金プラチナ短期相場観
米労働市場はこの10年間で最も力強い、がトランプ相場は調整へ
更新日:2016年12月20日(火)
イエレンFRB議長は講演で、「労働市場はこの10年間で最も力強い状況」となりつつあり、健全な労働市場が賃金押し上げに寄与し、「賃金上昇の加速を示す兆候」も見られると発言しました。
11月雇用統計での平均時給は予想外に前月比で減少し、前年比でも10月の+2.82%から11月は+2.45%へと急減速となり、むしろ失速の兆しのようにも見られ、トランプ相場も若干の調整局面を形成していました。
しかし、平均時給の前年比伸び率を3カ月平均で見ると、11月は+2.64%となり、10月の+2.65%からほぼ変わらず。7月に2.61%に達し、2009年8月(2.67)以来ほぼ7年ぶりの水準を回復すると、これ以降5カ月連続で2.6%台を維持する好調が続いています。
また、アトランタ連銀が先週公表した11月の「賃金上昇トラッカー」では、10月に前年比+3.9%に達し、2008年11月(4.0%)以来ほぼ8年ぶりの水準となり、11月も+3.9%の横ばい推移となっています。個人時給の中央値前年比を3カ月平均で示す「賃金上昇トラッカー」の最近の上昇基調は、平均時給の伸びを大きく上回り、これを牽引する形となっています。
平均での賃金上昇の伸びはまだそれほど強くはないものの、中央値での伸びは十分に「加速を示す兆候」となっています。中高賃金帯の伸びが全体平均を牽引する形となり、賃金上昇加速を推進し始めているようです。
トランプ相場は足下で調整局面入りの気配も見せ始めてはいますが、年明け以降もこの賃金上昇加速の勢いが、トランプ相場継続を下支えする、重要な要素となりそうです。
19日のNY金相場は0.47%の続伸。先週末からの買い戻しの流れが継続し、東京時間には1140ドル台を回復も以降は1140ドルをはさんでの揉み合い推移。トルコでのロシア大使射殺事件などでリスク回避の流れが強まる場面でも上値は限定的に。NY市場ではイエレン発言を受けてのドル買い戻しに押され、1140ドルを割れる場面も。目先は、1120ドル台を下値として保合い形成への動きが優勢か。上方向には当面1180ドルラインが強めの抵抗水準に。
NYプラチナ相場は1.8%大幅反落。先週後半からの乱高下状態を経て方向感喪失気味。890ドルから930ドル台までが目先の広めのレンジ候補となり、上抜けなら反発基調加速で最大990ドル付近までの上昇局面形成も。15日安値888ドルが当面の底値となるようなら、8月高値からの下げ幅に対する23.6%戻し、962ドル辺りまでは比較的戻りを試しやすい水準か。
ドル円は0.75%のドル安円高となって調整局面継続。117円近辺では下げ渋る状態もトルコでの銃撃事件をきっかけに円買いの流れが加速し、一時116円半ばまで下落。しかし、その後はイエレン発言をきっかけに117円台前半へと急反発と、相変わらずの押し目買いの強さも確認。11月9日安値から12月15日高値までの23.6%戻し、114円半ばまでの調整もありうるが、その手前115円の節目水準もサポートラインとなりやすいところ。調整フェーズ進行の様相に反して118円台前半を回復するようなら119円台へと一段高の展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/19終値とチャート
20日の国内金価格は0.33%の反落。保合い下限は4580円ラインを維持し、上限をゆるやかに切り下げながらの三角保合いは1カ月以上経過。時間的にも、時期的にも、波乱の展開への警戒感も高まる状況に。上方向に4610円以上へと抜け出した場合には、当面の目標水準として4700円台前半を目指すような流れも。逆に堅めのサポートライン4580円を割り込んだ場合には4500円割れへと急落の展開も。
プラチナ価格は1.52%の大幅反落。1カ月余り続いた上昇トレンドは足下の乱高下状態でその終わりを示唆している可能性も。但し現状では上値も下値も切り上げる流れは続き、当面の上値目標3800円台前半への可能性も維持。3650円を下回るようだとトレンド転換への流れで3500円台半ばも視野に。
※参考:金プラチナ国内価格12/20とチャート
- 2016年12月20日(火)時点の相場
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国内金 : 4,586 円 12/20(火) ▼15(0.33%) 国内プラチナ : 3,695 円 12/20(火) ▼57(1.52%) NY金 : 1,142.7 ドル 12/19(月) ▲5.3(0.47%) NYプラチナ : 917.3 ドル 12/19(月) ▼16.8(1.80%) ドル円 : 117.10 円 12/19(月) ▼0.88(0.75%)
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