金プラチナ短期相場観
タカ派傾向の政府労働指標をけん制するFRBのLMCI:2014年11月分
更新日:2014年12月9日(火)
米FRBが発表した11月の労働市場情勢指数(LMCI)は+2.9。10月(改定値)の+3.9からは低下。
この指標の算出元となる指標は労働省が発表する指標であり、過去分の修正が常時行われる為か、このLMCIも過去分は広範囲に渡って改定されています。古いものはわずかな改定幅にとどまっていることにより、大きな流れに変化はありませんが、2014年分には大幅改定も加えられています。
2014年の数値は以下のとおり。(括弧内は修正前)
1月:2.9(3)
2月:3(3)
3月:5.1(5)
4月:7.2(7.1)
5月:6.6(6.4)
6月:5.5(5.3)
7月:3.5(3.2)
8月:3.2(2.7)
9月:4.5(4)
10月:3.9(4)
11月:2.9
この結果、全般に上方改定された2014年は4月の7.2をピークに減速傾向が鮮明となっています。先月発表された10月分時点では、好調時の目安水準となる4以上が2カ月続き、懸念されていた年後半の減速感を払拭したかに見えていたものの、今回分ではそれを否定する結果に。
プラスが継続していることで、雇用の回復傾向が続いていることを示しますが、9月以降はコンスタントに低下し、今年1月以来の低水準となり、目安の4を2カ月連続で下回り、6カ月移動平均でも4を割れ、昨年11月以来の低水準に。
2012年後半以降の安定した低回復傾向は継続中、しかし足元では、その回復スピードにも減速感が見え始め、さらにシフトダウンしかねない状況、と見ることもできそうです。
米労働省が発表した雇用統計のポジティブ・サプライズによってタカ派寄りに傾斜する流れをけん制するかのような結果となったLMCI、発表元はFRBです。
8日のNY金相場は0.38%の小反発。引け後には米株の急落とドル売りの流れが強まったことで1,200ドル台を回復。11月から続いた上昇トレンドの流れはレンジ相場へと移行。主要レンジ1,190ドル近辺から1,210ドルまでを中心とする範囲で多少上下のブレをはさみながらも、しばらくはこの水準近辺で変動エネルギーを溜め込む充電期間へ。目先は1,180ドルをやや割れる程度までの下落余地も。
プラチナ相場は0.81%の反発。上値は1,230ドル台後半まで伸ばす場面もあり、下値も少しづつ切り上げる流れを継続し、1,260ドル近辺までの上値余地も継続。ただし、ゆるやかな上昇トレンドの勢いは減速傾向にあり、やや不安定。1,210ドル台のサポートライン割れの場合に下値余地が大きく拡大するリスクも継続中。
ドル円は0.59%の反落。121円80銭台の高値を付けた後、調整局面入り。LMCIの数値が期待はずれとなったことも調整基調を後押しし、10月15日以来のしっかりとした下落率となり、121円40銭台が当面の上値抵抗線となる可能性も。調整の目安としては長時間の攻防を展開した120円ちょうど近辺、119円台前半までがメドに。117円台後半の節目を割れるほどの調整となった場合には、短期調整では済まなくなることに。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/8終値とチャート
9日の国内金価格は0.36%の小幅続伸。年初来高値更新が続く堅調推移にも、5,000円の大台を前にようやく減速感も。いったんは調整をはさむ可能性が極めて高く、もし大台突破の場合でも、その値幅も滞空時間も限定的にとどまる可能性大。4,900円程度までの調整はいつ入ってもおかしくない状況。
プラチナ価格は0.18%の小反落。6日ぶりの反落にしては限定的ながら、とりあえずは5,100円の抵抗線によって上値を抑えられた形。ドル円との30日相関係数が0.86台を維持し、短期的な相関関係が強い状況。円安一服に連れての調整局面継続の可能性。
※参考:金プラチナ国内価格12/9とチャート
- 2014年12月9日(火)時点の相場
-
国内金 : 4,985 円 12/9(火) ▲18(0.36%) 国内プラチナ : 5,085 円 12/9(火) ▼9(0.18%) NY金 : 1,194.9 ドル 12/8(月) ▲4.5(0.38%) NYプラチナ : 1,229.4 ドル 12/8(月) ▲9.9(0.81%) ドル円 : 120.68 円 12/8(月) ▼0.71(0.59%)
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