世界のプラチナ需給 2024年第3四半期
更新日:2024年11月27日(水)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2024年第3四半期の世界のプラチナ総需要は48.7トン。前期比-35.5%、前年比-10.8%で2年ぶりの低水準。投資需要が売り越しとなり、工業需要も減少など全般に低調。
総供給量は56.8トンで前期比-7.0%、前年比+5.4%で2四半期ぶりの低水準。需給バランスは8.1トンの供給余剰。供給余剰は3四半期ぶり。
※2024年通年見通しでは、総供給量は226.1トン。前年比+1.5%で3年ぶり増、2年ぶり高水準。総需要は247.3トン。前年比+0.4%で2年連続増、5年ぶりの高水準。需給バランスは21.2トンの供給不足。供給不足は2年連続となる見込み。
2025年見通しでは総供給227.8トン、需要244.6トンで16.8トンの供給不足見込み。
<供給>
■鉱山産出量:46.0トン 前期比-6.2%、前年比+6.6%、2四半期ぶり低水準。うち南アフリカ:33.4トン(前期比-4.9%、前年比+9.0%)、2四半期ぶり低水準。ロシア:5.3トン(前期比-5.0%、前年比+2.4%)。2カ国合計シェアは84.2%、2四半期ぶり低水準。
※2024年通年見通しは176.8トン。前年比+1.2%で3年ぶり高水準。2025年見通しは172.6トン。
■リサイクル:10.8トン 前期比-10.3%、前年比+0.3%。1年ぶり低水準。※2024年通年見通しでは49.4トン、前年比+2.8%で2年ぶり高水準、2013年以降では2番めの低水準。2025年見通しは55.2トンへと増加見込み。
自動車触媒リサイクルは2025年に向けて回復見込み、宝飾品スクラップも少しづつ回復に貢献見通し。
<需要>
■自動車触媒:23.3トン 前期比-6.8%、前年比-2.7%、7四半期ぶり低水準。
※2024年通年見通しでは98.7トン、前年比-1.6%で4年連ぶり減、2年ぶり低水準。2025年見通しは100.9トン、2.3%増で8年ぶり高水準となる見込み。ハイブリッド車への販売促進がプラス材料に。
■宝飾品:14.9トン 前期比-3.8%、前年比+7.2%で2四半期ぶり低水準。
※2024年通年見通しでは60.7トン、前年比+5.5%で3年ぶり高水準。2025年見通しは61.7トン、6年ぶり高水準に。インドの宝飾品需要が増加見込み。
■工業用:17.6トン 前期比-15.3%、前年比+15.3%。1年ぶり低水準。
※2024年通年見通しでは75.7トン、前年比-0.6%で2年ぶり低水準。化学関連が-28.4%の大幅減、ガラス関連は+28.8%の大幅増。2025年見通しは68.9トン、5年ぶり低水準。
■投資:-7.0トン 3四半期ぶり売り越し。現物投資:3.08トン、前期比+70.7%、前年比-18.2%で2四半期ぶり高水準。ETF関連:-9.3トン、3四半期ぶり売り越し。
※2024年通年見通しでは+12.2トン、2023年の+12.3トンから小幅減、2年連続買い越し。現物投資:10.2トンで前年比-28.1%、ETF関連:+4.7トンで4年ぶりの買い越し。2025年は+13.1トン、6.9%増で3年連続買い越しへ。
★2024年通年見通しで、需要全体における自動車触媒の占める割合は39.9%で3年ぶり低水準。2025年には41.3%へ。宝飾品は24.5%で2年ぶり高水準。2025年は25.2%。工業用は30.6%で4年ぶり低水準。2025年は28.2%。投資は4.9%で2年ぶり低水準。2025年は5.3%へ。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は17.9トン。前期比+4.0%、前年比+1.8%。2四半期ぶり高水準。
NYプラチナの第3四半期平均価格は969.8ドル。第2四半期の988.6ドルから小幅反落、2四半期ぶり安値。ETFの売り越しとともに価格は下落。
※2024年通年見通しで消費需要は70.9トン。前年比-1.1%、2年ぶりの低水準。2025年見通しは71.6トン、2年ぶり高水準となる見込み。
26日のNY金は+2.8ドル、0.11%の小反発。アジア時間には前日安値を下回り、11月18日(2568.5)以来、1週間ぶり安値となる2605.3ドルの安値をつけて切り返すと2630ドル近辺まで反発。ロンドン序盤に2610ドル近辺まで下押し後、NY市場では一時2640ドル台を試す場面も。MY午後には2620ドルへと下値を切り上げ、NY引け後には2630ドル台へ。日足では十字線を形成して下げ渋り、反発への可能性も残した格好。ただしトランプ関税への警戒感とともにインフレ再燃懸念が重石となった面も。地合い回復に向けては20日移動平均(2667.5)上抜けが目先のポイントに。
NYプラチナは-14.6ドル、1.55%の続落で9月6日(918.7)以来、2ヵ月半ぶりの安値。アジア時間の940ドル台半ばが高値となり、小幅上下動を繰り返す形で軟調推移、ロンドン序盤に930ドル付近まで下落してNY朝には940ドル台へと反発もNY午後には930ドル割れを試す場面も。960ドルの節目割れに伴う短期下値目安930ドル近辺に到達し、NY引け後には930ドル近辺で下げ渋り。底打ちに向けては10月高値(1064.6)から11月安値(928.3)の23.6%戻し(960.5)、9日移動平均(958.7)近辺回復が目先の目標に。
ドル円は-112銭、0.73%の続落で11月8日(152.62)以来、半月ぶりの安値。東京朝の154円50銭近辺が高値となって軟調推移。トランプ次期大統領の関税発言「中国に追加関税10%、カナダ、メキシコには全輸入品に25%」を受けてカナダドルやメキシコペソが急落。ドル高急進の影響でドル円も一時的には小幅に上昇も、クロス円の軟調推移に同調する展開へ。東京午後には153円50銭台まで下落、欧州時間には154円20銭台までの反発を挟んでNY市場では戻り売り、安値では153円ちょうど近辺まで下落。154円半ばの節目割れに伴う短期下値目安152円半ば辺りまで、もう少しの下げ余地。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/26終値とチャート
27日の国内金価格は-84円、0.59%の続落。11月18日(13944)以来、10日ぶりの安値。前日の急落でも下げ止まり切れず、11月安値(13944)から11月高値(14722)の76.4%戻し(14128)にも急接近。これを下回るようだと全戻しが意識され、戻り売りの構図となって下押し圧力拡大への警戒感も。13940円の節目を割れると下値トライ再開、短期的には13800円割れをかけた攻防へ。
プラチナ価格は-73円、1.46%の続落。10月10日(4936)以来、1ヵ月半ぶり安値圏での一段安。9月安値(4554)から10月高値(5586)の61.8%戻し(4948)も達成し、RSIも28.4%へと過熱、下げ止まるには都合の良い水準に。過去の推移から、10月安値圏4900円前後も比較的サポートされやすい水準。地合い回復に向けては90日移動平均(5016)回復が目先のポイントに。
※参考:
金プラチナ国内価格11/27とチャート
2024年11月27日(水)時点の相場
国内金:14,141 円 11/27(水)
▼84(
0.59%)
国内プラチナ:4,938 円 11/27(水)
▼73(
1.46%)
NY金:2,621.3 ドル 11/26(火)
▲2.8(
0.11%)
NYプラチナ:929.9 ドル 11/26(火)
▼14.6(
1.55%)
ドル円:153.10 円 11/26(火)
▼1.12(
0.73%)
11/26(火)のその他主要マーケット指標
PCEインフレ10月は予想どおり反発でドル売り一服も 11/28(木)ドイツIFO景況感11月、製造業もサービス業も反落で底打ち失敗 11/26(火)NY金の反発局面に追随、国内金価格も61.8%戻し達成 11/25(月)米欧逆行の11月PMI、ユーロ圏は予想以上に低調 11/23(土)
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