好結果でドル円一段高
更新日:2024年02月09日(金)
東京市場の時間帯には内田日銀副総裁が「マイナス金利を解除しても緩和的な金融環境を維持」することになるとの見通しを示したことで円安が進行。NY市場ではリッチモンド連銀バーキン総裁の「利下げ前に、持続的で広範なディスインフレが必要」発言などを受けてドル高の流れも進行。
NY朝には米新規失業保険申請件数も市場予想を少し下回る好結果となったことをきっかけにドル一段高。
日銀としては事実上のマイナス金利解除を示唆する発言との解釈も可能ながら、当面の緩和政策維持への安心感も。FRBも市場の早期利下げ観測払拭に躍起となるFRB高官の一連の否定的発言の流れ。
いずれも昨年12月の行き過ぎたドル安と円高の巻き戻しが急速に進行する形となり、ドル円は下げ幅の76.4%を巻き戻してなお、その勢いが続きそうな様子も。
この流れをサポートするように、米国の労働市場の強さを示す指標も続く状態に。
この日の新規失業保険申請件数も失業保険継続受給者数も、前週からは減少。
ただし、トレンドを示す4週移動平均ではいずれも反発基調。
新規失業保険申請件数の4週移動平均は、2023年6月以降の減少基調からはまだ抜け出し切れてはいないものの、コロナ後最少となった2022年10月の大底を下回ることなく、2023年1月底値手前で折り返し、コロナ直前水準21万件近辺で下げ渋る状態に。
継続受給者数もコロナ後の大底からは増加傾向が継続中、コロナ直前の水準188万人付近で足踏み状態。いずれもコロナ直前水準を明確に上抜けると、徐々に増加傾向が強まる可能性も。
持続的で広範なディスインフレに向けて、労働市場も逼迫緩和への流れが少しづつ、進行しています。
8日のNY金は-3.8ドル、0.19%安で3日ぶりの反落。アジア時間には2050ドル台前半が高値となって2040ドル台半ばへと軟調推移、ロンドン市場では2050ドル台再トライ後に急反落。ドル高の流れが強まったことでNY朝にかけて2040ドル割れ、米新規失業保険申請件数が予想を下回る好結果となった場面では2030ドル台半ばまで下落。しかし20日移動平均線(2036.0)にサポートされるとドル安へと巻き戻しの流れに連れて急反発、NY午後には2040ドル台後半まで上昇。2040ドルの節目割れでは下げ渋る格好となって下ヒゲを残し、底堅さも確認した一方で上値も限定的。引き続き2040ドルから2070ドル台までのレンジで保ち合い継続へ。上方ブレイクなら2090ドル近辺、下方ブレイクなら2010ドル台が意識される展開へ。
NYプラチナは+7.1ドル、0.8%の反発。アジア時間からロンドン序盤にかけては890ドル台前半が高値となり、NY朝にかけて880ドル割れへと軟調推移。昨年11月14日安値(867.1)以来、3ヵ月ぶりの水準で下げ渋るとNY金の反発局面に追随、NY午後には890ドル台を回復、高値では890ドル台半ばまで上昇。900ドルの節目割れに伴う短期下値目安11月安値(843.1)近辺トライは失敗。1月安値(883.2)を少し下回ったところで巻き戻しとなり、ダブルボトムの可能性も残した格好にも。ダブルボトム完成にはネックラインとなる1月末高値944ドル超えが必要。その前に右肩下がりの20日移動平均線(910.7)も推移する910ドル台が目先のレジスタンス。これを突破できればネックライン超え、970ドル台辺りまでを目指す流れにも。反面、880ドル台を維持できなくなれば860ドル台へと下値切り下げも。
ドル円は115銭のドル高円安、0.78%の続伸で昨年11月24日(149.42)以来、2ヵ月半ぶりの高値。東京朝に内田日銀副総裁のハト派発言を受けて148円近辺から148円40銭近辺まで急騰、その後も円安基調が続いて欧州時間序盤には148円80銭台まで上昇。148円70銭の節目超えではいったん上げ渋る展開にもなったものの、ロンドン・NY朝にかけては米10年債利回り上昇とともにドル高の流れも強まって149円台へと一段高。NY午後には149円40銭台まで上昇し、NY終盤にかけても149円30銭近辺を維持。上昇軌道の20日移動平均線(147.66)にもサポートされて高値保ち合いから抜け出す形となり、上値トライへの流れはもう一段進行し易い状況に。148円70銭の節目超えに伴う短期上値目標は150円台後半辺りまで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/8終値とチャート
9日の国内金価格は+76円、0.72%高で3日続伸。今年高値を更新し、過去最高値となった12月4日(10819)以来、2ヵ月ぶりの高値。10640円台の節目上抜けに伴う短期上値目標10680円台にも到達。12月後半から上昇局面が続いてきたなかで、1月半ば以降はRSIが低下基調となる逆行状態となって上昇圧力は枯渇。12月最高値から12月安値(10115)の76.4%戻し(10653)も達成し、一服状態には程良いタイミング。9日移動平均線(10596)が目先のサポート候補、割れると10520円近辺までの一段安も。
週間ベースでは+106円、1.0%の続伸。
プラチナ価格は+67円、1.46%の反発。4640円の節目割れに伴う短期下値目安11月安値(4521)近辺トライは失敗。中期三角保合い下値サポート割れを試したところで切り返し、中期トレンド崩れはいったん回避した格好。4670円の節目も突破できれば局面打開となって一段高トライへ、中期三角保合い中間ライン4700円近辺を突き抜けて今度は上限ライン、4800円近辺トライを目指す流れに。
週間ベースでは-5円、0.11%の小反落。
※参考:
金プラチナ国内価格2/9とチャート
2024年02月09日(金)時点の相場
国内金:10,691 円 2/9(金)
▲76(
0.72%)
国内プラチナ:4,651 円 2/9(金)
▲67(
1.46%)
NY金:2,047.9 ドル 2/8(木)
▼3.8(
0.19%)
NYプラチナ:894.0 ドル 2/8(木)
▲7.1(
0.80%)
ドル円:149.33 円 2/8(木)
▲1.15(
0.78%)
2/8(木)のその他主要マーケット指標
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