金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

楽観ムードで臨むギリシャの3度めの週明け

更新日:2015年7月10日(金)

日本時間の本日早朝、ギリシャ政府は財政改革案を提示しました。日本の消費税に相当するVATと呼ばれる付加価値税の引き上げや年金改革、軍事費の削減に離島への軽減税率の廃止などを盛り込む内容は、6月26日にEU側債権団が提示していた内容に近い、との指摘も聞かれます。6月末のIMFへの債務返済期限切れを目前に最終決着するだろうと見られていたにもかかわらず決裂した時の内容に近い、ということです。
ギリシャ側が見返りに要求するのは535億ユーロの救済融資と基礎的財政収支黒字化目標の先延ばし。債権団側が内容精査を行った上で、週末のユーロ圏財務相会合、ユーロ圏首脳会議で最終決着へ。

焦点は、改革案の詳細レベルで債権団側が納得できるかどうかとギリシャの債務負担軽減措置。
IMFやユーロ圏内の一部でもヘアカット(債務元本の削減)を認めずしてギリシャの救済は無理、との意見もあるなかで、メルケル首相をはじめドイツではヘアカットは断固受け入れられないとの強硬姿勢。EUの規律違反となるへアカットは不可能との見方もあるものの、金利減免や返済期間延長などの軽減措置なら交渉の余地も。

6月26日の最終協議はチプラス首相の突然の国民投票実施宣言で決裂し、6月26日のEU側提示の財政改革案に反対か賛成かを問う国民投票が行われたのが7月5日。これも予想に反して反対多数。マスコミ報道では事実が詳細に伝わり切れなかったのか、市場の見通しが甘かったのか、もしくはチプラス首相やギリシャ国民の意外性が想定以上だったのか、いずれにしても2週続けて予想外の展開となり、週明けの市場は混乱しました。

3度めの楽観ムードも漂うなかで、ギリシャ国民も反対した2週間前の内容に近い財政改革案をたたき台に交渉に臨む今週末のユーロ圏とギリシャ。その結末は3度めの予想外の結果となり、3度めの混乱で週明けを迎えるリスクにも警戒しておく必要がありそうです。

NY金・日足チャート 2015/6/9 - 7/99日のNY金相場は小幅反落で1160ドル台を維持できず。新規失業保険申請件数が予想外に4カ月ぶりの水準に悪化したことを受けて1166.9ドルまで上昇したのが反発の流れのピーク。その後はギリシャの改革案提出への動きと救済策合意期待の高まりに連れて反落へ。底値反発への流れと下押し圧力とが拮抗しながらも後者優勢でジリジリと上値を切り下げる展開が継続。目先は1150ドルのサポートライン割れなら昨年安値1130ドル台が下値メドとなり、1170ドル台半ばを超えると1200ドル近辺が上値ターゲットとなる可能性も。

NYプラチナ・日足チャート 2015/6/9 - 7/9プラチナ相場は1.29%の下落で5日続落。前日の長い下ヒゲからの反発傾向も続かず、下げ止まらず。1080ドル近辺での揉み合い状態からの急落局面では下値メドをオーバーランし、通常なら下落エネルギーを十分に吐き出した状態にもかかわらず、地合いの弱さを露呈。しかし、終値では10ドルほど下落したのに対し安値では逆に10ドル水準を切り上げて反発への可能性も残す状況。下値警戒水準としては1000ドルの大台ラインと2009年2月安値940ドルも。

ドル円・日足チャート 2015/6/10 - 7/9ドル円は6日ぶりの反発で0.52%のドル高円安。中国政府の力技による株価下支えにとりあえずは日本株も急反発、リスク回避ムード後退により円高ドル安の流れも巻き戻された形。しかし反発値幅は前日の3分の1戻しにとどまり、あと2日で全値戻しとなり122円台後半へと戻せるかどうかが反発基調継続への分岐点。また、5月14日安値118円80銭台と6月5日の今年高値125円80銭台を頂点とした三角保ち合いも形成中。週明けに122円台半ばを超えると三角保ち合い上方ブレイクへと向かい、逆にこの水準で反落すると、再び120円台後半の節目が意識され、三角保ち合い下抜けリスクも高まる状況へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/9終値とチャート

国内金価格は0.89%高で4日ぶりの反発。今年3度めの4800円台前半での切り返しとなり、3番底をつけた形で当面の重要サポート水準となる可能性。円安方向へと切り返した流れがもう少し進行する余地もあり、目先のサポートに。90日移動平均線の4960円から4950円台辺りは7月初旬の揉み合い形成水準でもあり、この水準まで反発できるかどうかが今後の流れを左右する目安にも。
週間ベースでは-80円(1.62%)で3週続落。

プラチナは6日ぶりの反発で0.79%高。NYプラチナが心理的節目水準に近づき、サポートされる可能性も高まる状況となり、国内価格も下げ止まり期待は高まるものの、今週の急落局面が終了したかどうかの判断は週明けに持ち越し。とりあえず4270円台を割りこまないことが非常に重要。
週間ベースでは-294円(6.38%)の大幅続落。
※参考:金プラチナ国内価格7/10とチャート

2015年7月10日(金)時点の相場
国内金4,868 円 7/10(金) ▲43(0.89%)
国内プラチナ4,313 円 7/10(金) ▲34(0.79%)
NY金1,159.2 ドル 7/9(木) ▼4.3(0.37%)
NYプラチナ1,022.4 ドル 7/9(木) ▼13.4(1.29%)
ドル円121.33 円 7/9(木) ▲0.63(0.52%)

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