金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

焦点のぼやけたリスクオフの流れに

更新日:2014年10月10日(金)

米FRBのフィッシャー副議長は、QE3終了後もゼロ金利が継続されるであろう「相当な期間(considerable time)」は「2カ月から1年」であると発言しています。かつて「6カ月」と失言し、物議を醸したイエレン議長の師匠格だけあって、うまく焦点をぼかした表現です。2015年の早々にでも、いや後半、半ばには、と意見の分かれるFRB関係者の発言が飛び交うなかにあって、経済指標次第で早まることも、遅れることもあり得ることを強調した大人の表現と言えそうです。

昨日のFOMC議事録の内容に反応した市場は、その利上げ時期が早まることはないだろう、と解釈し、NYダウは今年最大の上げ幅を記録していました。
ところが、その翌日のNYのダウは一転、今年最大の下げ幅となっています。
NYダウ・日足チャート 2014/9/12 - 10/9市場の不安心理を象徴するようなチャートです。
欧州景気の落ち込みによるリスク警戒感の高まりもあるでしょう。ドイツDAXは8日に今年安値を更新し、英FTSEは9日に今年安値を更新しています。
しかし、欧州景気減速懸念は以前から高まっていたことであり、昨日のFOMC議事録のなかでも警戒視されていたこと。むしろ、それが及ぼす米国経済への影響が利上げ先延ばしにつながることを好感していたかのように急騰したNYダウが手のひらを返す展開に。

このところ低水準での安定推移が続いていたVIX指数も2月以来8ヶ月ぶりの高水準で今年4番目の高値となる18.76へと跳ね上がっています。
やや焦点のぼやけたリスクオフ状態となり、ドル高円安の巻き戻しの流れは、戸惑い気味に進行中、底値からの反発傾向にあった金とプラチナの流れもやや減速中。
日米ともに三連休入りとなり、閑散相場での仕掛け的な動きによる急変動にも警戒感が高まります。

NY金・日足チャート 2014/9/12 - 10/99日のNY市場、金相場は1.6%の大幅反発。日本時間早朝のFOMC議事要旨発表後の堅調推移は夜間まで継続し、1,230ドル台まで上昇。米新規失業保険申請件数で労働市場の改善基調が確認されると軟調推移へ。それでも2週間ぶりに1,220ドル台を維持して引けており、底値圏からの反発基調が継続、上値余地は1,230ドル台後半まで拡大。既に一時的には1,234ドルまで上値を試していること、3連休前であることから調整売りが入ることも。サポートラインは1,200ドル台。

NYプラチナ・日足チャート 2014/9/12 - 10/9プラチナ相場は0.9%上昇し4日続伸。昨日引け後の1,270ドル台を維持した状況で、一時1,290ドル台半ばまで上値を試す展開。昨年最安値圏でもあり、目先の節目となる1,300ドルの大台ライン手前で失速した形。急落で大底をつけての急反発という一連の流れを経て、勢いのピークは過ぎた状況。9日移動平均線を上回り、1カ月半ぶりに下向きのパーフェクトオーダー状態からは脱出したものの、大台手前での息切れからの反落も。

ドル円・日足チャート 2014/9/12 - 10/9ドル円は0.23%の小幅反落。調整局面継続で107円50銭台まで円高進行後、新規失業保険申請件数の好結果を受けて108円台へと反発。しかしNYダウの大幅下落に連れるようにやや軟調推移へ。調整局面の勢いにもやや翳りが見られるものの目標水準106円60銭近辺へと向かう可能性は維持。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/9終値とチャート

10日の国内金価格は前日比わずかに1円安。足踏み状態も下押し圧力はかなり緩和されており、戻り基調が継続中。上値目安として4,580円近辺までの可能性、サポートラインは4,500円台。
週間ベースでは+2円(+0.04%)、3週間ぶりの小反発。

プラチナ価格は4日ぶりの反落となり、1.24%の大幅安。10日前の目標水準4,700円前後まで戻し、行き過ぎたことによる反落。この近辺での揉み合い形成の可能性と、9日移動平均線に上値を押さえられたことによる反落の流れ継続の可能性も。当面のレジスタンスラインは4,740円台。
週間ベースでは-30円(-0.64%)となり、3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格10/10とチャート

2014年10月10日(金)時点の相場
国内金4,540 円 10/10(金) ▼1(0.02%)
国内プラチナ4,681 円 10/10(金) ▼59(1.24%)
NY金1,225.3 ドル 10/9(木) ▲19.3(1.60%)
NYプラチナ1,278.3 ドル 10/9(木) ▲11.4(0.90%)
ドル円107.83 円 10/9(木) ▼0.25(0.23%)

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