金プラチナ短期相場観
ギリシャとユーロ、利上げと金
更新日:2015年6月30日(火)
ギリシャのデフォルト観測の高まりとともに世界同時株安の流れとなり、NYダウは今年最大の下げ幅となる350ドルもの下落で2月2日以来、ほぼ5カ月ぶりの安値水準となり、下落率1.95%は昨年10月以来8カ月ぶりの急落。NASDAQも2.4%、英FTSEも1.97%、ドイツDAXに至っては3.56%の下落で一時5%近くの大幅下落となる場面も。S&Pによるギリシャの格下げとユーロ圏離脱確率50%との見通しも欧米株市場の懸念材料となったようです。
株式市場の場合には、ギリシャ懸念だけでなく、中国株のバブル破裂気味の急落も大きく警戒され、上海総合指数は6月高値から20%以上もの下落となり、中国人民銀行の追加緩和でも下げ止まらない状況は今朝も続いているようです。
そんななか、ギリシャの通貨ユーロは対ドルで一時前週末比1.8%下落となる1ユーロ=1.09ドル台まで売られて反発すると、29日終値時点で1.12ドル台まで上昇し、前週末比0.67%のユーロ高ドル安となっています。ある程度積み上がったユーロ売りポジションの巻き戻しという側面もあるものの、ギリシャのデフォルトやユーロ圏からの離脱を最も早く織り込み始めている可能性もありそうです。
(国民投票では緊縮策受け入れとなり、デフォルトはあってもユーロ圏離脱はないものと予想しますが)
同様に、金市場でも一時的にはリスク回避の急騰となったものの伸び悩み、ギリシャ動向を織り込みつつ調整気味の動きとなりました。ただし、金市場にとってはギリシャ動向よりも重要な、米国の利上げ動向への警戒感という問題を抱え、その動向を占う重要指標の一つ、雇用統計を2日後に控える状況では、その反応も限定的とならざるを得ない、というところもありそうです。
5年もかけてユーロ圏を揺さぶり続けたギリシャ問題がクライマックスを迎える可能性が高まった局面でも、通貨ユーロの急落は一時的なものにとどまっている状況を見る限り、この後もし、本当にギリシャのユーロ圏離脱が現実化した場合には、さらにもう一波乱はありそうですが、その状況をある程度織り込んだユーロは、それほど極端な急落には至らないのではないかとも思われます。
同様に、2年以上かけて米国の利上げ観測が高まり続け、それなりに水準を切り下げてきた金市場は、年内利上げスタート確実とも見られる状況となった現在ではそれなりの底堅さも見せる状況となっています。利上げを十分に織り込みつつある金市場でも、実際に利上げがスタートした場合でも、一時的な急落はあり得るとしても、それほどの混乱はないのではないか、との推測もできそうです。
29日のNY金相場は前週末比5.8ドル、0.49%の上昇。週末のギリシャショックを受けての週明け朝の急騰で1187ドルまで急騰したのがこの日の高値となって以降は徐々に水準を切り下げる展開。ユーロが対ドルで急落スタート後に反発基調が続いたのと同様に、ギリシャのデフォルトを織り込んで行くに連れて元の水準を目指すような流れ。前週末水準1173ドルまで下げたところで欧米株の急落に呼応するように反発。結果的に下押し圧力が強まっていた状態がやや緩和され、1170ドル近辺に切り下げたサポートラインを維持する形で、下値トライへの流れもいったん仕切り直し。1170ドル近辺から1200ドル台までのレンジで揉み合い傾向へ。1160ドル台前半へと水準を切り下げるような流れとなった場合には、改めて今年最安値圏トライへ。
プラチナ相場はわずかに0.7ドル(0.06%)の小反発。1090ドル台後半までの急騰も一時的、逆に反落局面では1070ドル割れと乱高下状態。短期的な流れは上方向へと傾きつつあるものの1090ドルの抵抗線が超えられない。1160ドルの重要サポート水準との間でレンジを形成し、上値トライのチャンスをうかがう展開へ。
ドル円は1.09%の大幅反落。122円10銭台までの急落、窓開けスタート後123円20銭近辺まで戻したのが高値の限界、窓を埋めきれず。122円台後半での揉み合い後、サポートラインの下限122円台半ばまで水準を切り下げ。6月10日と19日の終値122円60銭台をわずかに下抜けたことで、ドル安円高方向へ加速しやすい状態に。目先の下値目標は90日移動平均線の121円付近。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.9%の大幅反落。5000円の大台へと1回戻したところで力尽きた形で4960円台の目標水準圏内に一気に到達。下方向への勢いがやや加速気味となり、4967円の90日移動平均線でサポートされない場合には4930円辺りまで下値余地拡大も。
月間ベースでは-87円(1.72%)となり3カ月ぶりの反落。
プラチナは0.24%の小幅続落。地合いはそれほど弱くはなさそうだが、NYプラチナの弱さと円高リスク浮上により、上値を押さえられる状況。4530円から4620円までが当面の底値レンジ水準、となるかどうか。
月間では-204円(4.27%)、3カ月ぶりの大幅反落。
※参考:金プラチナ国内価格6/30とチャート
- 2015年6月30日(火)時点の相場
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国内金 : 4,973 円 6/30(火) ▼45(0.90%) 国内プラチナ : 4,574 円 6/30(火) ▼11(0.24%) NY金 : 1,179.0 ドル 6/29(月) ▲5.8(0.49%) NYプラチナ : 1,081.4 ドル 6/29(月) ▲0.7(0.06%) ドル円 : 122.54 円 6/29(月) ▼1.35(1.09%)
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