金プラチナ短期相場観
リスク警戒感に伴うドル高の巻き戻し、例外はブラジルとプラチナ
更新日:2014年10月3日(金)
米国のエボラ出血熱への警戒リスク、香港民主化デモへの警戒リスク、中東でのイスラム国対応リスク、26日のウクライナ総選挙に向けての情勢悪化とロシア動向、欧米との対立への警戒リスク、そして急速に進み過ぎたドル高の流れへの警戒リスク、さらには9月23日時点で発生したとも言われるヒンデンブルグ・オーメンへの警戒リスク。様々なリスクへの警戒感が高まるなかで迎える米雇用統計への警戒感。
そんななか、米株は前日の急落からの反発も限定的となり、欧州株はECBの量的緩和見送りに伴う期待ハズレ感からの大幅続落、ドル高円安の流れの調整局面は継続。これに伴い、昨年5月と今年1月末と同様、急速に高まっていた新興国通貨安リスクも一服となっています。
9月に急速に進んだ新興国通貨安の流れは10月に入って巻き戻され、南アランドもトルコリラも、インドネシアルピアも反発し、対ドルで買われる傾向となっています。
しかし、唯一例外となっているのがブラジルレアル。9%以上のレアル安が進行した9月の流れが止まらず、10月に入ってさらに2%のレアル安が進行。
ブラジルでは、今週末に迫った大統領選挙への警戒感が高まっています。最近の世論調査でルセフ現大統領の支持率が優勢となっていることが要因で、ルセフ大統領続投では経済改革は進まず、今の景気低迷状態からの脱却は不可能と見る、市場のブラジル経済に対する警戒感も高まり続けます。
さらに例外となっているのが、プラチナ。ドル高調整に伴う下げ止まり感も見せ始める金とは対照的に、独歩安状態。
ECBの量的緩和見送りなどに伴う欧州株安と同じ理由で下落、という一面もあるにしても、その範疇を超えた下落基調が続いています。結果的に金との価格差は昨年6月末以来となる54ドルへと急縮小。当時もQE縮小開始への警戒感に伴う市場混乱の時期。現在はQE完了時期にあり、利上げ時期を巡る警戒感を背景としたドル急騰にともなう市場混乱期とも言えます。
そんな時期には極端な流れに陥りやすいプラチナ相場はしばしば急落局面を形成し、金とプラチナの価格差は縮小しがち。2013年1月以来となる価格差逆転への警戒感を高めつつ、歴史的安値水準への警戒感も高まってきました。
2日のNY市場、プラチナ相場は1.44%の大幅安で3日続落、2009年9月以来の安値水準に。下方向への勢いに減速感はまだなく、雇用統計の結果に関わらず下値が警戒される状況。長期上昇トレンドの61.8%巻き戻しライン、1,210ドル付近が当面の警戒水準に。
金相場はわずかに0.4ドルの小幅安。ドル高調整に伴う買い戻しはこの日も限定的、雇用統計を通過するまでは警戒感が続く様子。安値では1,200ドル台、高値は1,220ドル近辺、終値で1,210ドル台というパターンは3日連続、1,210-20ドル台の鍋底レンジの状態も9日め。雇用統計の結果がポジティブ・サプライズでなければ反発必至の状況。レンジ上限となる1,220ドル台後半辺りまで反発すると短期的な上昇基調を強める可能性。逆のケースなら1,200ドル割れも。
ドル円は0.43%の続落。調整局面継続となり、108円70銭のサポートラインを下抜けると円高方向へとやや加速、108円ちょうど付近までの下押し。もう一段の調整が入る可能性が高まり、円高方向への目標水準は107円60銭近辺。円安方向には109円70銭がレジスタンスラインに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/2終値とチャート
3日の国内金価格は円安調整とNY金横ばいの結果、0.46%の反落。90日移動平均線がサポートの役目を果たせず、下方向への流れがやや加速。4,490円前後の下値目標へと向かう確率は高まり、雇用統計の結果次第ではオーバーランの可能性にも警戒。
プラチナは2.18%の大幅安となり3日続落。2月7日の4,678円以来8カ月ぶりの安値水準となり、1月27日の2.29%下落に次ぐ下落幅。下値目標水準4,700円前後に早くもほぼ到達してしまった形ながら、下げ止まり感に乏しい状況。今年最安値、2月5日の4,664円辺りも意識されるところ。
※参考:金プラチナ国内価格10/3とチャート
- 2014年10月3日(金)時点の相場
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国内金 : 4,538 円 10/3(金) ▼21(0.46%) 国内プラチナ : 4,711 円 10/3(金) ▼105(2.18%) NY金 : 1,215.1 ドル 10/2(木) ▼0.4(0.03%) NYプラチナ : 1,269.1 ドル 10/2(木) ▼18.6(1.44%) ドル円 : 108.41 円 10/2(木) ▼0.47(0.43%)
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