金プラチナ短期相場観
新興国通貨安の進行度合い比較
更新日:2015年7月29日(水)
米国の利上げへの警戒感を背景に、今年のNY金相場は年初から7.42%下落し、プラチナは18.41%もの下落となっています。
対ドルでの下落率では、新興国通貨の下落度合いも大きくなっています。トルコ・リラは今年、18.23%のドル高リラ安となり、プラチナの下落率に匹敵します。ブラジル・レアルは26.35%ものドル高レアル安となっています。
2年前の量的緩和縮小懸念に伴う新興国通貨リスクが高まった時期にフラジャイル・ファイブと呼ばれた新興5カ国は、2年経過した今、通貨安度合いにも大きな開きが生じています。
2013年末の対ドル為替レートを100とした指数の推移でこの1年半の通貨安度合いの推移を比較すると、日本円よりも通貨安が進行していないのがインドネシア・ルピアとインド・ルピー。インド・ルピーについてはこの1年半ほぼ横ばい推移と言える状態で完全にフラジャイル状態から抜け出しました。
インドネシア・ルピアは1年半では10%ほどのルピア安にとどまっていますが、今年だけで8.7%のルピア安が進行し、およそ17年ぶりのルピア安となっています。
南ア・ランドは日本円と同レベルの通貨安が続いており、その結果対円レートは1ランド=10円程度の揉み合い状態が延々と続いています。対ドルレートで日本円が13年ぶり安値圏となっているのと同様に、南アランドも14年ぶり安値水準となっています。
政局不安を抱えるトルコとブラジルの通貨安が突出し、トルコ・リラは過去最安値を更新中。ブラジル・レアルも12年ぶり安値水準となっています。ブラジルについては今朝、S&Pが格付け見通しをネガティブに引き下げ、ジャンク債への陥落の危機に瀕しています。
リオ五輪が開催される来年夏には、格下げとともにレアル安が一段と進行する可能性もありそうです。
距離的には日本から遠すぎますが、円高レアル安の進行に伴い、費用的にはかなりおトクなツアーも出回るかもしれません。
28日のNY金相場はわずかに0.2ドルの反落。上海株が落ち着きを取り戻し、米国のケースシラー住宅価格指数と消費者信頼感指数の下振れで買われた場面でも上値は1100ドルが重石となり、1090ドル台での小動きに終始。1080ドルから1100ドルのレンジ推移で落ち着きを見せる状態。本日のFOMCから始まる月末月初の重要イベントをきっかけに、ボラティリティ再拡大に警戒する状況へ。
プラチナ相場も2.5ドルの小反落。この日も970ドル台から990ドルまでの間で下値をわずかに切り上げてレンジを縮小、反発の流れに向けた準備段階のような状況に。しかし、買い材料には乏しい状況に変わりなく、970ドル台の重要なサポートラインでの足場固めが当面の課題か。
ドル円は4日ぶりの反発で0.25%のドル高円安。中国株反発をきっかけに123円を割れることなく反発。123円80銭近辺まで反発も期待はずれの米経済指標に失速。123円台前半から124円台前半までのレンジでほぼニュートラルな状態となり、レンジブレイクのきっかけ待ち状態へ。円高方向へ動き出すと122円前後が目安となり、ドル高再開ならあらためて高値更新トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.41%の反発。4600円近辺までの下値リスクを抱えた状態で、4650円から4680円までの狭いレンジを形成する動きも。4680円を超えると4700円台半ばに向けての反発基調がスタートする可能性も。
プラチナも0.45%の反発。底値揉み合い状態の下限からの持ち直しで急落再開を回避、4180-4220円のレンジへ。4280円程度までの反発へと向かう可能性もまだ残り、そうなれば、いったん底入れへ。
※参考:金プラチナ国内価格7/29とチャート
- 2015年7月29日(水)時点の相場
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国内金 : 4,668 円 7/29(水) ▲19(0.41%) 国内プラチナ : 4,202 円 7/29(水) ▲19(0.45%) NY金 : 1,096.2 ドル 7/28(火) ▼0.2(0.02%) NYプラチナ : 986.4 ドル 7/28(火) ▼2.5(0.25%) ドル円 : 123.55 円 7/28(火) ▲0.31(0.25%)
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