金プラチナ短期相場観
米国のインフレペースも鈍化、ミシガン大期待インフレ指数は上昇
更新日:2016年5月3日(火)
先週末発表された米3月のコアPCEデフレーターは前年比+1.6%となり、1-2月の+1.7%から低下、インフレ率上昇の兆しが見られるなかでもやや失速した状態となっています。これに対してミシガン大学発表の1年期待インフレ指数は4月に2.8%となり、2月の2.5%、3月の2.7%から上昇しています。長期的な下落基調からは抜け出し切れてはいないものの、上昇傾向への兆しも見られる状況です。ただし、5-10年期待インフレ指数では3月の2.7%から4月には2.5%へと低下。
また、昨日発表のISM製造業景況指数の構成指数の価格指数では、3月の51.5から4月は59.0へと急上昇。昨年後半から今年1月まで30ポイント台で低迷していた状態から抜け出し、急加速し始めた形となっています。
FRBの追加利上げに向けて残された課題となりつつある物価目標達成への見込みとしては、上昇の兆しを見せては鈍化、一部では上昇も最終目標のPCEデフレーターに反映されるまでには至らなかったりと、米国のインフレペースもかなりのスローペース状態が続きます。
このままインフレペース加速の兆しが見られない状況が続く限り、金相場の安定推移が続くことになりそうです。
なお、現在の米国のスローペースでも、3月FOMC時点の見込みとしては、2018年には物価目標2.0%に到達する見通しとなっています。
日銀の見込みとしては、2%到達時期を2017年度中にへと先送りしましたが、それでも米国よりも日本のほうが物価目標早期到達見込みとなっています。
2日のNY金相場は0.41%高となって6日続伸。昨年高値1月22日以来、1年3カ月ぶりの高値水準へ。ロンドン市場休場のなか、欧州時間に発表された4月のユーロ圏製造業PMIが速報値から上方改訂されて3月からも上昇したことなどを受けてユーロが対ドルで買われたタイミングで金も買われる展開となり、一時1300ドルの大台を突破。その後NY市場にかけては欧米株の反発基調、ドルも底堅く推移したことで金は利益確定売りに押されるように大台割れ。昨年3月以来1年1カ月ぶりの6日続伸となり、保ち合いブレイク後の上値メド1280ドル台も若干行き過ぎたことにより、失速状態へ。改めて大台トライのチャンスをうかがいながら週末にかけては保ち合い形成も。
NYプラチナ相場も0.74%の上昇で6日続伸となり、昨年7月1日(1086.9)以来10カ月ぶりの高値水準。6日続伸は昨年10月以来7カ月ぶり。金に追随する展開が続く中、価格差も縮小傾向が続き209.4ドル、今年最小だった年初1月5日(188.4ドル)に次ぐ水準まで縮小。1100ドルの大台トライに向けてはいったん調整も必要な状況に。
ドル円は先週末からほぼ変わらず。106円ラインがいったん意識された状態となり、週明けの東京市場朝には一時106円10銭付近までの円高もその後は下げ渋り。反発への勢いにも乏しく、米10年債利回り上昇などに連れてのドル買い局面でも106円80銭どまり。フランクフルトからの「円高の影響を注視」するとの黒田総裁発言ももはや説得力に乏しくスルー。今朝には再び106円00銭台まで円高が進行する場面も。衰えない円高圧力にジリ安の展開も予想され、秩序だった動きのなかで105円台前半が意識される展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/2終値とチャート
- 2016年5月3日(火)時点の相場
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国内金 : 4,725 円 5/2(月) ▼50(1.05%) 国内プラチナ : 3,904 円 5/2(月) ▲6(0.15%) NY金 : 1,295.8 ドル 5/2(月) ▲5.3(0.41%) NYプラチナ : 1,086.4 ドル 5/2(月) ▲8.0(0.74%) ドル円 : 106.40 円 5/2(月) ▲0.01(0.01%)
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