金プラチナ短期相場観
トランプ政権への不透明感にもインフレ上昇圧力は着実に上昇
更新日:2017年1月14日(土)
6年3カ月ぶりの低水準となる2.2%まで急落していた12月のミシガン大1年期待インフレ指数は、2017年1月速報値では2.6%へと急反発しました。2016年7月(2.7%)以来半年ぶりの水準へと急騰し、12月に2.81%へと急騰していたNY連銀1年期待インフレに1カ月遅れて追随する形となっています。
トランプ政権下でのインフレ見通しについては、12月時点では上昇か低迷か、見方が分かれていた状態から上昇方向優勢へと転換し始めた可能性を示したことになります。そして、インフレ期待の主要指標としてFOMCでも注目度の高いミシガン大の指数に対し、NY連銀のインフレ期待指数が先行指標となりやすい傾向があることも示した形です。
なお、ミシガン大の5年期待インフレ指数も過去最低となっていた12月の2.3%から1月速報値では2.5%へと上昇し、インフレの長期見通しでも12月NY連銀の3年期待インフレの反発に1カ月遅れて追随する形となり、ともに底入れ反発への可能性を示す状態となっています。
さらにこの日は米労働省から12月の卸売物価指数(PPI)も発表され、前年同月比では+1.6%となり、2014年9月以来2年3カ月ぶりの水準となっています。
原油価格の上昇とともに卸売物価も上昇傾向となり、賃金上昇率の加速が消費者物価を押し上げそうな状況となり、将来のインフレ見通しも上向き始めた形です。
トランプ政権の経済政策に対しては不透明感が漂う状況で、英FTSEが14連騰となっている以外は主要株も伸び悩みの状態となり、米10年債利回り上昇とドル高の流れも12月半ばをピークに低下傾向となり、トランプ相場一服の状態が続きますが、そんななかでも着実にインフレ上昇圧力は高まりつつあるようです。
13日のNY金相場は5日ぶりの反落で0.3%の小幅安。1200ドルの大台到達後の調整は時間外の1190ドルまでで反発。東京市場午後からロンドン市場にかけてのドル売り再開に伴い、再度1200ドルへと上昇。しかし、NY市場での物価指標の好結果に伴う金利急騰とドル買い急進に1190ドル割れへと急落。ただ、3連休前のNY市場ではこの流れも長くは続かず、結果的に金は1200ドル手前で揉み合う形となって十字線に近い足型。高値圏からの急反落、もしくは再加速のどちらかを決めかねるような状態に。短期的には最大1170ドルまでの調整もあり得るが、20日の就任式までは小幅レンジで揉み合う展開か。
週間ベースでは+22.8ドル(1.94%)で3週続伸。
NYプラチナ相場は0.17%の小幅続伸。終値では11月9日(1003.3)以来、2カ月ぶりの高値水準をわずかに更新も、NY市場での反発局面でつけた高値は990ドルまでと前日高値を超えられず。1000ドルの大台トライの流れはいったん終息の可能性もあるが、サポート水準970ドル割れからの急反発で長めの下ヒゲを残し、大台再トライへの望みも残した状態か。と同時に970ドルラインを維持できなければ950ドル付近までの大幅調整の可能性も。
週間ベースでは+15.8ドル(1.63%)となり、半年ぶりの3週続伸。
ドル円は0.15%の小幅ドル安円高となり、5日続落。下値目安114円割れ達成後の反発も115円前半では上値が重く、インフレ上昇の兆しにも金利上昇も限定的となり、ドル買いも失速。1月5日に1ドル=115円30銭台まで下げた時のRSI30.9に対して、114円50銭台へと水準を切り下げたこの日のRSIは34.9と下げ渋りを示すダイバージェンス状態。しかし、トランプ政権への不透明感も漂うなかではトランプ相場再開へと簡単には進み難い状況か。11月9日安値から12月15日高値まで、トランプ相場での上昇幅に対する23.6%戻しとなる114円50銭台に到達しており、さらにドル売り傾向が強まった場合には38.2%戻しとなる112円前後が下値目安となる可能性も。
週間ベースでは-2.48円(2.12%)となり、およそ半年ぶりの大幅反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/13終値とチャート
- 2017年1月14日(土)時点の相場
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国内金 : 4,714 円 1/13(金) ▼6(0.13%) 国内プラチナ : 3,846 円 1/13(金) ▲5(0.13%) NY金 : 1,196.2 ドル 1/13(金) ▼3.6(0.30%) NYプラチナ : 986.4 ドル 1/13(金) ▲1.7(0.17%) ドル円 : 114.53 円 1/13(金) ▼0.17(0.15%)
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