金プラチナ短期相場観
完全雇用近づく米雇用、フィラデルフィアの雇用は7年ぶり低水準
更新日:2016年8月19日(金)
月初に発表された米7月雇用統計の賃金上昇率は前年比+2.64%となっていました。NY連銀ダドリー総裁は18日、2.5%の賃金増ペースは「労働市場が完全雇用に近づいている」ことを示している、との見解を示しました。最近の力強い雇用の伸びと中間所得層の雇用回復と合わせ、労働市場が引き続き改善傾向となっていることを裏付けるものである、としています。
その一方で、フィラデルフィア連銀が発表した8月の製造業景況指数のうち、雇用指数は-20と落ち込み、2009年7月(-22.6)以来7年1カ月ぶりの低水準となっています。
フィラデルフィアの雇用指数は今年1月から8カ月連続マイナス圏での推移が続き、6カ月平均平均でならして見ても7カ月連続のマイナスで2009年12月(-9.7)以来6年8カ月ぶりの低水準となる-9.2まで低下した状況。
なお、全体の景況感を示す総合指数は+2.0となり、7月の-2.9からは改善。6カ月平均でも昨年11月から今年5月まで7カ月続いたマイナス圏からプラス圏へと上昇傾向が続き、低迷期を抜け出して回復基調が続いていることを示しています。
この傾向は先日のNY連銀でも同様で、8月は-4.21と低調な数字とはなったものの、6カ月平均では+0.6となって13カ月ぶりにプラス圏を回復し、年初の低迷期をボトムに回復基調が続いています。
しかし、ダドリー総裁のお膝元、NY連銀でも雇用指数は2カ月連続のマイナス、雇用見通しの指数は7年5カ月ぶりの低水準となっていました。
全米トータルでは完全雇用に近づく労働市場も、地区連銀レベルでは、あちこちにスラックが残る状況のようです。
18日のNY金相場は0.62%の反発。前日早朝のFOMC議事要旨公表後に反発した1350ドル台を維持しての小動きに終始。早期利上げ期待が高まらないことを背景にドル安の流れが続いたことにもサポートされて2週間ぶりの高値圏。下値を切り上げて高値保ち合い上抜けへの動きも継続。今年最高値付近へと再トライの可能性はあるものの、その勢いはそれほど強くもなく、反落への警戒感と背中合わせ。1340ドル台を下方向へと抜け出した場合には7月安値付近、1320ドル台辺りまでの調整局面拡大の可能性も。
NYプラチナ相場は1.66%の大幅反発。前日早朝からの反発の流れで小幅に水準を切り上げ、1週間ぶりに終値でも1130ドル台を回復。今年高値からの調整局面、小幅保ち合いを経て再反発へと動き出した形となり、目先は1150ドル付近までの反発は見込めそう。しかし、現時点では調整途中での戻り局面に過ぎない可能性も高く、調整再開への流れも想定される。目先のサポート水準1110ドル台を割り込めば7月の保ち合い下限付近、1080ドル台が当面のターゲットとなる可能性も。
ドル円は0.39%のドル安円高となって3日続落。ドル安優勢の流れに押されて100円の大台ラインをはさんでの攻防が継続。16日安値99円台半ばではなんとか耐えて反発も、終値ベースでは2013年11月13日(99.24)以来、2年9カ月ぶりの100円割れ。直近の下値目安100円割れ水準まで終値ベースでもしっかりと下げて、今朝の東京市場では100円台を回復。2番底をつけての反発へ、という可能性も残しながらも円高への警戒感も払拭し切れない状況。99円半ばを下抜けると98円前半が次の下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/18終値とチャート
19日の国内金価格は3日ぶりの反発で0.06%の小幅高。直近のターゲット4650円前後に到達したことで下落一服の状態も、下げ止まりの判断はまだ。一直線に下落する9日移動平均線、さらにその上で水平状態の90日移動平均線が当面の上値抵抗水準となり、これらを上抜けできるかどうかが下げ止まり、短期トレンド反転に向けての当面の課題。
週間ベースでは-43円(0.91%)となり、今年初、昨年11月以来の4週続落。
プラチナ価格は0.21%の小幅高となり、6営業日ぶりにようやく反発。しかし金と同様に円高リスクの影響で上値の重い状態が継続。ドル円が大台付近で下げ止まれば国内金プラチナ価格も下げ止まりへ。水準的には6月末から7月末までの上昇幅の38.2%戻し3830円台付近までが調整継続の場合の目安に。
週間では-146円(3.64%)の大幅安で3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格8/19とチャート
- 2016年8月19日(金)時点の相場
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国内金 : 4,660 円 8/19(金) ▲3(0.06%) 国内プラチナ : 3,868 円 8/19(金) ▲8(0.21%) NY金 : 1,357.2 ドル 8/18(木) ▲8.4(0.62%) NYプラチナ : 1,133.2 ドル 8/18(木) ▲18.5(1.66%) ドル円 : 99.88 円 8/18(木) ▼0.39(0.39%)
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