ECB(欧州中央銀行)では支払い能力のある銀行のみをリファイナンスオペの対象としている。従ってECBの基準を満たさない銀行はECBからの流動性供給を受けることができない。目安として3大格付け会社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)が投資不適格級と見なす、BB+(ムーディーズはBa1)以下に格付けした銀行についてはECBも見放す、ということのようだ。
ECBからの救済を受けることができないと判断された銀行は、それぞれの国の中央銀行へ支援を打診することになる。
その国の中央銀行が支払い能力ありとみなせば、その中央銀行から該当銀行への支援を行う。これをELA(緊急流動性支援):Emargency Liquidity Assistance という。
但しこのELA、ECBの資産項目に計上されていると見られ、ECB政策委員会の承認も必要。
支援に伴う担保や金利などは該当国の中銀に委ねられ、その内容については明らかにされていない。
焦げ付いた場合にもその中銀が責任を負うという。
先日、6月25日にも米格付け会社フィッチが地中海の島国キプロスの国債をジャンク級となるBB+に格下げ(ムーディーズ、S&Pは既に同等の格付けにランク済)したことで、同国の金融機関はELA(緊急流動性支援)を利用しているものと思われる。
ECBの目が行き届かないところは各国中銀で面倒を見なさい、という状態であり、事実上「最後の貸し手」機能は各国中銀が果たしているようです。
今、欧州ではこのブラックボックス状態のELA(緊急流動性支援)の規模が急拡大しているようです。
このいびつな関係を改善する為にも、銀行同盟の早期実現が必要なのかもしれません・・・。
最終更新:2012年07月03日