財政的な緊急援助などにより破綻危機から救済するこを意味するベイルアウト(bailout)、通常この場合には外部の第三者が救済にあたることを指します。
これに対して、内部から救済するという意味で、ベイルイン(bailin)という言い方があります。
債権者による債務の削減・減免、返済猶予などにより負担することを指します。
銀行の場合、一般的に公的支援のことをベイルアウト、銀行自らの負担、つまり預金者も含めて負担するケースがベイルイン、ということになります。
かつて、日本国内の銀行が相次いで破綻した1990年代、大手銀行に対しては政府が多額の公的資金を投じて救済に当たりました。我々の税金がつぎ込まれたこの救済方法は、ベイルアウト方式ということになります。
2008年のリーマンショック後の金融危機時の米国でも同様にこのベイルアウト方式で公的資金による救済が行われました。
この方式は、納税者による反発も買うことになりました。
今回、2013年3月のキプロスの救済措置に際して、キプロスの銀行への預金課税の問題が話題となっていますが、このベイルインの考え方は過去の歴史を背景に議論されてきた手法のようです。
結局、キプロスでは10万ユーロまでの預金は全額保護され、10万ユーロ超の預金だけが一旦凍結され、その一部がベイルイン対象資本とされる方向のようですが、ユーログループ議長のダイセルブルーム氏が「キプロスのケースがユーロ圏の銀行危機におけるテンプレートに」と失言してしまったことが騒ぎを大きくしました。
キプロスは特殊なケース、と取り繕いましたが、EU新法でも大口預金者に負担を求める必要、との有力議員のコメントも報じられています。
現在、ユーロ圏で検討中の銀行同盟にも、このベイルインの考え方が検討されているようです。
ユーロ圏の金融機関を監視し、預金保険や銀行破綻処理基金などの役割も担う銀行同盟では、銀行預金に1%の課税を行うことによってファイナンスするという方式が検討対象となっているもよう。
南北格差も懸念されるユーロ圏では、ドイツを中心とした北部ユーロ圏から南欧へと救済資金が流れる構図ができあがりつつあります。
預金者もリスクを負うべき、とするベイルインは、そんな北部ユーロ圏主導の考え方。北部ユーロ圏のひとつ、オランダのダイセルブルーム氏の発言も、思わず飛び出した本音かもしれません。
最終更新:2013年03月29日