金プラチナ短期相場観
2016年10大リスクの一つ、サウジアラビアをめぐる中東情勢不安
更新日:2016年1月5日(火)
ユーラシア・グループが発表する毎年恒例の10大リスクの2016年版には、欧州、中国、イスラム国問題とともに、サウジアラビアへの懸念も挙げられています。
新年早々、そのサウジアラビア問題が勃発してしまった状況です。サウジ王室の不安定化や成長リスクが懸念されていたサウジアラビアは、宗教問題も背景としたイランとの対立の構図がいきなり国交断絶という形で表面化してしまったようです。
原油安や軍事費増大で財政が圧迫され、格下げや見通し引き下げが続いたサウジアラビアにとって、イランの核開発問題に伴う制裁解除によってその存在感が高まることには非常に警戒感を高めていた様子です。原油の供給過多懸念増大だけでなく、中東全体を巻き込むスンニ派対シーア派の緊張感がマーケットへの不安要因ともなりそうです。
サウジアラビアに続き、バーレーン、スーダンもイランとの国交断絶を発表し、UAEもイランとの外交関係格下げを発表しています。
早くも国連が動いてサウジとイランの仲裁に入ろうとしているようですが、そう簡単にはこの対立状態が収束しそうにも思えません。
勢力が弱まったとも言われているイスラム国の問題やテロへの警戒も続き、政治的不安も抱えるトルコのイスラム国対応やロシアとの関係なども含め、中東界隈での不安要素は縮小するどころか2016年も拡大しかねない状況のようです。
年明け4日のNY金相場は1.41%の大幅上昇でスタート。中国株式市場のサーキットブレイカー発動に世界同時株安の流れと中東情勢不安を背景に徐々にリスク回避の買いが強まると、NY時間にはISM製造業景況指数の下振れを受けて約1カ月ぶりの高値水準となる1083ドルまで上昇。その後は株安ドル高円高の流れ鈍化とともに、抵抗水準1080ドルが壁となって反落。目先は1060ドル付近から1080ドルのレンジ相場。リスク回避の流れが本日以降も継続するようなら、上値再トライへ。強めの抵抗水準1080ドルを突破できれば短期上昇トレンド形成へ、週末の雇用統計下振れなどプラス材料が続くようなら1130ドル付近まで上値を伸ばす余地も。逆にリスク回避収束、米労働市場の好調も維持などマイナス材料が続けば下値トライへ。加速すると最大1000ドル付近を目指す流れとなる可能性も。
NYプラチナ相場は0.81%の反落。欧州株安に中国減速懸念で金の上昇に追随し切れず。それでも減速気味ながら上昇トレンドを維持し、目標水準910ドル付近を目指す流れは継続。リスク回避収束で金が下方向へと向かい始めた場合には追随する可能性が高く、870ドルの節目を割り込むようなら反落の流れ加速で2015年安値トライへ。
ドル円は0.73%の大幅ドル安円高で2016年をスタート。中国市場の混乱をきっかけとしたリスク回避の流れで120円台のレンジ下限を下抜けたことで円高圧力が強まると、10月15日以来2カ月半ぶりの円高水準へ。下値目標水準となる118円台前半には届かなかったものの、118円70銭まで急落しての急反発の流れとなっており、円高の流れは既に収束した可能性も。120円台半ばの節目を超えると121円台後半までの反発余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.18%の小幅反発。急速な円高とその巻戻しによって下値を支えられた形もゆるやかな下落トレンドは継続中。下値メド4360円台までの下落余地を抱えつつ、目先は不安定な状態継続か。下落トレンド終了には4500円超えの必要。
国内プラチナ価格は1.14%の大幅続落。金との逆行状態での堅調推移の流れはやはり長くは続かず、リスク回避の流れによって腰折れ、反落の兆し。ただし反落のメドとしては3600円付近までと浅めにとどまる可能性。3710円台へと反発できれば上昇トレンド再開へ。
※参考:金プラチナ国内価格1/5とチャート
- 2016年1月5日(火)時点の相場
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国内金 : 4,417 円 1/5(火) ▲8(0.18%) 国内プラチナ : 3,655 円 1/5(火) ▼42(1.14%) NY金 : 1,075.2 ドル 1/4(月) ▲15.0(1.41%) NYプラチナ : 884.5 ドル 1/4(月) ▼7.2(0.81%) ドル円 : 119.44 円 1/4(月) ▼0.87(0.73%)
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