金プラチナ短期相場観
既に色あせた有事の金、ここからは利上げ時期確認フェーズへ
更新日:2014年3月25日(火)
G7首脳会議では、ロシアがクリミア編入を撤回するまでのG8参加停止と6月開催予定のソチG8への不参加、ブリュッセルでのG7開催を決定。ロシア側もG7側も、もう後には引けないような状態となり、ウクライナ情勢不安から始まった問題は、クリミア危機を経てロシア危機へ、そして新冷戦状態へと進み出した様子です。
両者の対応は長期戦となりそうな気配もあり、何らかの突発的なリスクへの警戒感も残るものの、一触即発の雰囲気は徐々に後退し、地政学リスク的には少しづつ緩和方向へと向かっているようにも見えます。
日本国内では、そんなウクライナ情勢や中国経済への不安、新興国懸念などを背景にした「有事の金」と消費増税前の駆け込み需要で金貨の販売量が急増しているのだそうです。
中国では低調な経済指標が続き、新興国では今朝、ブラジル国債がS&Pによってジャンク債一歩手前の「BBB-」へと格下げされ、財政赤字に経常赤字、高インフレや高失業率などに苦しむ新興国のリスクも続きます。
しかし、やや色あせつつある「有事の金」よりも、先週のFOMCから始まった米国の「利上げ時期」を警戒するフェーズに入ってきている様子も見受けられます。
3月も終盤となり、寒波の影響から脱した経済指標も出始める時期。FRBの予想どおりに回復基調を裏付けるような指標結果が続くようなら、利上げ時期前倒しの可能性が高まることになります。
マーケットの主要テーマが「利上げ」となれば、金への下押し材料となることは避けられません。ただし、将来的に日本のインフレ率が上昇し、目標の2%を超えてさらに上昇するような局面が訪れた場合には、今度は金の買い材料へとなり得ます。
金の駆け込み購入も良いですが、消費増税後の4月以降に、むしろ買い場が訪れる可能性も十分にありそうな状況のようにも見えます。
NY市場、金相場は1.86%の大幅反落で2月13日以来の安値水準へ。下げ幅では1月のFOMC直後、30日の1.58%下落を上回り今年最大、昨年12月19日、テーパリング開始を決定したFOMC直後の3.35%下落に次ぐ下落幅。今回もウクライナ情勢の危機緩和に加え、FOMCでの利上げ前倒し懸念がじわじわと効いてきた様子。既に安値では1,310ドル割れまで下げており、目標水準となる1,300ドル前後まで、もう一段の下押しの可能性は高まる状況。
プラチナ相場は0.33%の小幅反落。金に連れ安も南ア労使交渉への警戒感もあってか、下げ幅は限定的。しかし流れは下向き、目標水準1,400ドル近辺までの下落余地を抱える状況。
ドル円は0.05%の小幅反発。東京時間には102円60銭台まで上昇もNY時間にかけて102円10銭台へと下落。FOMC後は102円台前半での小幅レンジを形成中。方向感が見い出せない状況で上方向の節目103円30銭台か、下方向101円30銭台のどちらかへと向かう為の材料待ち。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/24終値とチャート
国内金価格は1.66%の大幅反落となり、下値目標水準4,490円近辺にいきなり到達。NY金にもう少しの下落余地が残る状況の為、若干の行き過ぎとなる可能性も。4,500円前後の価格帯は節目となり易い水準のはず。
プラチナは0.69%の続落。コンスタントな下落基調が続き、4,900円の大台ラインはサポートラインとはならず。下方向への節目となる4,870円から4,850円辺りまでの水準もサポートラインの有力候補。この付近で下げ止まらない場合は4,750円近辺まで下落余地拡大の可能性。
※参考:金プラチナ国内価格3/25とチャート
- 2014年3月25日(火)時点の相場
-
国内金 : 4,496 円 3/25(火) ▼76(1.66%) 国内プラチナ : 4,887 円 3/25(火) ▼34(0.69%) NY金 : 1,311.2 ドル 3/24(月) ▼24.8(1.86%) NYプラチナ : 1,431.2 ドル 3/24(月) ▼4.8(0.33%) ドル円 : 102.24 円 3/24(月) ▲0.05(0.05%)
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