金プラチナ短期相場観
6月利上げ確率98%、9月25%、12月でも53%。ドル買いも限定的
更新日:2017年6月8日(木)
6月7日時点のCMEのFedウォッチによれば、6月のFOMCで今年2回めの利上げを決定し、FFレートを1.00-1.25%に引き上げると予想する確率は98.1%。
9月のFOMCで、今年2回めの利上げを決定し、FFレートを1.00-1.25%とすると予想する確率は73.3%、今年3回目の利上げで1.25-1.50%との予想は24.2%。今年4回目のりあげで1.50-1.75%との予想も1.1%あり、9月には今年2回め以上の利上げを決定すると予想する合計確率は98.6%。
この6月に今年2回めの利上げを決定するとの市場織り込み度は9月と並んで98%台。いずれも今年に入って急上昇を続け、ロシアゲート疑惑への懸念が急速に強まった5月17日には急反落していました。しかし、その後は再び急回復し、コミー前FBI長官の公聴会前日には、その原稿の一部が公表されてリスク回避も大きく後退したこともあり、6月利上げの確率が9月利上げの確率に追いつき、ほぼ100%確実視される状態となっています。
万が一据え置きなら大波乱、という状況です。
しかし、その先の見通しは回復が進みません。9月に3回目以上の利上げ確率は、4回目の1.1%と合わせても合計で25.3%。5月上旬には40%付近まで上昇していた状態からの急落後、4分の1の織り込み度にとどまっています。12月に3回目以上との予想確率も52.8%、ようやく5割に到達し、半年前の水準に戻したところです。
この状況が、米10年債利回り低迷とドル買いが限定的となる要因の一つとなり、金の下値を支えています。
7日のNY金相場は0.33%安と4日ぶりの反落。短期上値目標1297.4ドル近辺到達に伴う一服感とスーパー・サースデーとなった8日の重要イベントデーを控えての警戒感から1290ドル台での小動きに。NY市場では金の引け後にコミー前FBI長官の証言原稿の一部が伝わり、トランプ大統領から忠誠を求められ、フリン前大統領補佐官の捜査終了を希望されたことなどが公表されたものの、不当な捜査介入とは受け止められず、リスク回避後退となって金は1280ドル半ばへと下落。英総選挙に向けては保守党支持再拡大との報道もあって波乱回避優勢へ、ECBはインフレ見通し下方修正と緩和姿勢維持との思惑もあり、ドル高支援材料へ。サプライズがなければ金の調整局面はもう一段進行へ。調整幅拡大でも今年の上昇幅の23.6%戻し(1257.6)付近までが目安に。1250ドルを割れるようなことがあれば1210ドル付近までの大幅調整局面形成も。
NYプラチナ相場も4日ぶりの反落で1.63%の大幅安。リスク回避メインの上昇局面での上げ幅は金よりも控えめとなり、調整局面での下げ幅は金よりも大きくなりやすいプラチナは再び950ドルを中心とした保ち合い状態に回帰した様子。金との価格差は345.6ドルへと拡大し、2016年6月27日の345.5ドルをわずかに上回って過去最大。920ドル台から960ドル台までのレンジをあらためて上抜けできれば1000ドルの大台トライへと向う可能性も。逆に下限割れなら900ドル割れへと大幅反落局面へ。
ドル円は0.38%のドル高円安へと反発。ドル安円高の流れが止まらず欧州市場序盤までに4月21日(108.89)以来の円高水準となる109円10銭台まで下落。その後、ECBの2019年までのインフレ見通し下方修正が伝えられるとユーロドルが急落し、ドル円は109円40銭台へと反発。NY市場でもコミー前FBI長官の公聴会に向けての警戒感後退ムードを支えに米長期金利の上昇とともにドル買い。今朝の東京市場でも日経平均の2万円台回復とともに110円トライの様相も。スーパー・サーズデーを無事通過すると上方向への節目111円前半を目指して反発基調継続へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/7終値とチャート
8日の国内金価格は0.21%の反落。3月2日の今年高値4886円と3月安値4737円を起点とする三角保ち合いを上抜けた状態も維持しており、今年高値更新で4900円近辺の短期上値目標は継続。しかし、その原動力となるNY金が一足先に目標水準到達による調整色を強め、背景・材料的にもそれを支援する方向へと傾斜しつつある状況に。現状ではドル高円安の勢いがNY金の下げ幅を上回る状況でもなく、いったん調整優勢の展開か。3月以降の上昇幅の23.6%戻し(4836)、38.2%戻し(4817)辺りまでが当面の目安に。50%戻し(4802)は重要なサポートライン、ここを割り込んだ場合には流れが逆転し、下値目標4700近辺へ。
プラチナ価格は1.18%の大幅続落。3590円から3640円までの保ち合いレンジ上限を超えられない状態が続く横ばい推移が反落を示唆していた様子で、今度は下限割れトライへ。金との価格差も6月2日の1262円を上回って1266円まで拡大し、過去最大を更新。価格差と逆相関の関係にあるプラチナの流れも下方向へ。このまま3590円を下回ると下落トレンド形成へと向かい、下値目標水準は今年安値を大幅更新し、3400円台半ばまで。
※参考:金プラチナ国内価格6/8とチャート
- 2017年6月8日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,857 円 6/8(木) ▼10(0.21%) 国内プラチナ : 3,591 円 6/8(木) ▼43(1.18%) NY金 : 1,293.2 ドル 6/7(水) ▼4.3(0.33%) NYプラチナ : 947.6 ドル 6/7(水) ▼15.7(1.63%) ドル円 : 109.82 円 6/7(水) ▲0.42(0.38%)
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