金プラチナ短期相場観
ギリシャショックに上値限定、プラチナにも必要な忍耐と平静さ
更新日:2015年6月29日(月)
チプラス首相は28日夜、ギリシャ国民に対して「この先しばらくの間求められるのは忍耐と平静さだ」と演説しました。銀行預金や賃金、年金支払いが保証されることを訴え、ATMに殺到した国民に落ち着くよう諭し、自らにも平静さを取り戻すように言い聞かせているようです。
ELA(緊急流動性支援)の上限据え置きにより、最後の資金調達手段を失ったギリシャの銀行は7月6日まで休業となり、29日午後にはATMの稼働は見込まれるものの、引き出しは1日60ユーロまでの上限が設定される、とも伝えられます。2年前のキプロスに続き、資本規制が行われることになります。
次から次へと訪れる返済期限に向けてギリシャ政府は奔走することになり、今後はキプロスと同様に銀行預金への課税というベイルインが適用される可能性も出てきそうです。
債権団側に一度は拒否された6月末期限切れの金融支援延長を再度要請したとも伝えられ、まだまだ流動的な部分も残りそうです。
週末のギリシャショックにより、週明けのマーケットはリスク回避方向へと乖離し、ユーロ安ドル高、円高、金高、株安でのてのスタートとなりました。
ドル円は先週末の1ドル=123円台後半から122円割れ寸前まで下げて反発、最近のレンジ下限となる122円台半ばでしばらく揉み合った後123円台を回復。日経平均も一時500円安の状態から350円安程度まで買い戻されているようです。
NY金も先週末の1170ドル台前半から一時1180ドル台後半まで上昇、その後は1180ドル台前半で落ち着き始めた様子。NYプラチナも金に追随する形で1080ドルから一時1090ドル超へと反発。しかしこの後の調整幅が大きく、先週末水準を下回る1070ドル台半ばへと水準を切り下げています。
金に連動するリスク回避の買い材料と、欧州経済低迷リスクに伴う売り材料が交錯するプラチナにとっては、ギリシャショックは売り買い交錯の不安定要因となっているようです。底値反発の兆しも見え始めていたNYプラチナ相場にとっても、忍耐と平静さが必要な局面となってきました。
29日の国内金価格は6営業日ぶりの反発となり0.42%の上昇。ギリシャショックを受けてNY金が先週末比10ドルほど急騰、ドル円はリスク回避の円高で朝一に122円10銭近辺まで下げた後に反発。結果的に最近の傾向どおり、5000円の大台ラインを素通りすることなく、いったん反発。しかし、直近のレンジ下限5020円台にもわずかに及ばず、短期下落トレンド中の戻りの範囲内。流動的なギリシャ動向にも左右される状況が続き、反発傾向継続の可能性と4960円台辺りまでの下落リスクとの均衡状態に。
プラチナは4日ぶりの反落で0.67%安。NYプラチナも先週末比10ドル超の反発も見られたものの、1090ドルのレンジ上限では戻り売り圧力が強い様子。金と比較して地合いの弱さが再び露呈され、国内価格反発への足を引っ張る状況となり、4670円台を目標とする上値トライの流れも仕切り直し。4530円から4620円のレンジで方向感を見いだす展開へ。上値がやや重い状況のなかで再度レンジ上限超えなら、あらためて4670円台辺りまでの反発基調がスタートする可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格6/29とチャート
- 2015年6月29日(月)時点の相場
-
国内金 : 5,018 円 6/29(月) ▲21(0.42%) 国内プラチナ : 4,585 円 6/29(月) ▼31(0.67%) NY金 : 1,173.2 ドル 6/26(金) ▲1.4(0.12%) NYプラチナ : 1,080.7 ドル 6/26(金) ▼3.7(0.34%) ドル円 : 123.89 円 6/26(金) ▲0.27(0.22%)
ギリシャショックに上値限定、プラチナにも必要な忍耐と平静さ 6/29(月)
グレグジットを問う国民投票へ、ブレグジットにフレグジットも? 6/27(土)
米5月個人消費支出は6年ぶり高水準で物価動向のサポート材料に 6/26(金)
形成逆転で下値警戒感高まるNY金、NYプラチナは反発へ? 6/25(木)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン