金プラチナ短期相場観
米10年債利回りから見るドル円上値目安とNY金の下値目安
更新日:2016年12月19日(月)
トランプ相場がスタートして1カ月余り、米10年債利回り急騰にドル円も追随する形が続いています。両者の相関関係は非常に強まり、連動状態でさらなる上昇も予想されていました。1カ月前時点では、著名投資家ジェフリー・ガントラックが予想する年内の米10年債利回り上限2.35%を基準にすれば、ドル円の上値目安は最大115円台も想定できました。
しかし、予想をはるかに上回る米金利急騰の流れとなり、米10年債利回りは2.35%を軽く飛び越えて、2.60%を試す水準に達しています。これに加え、ドル円と米10年債利回りとの相関性も一段と強まり、30日間相関係数は1カ月前の0.926台から0.948台へとさらに上昇。90日相関係数は過去5年で最大となる0.975台まで上昇しています。
債券界のウォーレン・バフェットとも言われ、米資産運用会社副会長を務めるダン・ファス氏の予想では、トランプ政策によるインフレ上昇の可能性を考慮し、1年後の米10年債利回りは2.75%から3.00%となっています。これ以外の市場予想でも、米長期金利3%との見方は結構目立ちはじめているようです。なお、この水準は2014年初旬の水準で、この3年間での最高値水準となります。
この水準まで米10年債利回りが上昇した場合、ドル円との相関性を維持しているなら、ドル円は122円から126円辺りまで上昇することになりそうです。
同じように、米10年債利回りとNY金相場の関係を見ると、1カ月前には-0.806台だった90日相関係数は現在-0.946台となり、米10年債利回りとNY金との逆相関関係の強さも過去5年で最大となっています。
米10年債利回りが2.35%を超えたことに伴い、NY金の年内下値目安1170-80ドルも維持できず、一段安の展開となりました。
今後も、米10年債利回りとNY金との逆相関関係が続くようなら、米10年債利回りが2.75%から3.00%の水準に到達した場合、NY金相場は1100ドルから1050ドル程度まで下落する可能性もありそうです。
19日の国内金価格は0.39%の反発。1カ月以上続く横ばい推移のなかで、下値は4580円ラインが底堅く、上値は4620円前後の水準から微妙に切り下がってきた状態。重要イベント通過後の週明けは、これまでのドル買い金売りの調整局面の兆しからのスタート。今回は無風通過が予想される日銀金融政策決定会合を経て、クリスマス休暇・年末年始へと向うこの時期は、通常なら閑散相場入り。荒い値動きも予想され、思わぬタイミングで国内金価格にもトレンドが発生する可能性も。目先、上限突破なら次の目安は4700円近辺へ、下限割れの場合には10月安値付近となる4480円近辺までの下値余地拡大も。
プラチナ価格は2.71%の大幅反発。先週末の大幅下落分を全て取り戻し、先週高値も上抜け。失速しかけた上昇トレンドの勢い再加速の可能性も示唆。ボラティリティが急速に拡大し、乱高下状態となっているところが気掛かりではあるが、当面の上値目標としては3810円台辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格12/19とチャート
- 2016年12月19日(月)時点の相場
-
国内金 : 4,601 円 12/19(月) ▲18(0.39%) 国内プラチナ : 3,752 円 12/19(月) ▲99(2.71%) NY金 : 1,137.4 ドル 12/16(金) ▲7.6(0.67%) NYプラチナ : 934.1 ドル 12/16(金) ▲40.5(4.53%) ドル円 : 117.98 円 12/16(金) ▼0.19(0.16%)
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