金プラチナ短期相場観
新興国市場を無視して緩和縮小へと向かうFRB
更新日:2013年8月26日(月)
FRBによる量的緩和縮小による新興国経済への悪影響は、先週末行われたジャクソンホールのシンポジウムでも議題となり、株安・通貨安が続く新興国への考慮も必要との声も上がっていたようです。IMFのラガルド専務理事は「緩和解除の際には世界経済への影響を抑え、各国中銀の強調が重要」と延べ、黒田日銀総裁も量的・質的緩和の評価に加えて国際的な連携の重要性にも言及。
しかし、アトランタ連銀のロックハート総裁は「FRBは米国の利益を念頭に置いた責務だけを負う」、セントルイス連銀のブラード総裁は「新興国市場のボラティリティだけに基づいて政策を策定することはない」などと発言。
もっともなことではあります。実質円安政策を推進し始めた日本を避難する声が少々出ようとも、緩和策を強力に推進し続ける日銀総裁の「国際的な連携」という言葉に説得力はあまりなさそうです。
いずれにしても、FRBはQE縮小に向けて進んでいることは間違いありません。
ただ、縮小開始に向けた不透明感により、本来、相関関係の強い米10年債金利とドル円の関係が薄れてきています。
不透明感の払拭=緩和縮小開始決定、となれば、市場への織り込みも進み、米10年債金利とドル円の相関関係も強まり、新興国市場の混乱も次第に収束方向へと向かうのではないでしょうか。
その時には、米10年債金利と同様に上昇を続けるNY金相場も、本来の逆相関の関係がもう少し強まる可能性も高そうです。
週明けの国内金価格は、1.45%の大幅続伸で6月7日以来となる4,600円台へ。先週末のNY市場の大幅上昇で押し上げられ、短期目標4,620円も目前。ただしNY金には目標到達による一服感が見え始めており、国内金価格の目標突破は為替のドル高頼みか。サポートラインとなりそうな水準は4,550円、4,500円。その下4,440円が下方向の節目で、割れると潮目が変わってしまうライン。
プラチナは0.12%の小幅続伸。先週末目標到達した5,070円が2週連続の上昇目標となっていたことで、早々の停滞感は妥当。次の上値目標5,270円への可能性は現時点ではまだまだ低く、多少の反落も必要か。やはり、現在98円台で揉み合いを続けるドル円相場の動向次第か。
※参考:金プラチナ国内価格8/26とチャート
- 2013年8月26日(月)時点の相場
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国内金 : 4,606 円 8/26(月) ▲66(1.45%) 国内プラチナ : 5,096 円 8/26(月) ▲6(0.12%) NY金 : 1,395.8 ドル 8/23(金) ▲25.0(1.82%) NYプラチナ : 1,541.6 ドル 8/23(金) ▲1.5(0.10%) ドル円 : 98.71 円 8/23(金) +-0.00(0.00%)
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