金プラチナ短期相場観
米国の製造業PMIも低下傾向、とまらない株安の流れ
更新日:2015年8月22日(土)
金曜日午前中に発表された中国の製造業PMI下振れで株安の流れが加速すると、その勢いは衰える気配もなく、ドル安の流れも巻き込んで、深夜のNY時間にかけてもリスク回避の流れがとまりません。
日米欧の主要株価指数は今年最大水準、あるいは数年来の大幅安となり、NYダウとNASDAQ、日経平均は4日、ドイツDAXは6日、英FTSEは9日続落となっています。
そんななかでNY時間に発表された米国の製造業PMIも、中国ほどではないにしろ低調ぶりを示す結果となりました。
比較対象として日本とユーロ圏、中国、トルコの製造業PMIの最近の推移と合わせて見てみます。(※中国は財新(Caixin)、日本はNikkei、他Markit発表、8月分は速報値でトルコはなし)
米国は好調だった1年前から冬場にかけて低下傾向となり、3月には持ち直し、しかしそれ以降は再び低下傾向が続き、8月速報値は52.9。2013年10月以来、1年10カ月ぶりの低水準です。横ばい状態が続くユーロ圏の52.4、7カ月ぶりの水準に回復した日本の51.9とそれほど変わらない水準。利上げ検討中の米国とゼロ金利に量的緩和推進中の日欧の景況感はほぼ同水準の状態となっています。
米国の利上げへの警戒感も高まる新興国の代表トルコは昨年まで日本やユーロ圏と同水準での推移から、今年に入って少し水準が切り下がった形となっています。7月は50.1。
1年前には一人好調だった米国が集団に吸収され、逆に今度は中国だけが集団から取り残される形となってきました。
世界景気の先行き懸念を先導するバブル崩壊気味の中国、新興国は一歩後退気味、日米欧は可もなく不可もなく。そんな現在の情勢を表す縮図のようなチャートになっています。
21日のNY金相場は0.55%上昇し3日続伸。リスク回避に伴う金買いの流れで一時7月7日以来の高値水準となる1167ドル台まで上昇した後は調整局面入り。欧州時間にかけて1150ドル割れ水準まで下げたものの、その後は株安とドル売り加速の流れに伴い再び買われる展開へ。直近の目標水準1150ドル台到達に伴い、底値からの反発局面は一服状態。下方乖離状態が2カ月間続いた90日移動平均線(1162.5)付近まで反発したこともあり、主要レンジをこの近辺に切り上げた状態で新たな展開へ。
週間ベースでは+46.9ドル(4.21%)の大幅続伸。週間の上昇幅としては1月半ば(60.8ドル、5%)以来の大幅上昇。
プラチナ相場は0.75%の反落。上値目標1040ドル台に迫る1038.5ドルまで上昇したことによる達成感からの調整局面入り。短期上昇トレンドはいったん終了した可能性が高く、1040ドルを当面の抵抗水準として新たなレンジ形成へ。
週間ベースでは+33.1ドル(3.33%)で2週連続3%超の大幅続伸。週間での上昇率としては2014年2月半ば(3.69%上昇)以来1年半ぶりの大幅上昇。
ドル円は1.08%安となって3日続落、7月9日以来のドル安円高水準へ。目標水準の123円まで下落すると、しばらくはこの近辺での揉み合い状態が続いたものの、欧州時間以降の株安加速に連れてドル売り再開。円高基調がさらに続くような状態ではないと想定されるものの、いかんせん株安動向次第という状況に。
週間では-2.24円(1.8%)の大幅反落。週間での下げ幅としては今年最大、昨年12月(-2.65円、2.18%)以来。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/21終値とチャート
- 2015年8月22日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,900 円 8/21(金) ▲62(1.28%) 国内プラチナ : 4,383 円 8/21(金) ▲52(1.20%) NY金 : 1,159.6 ドル 8/21(金) ▲6.4(0.55%) NYプラチナ : 1,027.1 ドル 8/21(金) ▼7.8(0.75%) ドル円 : 122.06 円 8/21(金) ▼1.34(1.08%)
世界同時株安で主要株は調整局面入り、金は反発局面入りか 8/24(月)
米国の製造業PMIも低下傾向、とまらない株安の流れ 8/22(土)
中国発世界同時株安のリスクオフ、製造業PMIも6年半ぶり低水準 8/21(金)
利上げに向けて近づくも条件未達、グレーな状態で9月へ 8/20(木)
米住宅着工件数も好調維持、住宅市場も利上げ確率上昇を後押しへ 8/19(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン