金プラチナ短期相場観
反緊縮のチプラス政権発足後、ギリシャの景況感は低下していた
更新日:2015年6月24日(水)
ユーロ圏とドイツ、フランスの6月製造業PMI速報値が発表され、いずれも事前予想を小幅に上回り、景況感の改善傾向を示しています。なかでもフランスは昨年4月以来、1年2カ月ぶりに節目の50を上回るサプライズ。ユーロ圏内最低水準をギリシャと競う状態から一歩抜け出し、ECBの量的緩和のサポートもあり、ようやく回復傾向への兆しを見せ始めました。
1月決定、3月スタートのECB量的緩和に呼応するように、ユーロ圏全般的に景況感の改善傾向が見て取れます。とりわけスペイン、オランダ、イタリアの好調ぶりが際立ちます。南欧勢2カ国にはやや意外感もありますが、高失業率などの問題を抱えながらも改善傾向が続いているようです。
同じ南欧勢でもギリシャだけはこの流れに乗り遅れています。1年前、緊縮財政下のギリシャは、下位グループながらもユーロ圏の水準を少し下回る程度での推移が続き、不調のフランスを常に上回る水準を維持してきました。
ところが、他のユーロ圏各国が景気回復傾向を示し始めた今年、反緊縮を謳うチプラス政権発足後のギリシャの景況感は低迷し始め、ユーロ圏との乖離が拡大、そしてフランスにも先を越される状況となってきました。
ギリシャでの製造業の占める割合は決して高くはないため、一部の景況感に過ぎませんが、国内経済状況がかなり順調ではないことは十分に示していそうです。
当然のことながら、ギリシャ国内では債権団との合意内容はチプラス政権の選挙公約に沿ったものになるべき、との声も上がっており、債務再編が盛り込まれるべき、早期退職金の即時削減を受け入れないないことなどが指摘されているようです。ギリシャ政府と債権団とは今週末合意に至る可能性は高まるものの、その後はギリシャ国内での波乱が予想されることになります。
市場からも愛想を尽かされつつあるギリシャでは、内憂外患状態のチプラス政権の厳しい戦いがまだまだ続きそうです。
23日のNY金相場は7.5ドル下落して3日続落。ギリシャ協議合意に向けての動きにドル買い優勢の流れで軟調推移。パウエルFRB理事の「早くて9月に利上げの可能性」発言で1180ドル割れ、1週間ぶり安値圏でサポートラインとなっている1170ドル台半ばまで下落。年内2回の利上げの可能性についてはまだまだ織り込み不十分の様子。1170ドルを割り込んだ場合には昨年の安値圏1130ドル台が当面の下値メドに。
NYプラチナ相場は6.9ドルの反発。前日の大幅下落からの反発で1075ドルまで買い戻されたところで戻り売り。南アランド建てプラチナ価格も12,800ランド台から13,000ランド付近まで戻しており、もう少し戻せば再び戻り売り圧力が高まる可能性も。NYプラチナ相場の下落基調はもう少し継続し、1040ドル台辺りまでの下落余地。
ドル円は0.47%の続伸。米5月の耐久財受注はやや弱含みも、新築住宅販売件数は予想を上回り米住宅市場の好調ぶりを示し、パウエルFRB理事発言でドル買いが加速。一時4日ぶりに124円台まで上昇。終値ベースでの123円90銭台も2週間ぶり高値圏となり、123円台半ばのレジスタンスラインを突破。現状の勢いでは上値のメドは124円台半ば程度までか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/23終値とチャート
24日の国内金価格は0.3%安となり3日続落、1週間前の水準まで押し戻され、上値トライも仕切り直しへ。5月15日に5000円台到達後1カ月以上も高値水準を維持した流れでは、上値をやや切り下げ、5020円のフラットなサポートラインとで三角保ち合いを形成中。下値警戒感が高まる状況となり、サポートライン割れの場合には5000円の大台割れ必至、4960円台辺りまでが下値メドに。
プラチナは4日ぶりの反発で1.1%の大幅高。前日の大幅下落の大半を取り戻し、4610円台の上値抵抗線も視野に。これを超えると4670円台までの反発余地も見込まれるも、まだ下値リスクのほうがやや優勢。下値メドの第2目標4400円台半ばまでの警戒感も残る状況。
※参考:金プラチナ国内価格6/24とチャート
- 2015年6月24日(水)時点の相場
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国内金 : 5,028 円 6/24(水) ▼15(0.30%) 国内プラチナ : 4,585 円 6/24(水) ▲50(1.10%) NY金 : 1,176.6 ドル 6/23(火) ▼7.5(0.63%) NYプラチナ : 1,067.5 ドル 6/23(火) ▲6.9(0.65%) ドル円 : 123.94 円 6/23(火) ▲0.58(0.47%)
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