金プラチナ短期相場観
FOMC:景気減速と低インフレ、世界動向注視に株安ドル安で金上昇
更新日:2016年1月28日(木)
予定どおりの現状維持となったFOMC。声明文では、「雇用市場は一段と改善」と強気姿勢を維持したものの、「昨年終盤に景気が減速した」状況であることを認め、「市場ベースのインフレ指標は一段と低下」しているというマイナス材料に対して「調査ベースのインフレ期待はほぼ変わらず」とのポジティブ姿勢も。
「経済は緩やかな利上げのみ正当化する」として利上げフェーズは緩やかながらも続くであろうことを示唆し、「3月の利上げも除外しない」とあくまで可能性が排除された訳ではないだけのことを付け加えた上で、「世界経済や金融市場の動向を注視」との一文を加えて市場動向への警戒感が追加利上げに向けた阻害要因であることを示しました。
一見、12月FOMCでの追加利上げ年4回の予想を踏襲したかのようにも受け止められ、あるいは回数は減る可能性への含みももたせながらも利上げフェーズ進行に向けて強弱材料をチェックしていく、というスタンスで、タカ派的な部分を残す形でハト派寄りのイメージが強い内容となったようです。
一段と低下している市場ベースのインフレ指標と同様に、市場ベースの利上げ見通しも一段と低下しています。
CMEフェドウォッチによる利上げ織り込み度合いでは、FOMC直前までは7月に追加利上げ1回めとなる可能性が50%を超えていましたが、FOMC後には7月の利上げ確率は49.7%へと遂に半数割れ。市場ベースでは、追加利上げ1回めを9月に58.8%織り込み、12月でも67.5%。2回めの利上げは12月でも28%。
米国経済と世界経済の先行き不透明感とともに、利上げフェーズに対するFEDのスタンスと市場認識との乖離への警戒感が交錯する形で、市場は株安ドル安円高が進行するリスク回避の流れで反応しました。
この流れで金は上昇、安値からの反発基調が、もう少し続きそうな展開となってきました。
27日のNY金相場は0.39%の小幅反落。FOMC声明文発表を控えての警戒感と週前半の上昇に対する調整も下値は1115ドル付近までと底堅く推移。直近の節目1110ドルから1105ドルで水平状態となってきた90日移動平均線までが当面のサポート水準として作用しそうな状況に。時間外にはややハト派寄りと受け止めたFOMC声明文に対して買い反応、株安ドル安傾向も追い風となって上値目標1130ドル台に迫る1128ドルまで上昇し、今朝にかけても1120ドル台での推移。欧州・NY時間にかけてもう一段上昇の余地も残される状態か。
NYプラチナ相場は0.59%上昇し、5日続伸。金との逆行でFOMC前には株高地合いに連れる形で885ドル台まで上昇、終値でも今年高値890ドルをつけた1月5日以来3週間ぶりの高値水準を維持。FOMC後は株安と金上昇との板挟みに880ドル付近でどっちつかずの小康状態へ。昨年10月以来3カ月ぶりの5日続伸で水準を切り上げてきたプラチナの1月の月間騰落率は、20日時点で-8%を超えていた状態から-1%まで急回復。13年連続上昇してきた1月のアノマリーどおり、プラス圏回復も視野に入ってきた様子。しかし、これを達成する為には残り2日で891.7ドルを超える必要があり、短期目標880ドル付近到達による達成感からの反落リスクや戻り売り圧力との攻防へ。
ドル円は0.21%の小幅ドル高円安。FOMC前には原油反発に株高、米12月の新築住宅販売件数が予想を大幅に上回ったことなどもありドル高円安が進行。発表直後には1月6日以来3週間ぶりの119円台に瞬間的にタッチして反落、タカハト混在のなかにもハト派優勢の内容に株価の反落に連れて118円半ばまでの円高。118円から119円までの間で上下に振れる展開での揉み合い状態が継続し、日銀動向次第で上下どちらかに抜け出す可能性も。期待感の高まりなどで改めて119円回復なら119円台後半から120円前後まで上値余地拡大の展開へ、逆に失望売りの円高で118円を割り込むようなら117円前後までの一段安も。今朝は本田内閣官房参与の「追加緩和、自分ならやる」発言に円安基調、しかし甘利大臣会見への警戒感も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/27終値とチャート
28日の国内金価格は0.48%上昇し、昨年3月以来10カ月ぶりとなる6日続伸。為替が膠着状態にあるため、NY金の堅調推移を素直に反映する形で連日の高値更新。目標水準4610円台までもう一息。しかし、NY金相場はそろそろ短期トレンド終盤に差し掛かる可能性もあり、減速感も否めないところ。ただ、その後は代わって円安基調加速が補う可能性もあり、NY金の調整フェーズが限定的にとどまるなら、さらなる上値トライをうかがう展開も。
国内プラチナ価格は0.2%の小幅高で4日続伸。反落警戒水準に達したNYプラチナの予想外の高値圏維持に支えられての堅調推移。反落リスクを抱えながらも、昨年来の下落トレンドの勢いが少しづつ減速し始めていると仮定すると、ここから反落で安値更新のパターンが崩れる可能性も。堅調維持でも3700円ラインは強めの抵抗線に。
※参考:金プラチナ国内価格1/28とチャート
- 2016年1月28日(木)時点の相場
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国内金 : 4,579 円 1/28(木) ▲22(0.48%) 国内プラチナ : 3,591 円 1/28(木) ▲7(0.20%) NY金 : 1,115.8 ドル 1/27(水) ▼4.4(0.39%) NYプラチナ : 882.1 ドル 1/27(水) ▲5.2(0.59%) ドル円 : 118.66 円 1/27(水) ▲0.25(0.21%)
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ワシントンD.C.を含む首都圏エリア=リッチモンド連銀製造業指数 1/27(水)
米製造業の減速を牽引するダラス連銀製造業活動指数 1/26(火)
リスク回避ムード後退も限定的で株高円安も限定的、金は堅調へ 1/25(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン