金プラチナ短期相場観
結果にコミットしたギリシャ、本当にスリムになれるか
更新日:2015年7月11日(土)
今朝、ギリシャ議会はチプラス首相が前日債権団へ提示した財政改革案を承認しました。1週間前にギリシャ国民が「OXI(=No)」とした内容に近いことでギリシャ議会通過を疑問視する見方もあったなかで、最初の関門を乗り越えたことになります。今週、チプラス首相は「ギリシャは財政目標達成にコミット」することを公言し、ユーロ圏各国首脳の間でも評価される財政改革案を提示、そしてこれを正式にコミットした形です。
14日に償還期限を迎える117億円分のサムライ債、20日償還期限のECB保有国債35億ユーロなど、次週以降続々と迎える償還期限を前に、デフォルト回避に向けた最後のチャンスとなるこの土日の支援協議へ一歩前進。
EU側としても財政改革内容を評価し、新たなギリシャ支援へと妥結に向かう可能性も高まってきたかもしれません。しかし、向こう3年間分の債務返済を賄う為の資金となる535億ユーロと言われる融資額と債務減免についてはそう簡単には要求が通るとも考えられません。もし、要求通りの内容が全て承認されるようなら、ポジティブ・サプライズで週明けの市場はリスクオン全開の流れとなりそうです。
3年分の期間は短縮され、債務減免はヘアカット以外の部分で金利減免と期間見直し程度が落とし所ではないかと想定されます。この辺りで妥協ラインが見出だせない場合には3週連続のネガティブ・サプライズに。ただし、その場合でも妥結に向けての協議延長となり、20日の期限に向けて何らかの対策が検討されるのではないか、とも考えられます。
当面のデフォルトを回避できた場合でも、ギリシャ国民の政権不信は高まり、緊縮反対の国内デモは続き、コミットしたはずの財政改革が予定通り進むのかどうか、本当に財政的にスリムな状態に戻せるのかどうか、にも疑問が残ります。最長で3年、もしくは2年、あるいは1年後には再び財政支援協議が再開される可能性も残ります。当座の問題は、ギリシャの持続可能な期間を債権団側がどれだけ認めるのか、どれだけの支援額にコミットするのか、ということになりそうです。
10日のNY金相場は0.11%の小幅続落。ギリシャ支援協議合意期待の高まりに伴うリスク回避の巻き戻しで株高円安傾向の流れが進むなか、対円以外ではドル売り傾向が強まったこともあり、金の売りも限定的。1160ドルをはさんで小動きとなった値幅は8.1ドルにとどまり、今年の平均値幅17ドルの半分以下。1150ドルから1160ドル台前半までにレンジを縮小し、週明けの変動幅拡大に向けた準備状態に。下方向へ動き出すと昨年安値1130ドル台、上方向なら1190ドル近辺が目先のメドに。
週間ベースでは-5.6ドル(0.48%)の小幅安で3週続落。
プラチナ相場は0.97%高となり、6日ぶりの反発。株高の流れに同調しての反発の流れも1040ドルが抵抗水準となって上値を押さえられる状態。今週の急落局面での行き過ぎ状態から、当初の下値メド1040ドル近辺まで戻しては反落する流れが継続。戻り売り圧力が高まる1040ドル近辺が当面の上値抵抗線となって底値圏での揉み合い状態がしばし継続か。目先は1020ドルが重要サポート水準となり、早々に下抜けた場合にはもう一段の大幅安で大台割れの可能性も。
週間では-51.3ドル(4.73%)の大幅反落。
ドル円は1.23%の大幅続伸。リスクオン傾向に伴うコンスタントなドル売り円売り、イエレンFRB議長の改めての年内利上げ肯定見通し発言にはドル買いが強まり、ドル円ではドル高円安の流れが一方的となり、水曜日の急落分を取り戻す大幅上昇。5月14日安値118円80銭台と6月5日の今年高値125円80銭台を頂点とした三角保ち合い上方ブレイク目前となり、このまま123円台前半へと水準を切り上げると、ドル高円安の流れがさらに加速、高値再トライへ向かう可能性。週明け、市場の期待を裏切るような事態が発生するようなら、円高方向へと大きく切り返すことに。
週間では+0.11円(0.09%)の小幅反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/10終値とチャート
- 2015年7月11日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,868 円 7/10(金) ▲43(0.89%) 国内プラチナ : 4,313 円 7/10(金) ▲34(0.79%) NY金 : 1,157.9 ドル 7/10(金) ▼1.3(0.11%) NYプラチナ : 1,032.3 ドル 7/10(金) ▲9.9(0.97%) ドル円 : 122.83 円 7/10(金) ▲1.50(1.23%)
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