金プラチナ短期相場観
メルケル首相4選を支えたドイツ経済もIFO企業景況感指数は失速
更新日:2017年9月26日(火)
9月のドイツIFO企業景況感指数は115.2となり、過去最大となった7月の116.1から8月の115.9に続き、2カ月連続の低下で失速状態を示す結果となりました。
この指数には、構成指数となる現況指数と期待指数もあり、現況指数も7月に125.6の過去最高を記録し、8月には124.7、9月に123.6と失速状態となっています。
期待指数は、8月に107.8で2014年2月(107.8)以来3年半ぶりの高水準を記録し、9月は107.4とこれもわずかに失速、という状況です。
なお、期待指数の過去最高は2010年11月の111.1で、その後ピーク水準は切り下がる状態が続いています。
景況感指数と現況指数にも同様の傾向が見られてはいましたが、この夏にこれらは過去最大をブレイクし、1991年以降では最大の好景気と言える状態を示しました。
また、2003年までのピーク水準では期待指数が現況指数を上回ることも多く見られましたが、それ以降はほぼ常に期待指数が現況指数を下回る状態が続いています。
以前は、好景気になれば、さらなる好調が続くだろう、との期待感が高まっていたことになるのに対し、近年では好景気になると、これ以上の好調は続かないだろう、と期待感は限定的にとどまり、むしろ先行して低下していく傾向も見られます。
4選を果たすことになったメルケル首相の長期政権を支えてきたであろう、ドイツ経済の好調ぶりもここに来て、景況感としては過去最大のピーク水準を迎えたことで失速局面がスタートした可能性にも警戒することになりそうです。
これに呼応するように、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は第1党の座こそ維持したものの、得票率は40%台から30%台へと大きく低下し、反移民・難民を掲げる右翼の新興政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持も急増し、連立の組み直しで3党連立も余儀なくされています。
連立交渉だけでも難航が予想され、メルケル首相の発言力は以前よりも弱まり、政権運営もより困難な局面を迎えることもありそうです。支持率急低下のマクロン仏大統領とともに進めるユーロ圏改革にも、暗雲が垂れ込める場面も出てくるかもしれません。
G7ではメルケル首相に次ぐ長期政権となっている安倍政権も、3選を目指して解散を表明しましたが、こちらは新興勢力としての新党立ち上げもあり、国内でも長期政権への風当たりが強まり始めました。
25日のNY金相場は1.08%の大幅続伸。ロシアのラブロフ外相をして「幼稚園児のけんか」と言わしめた米朝首脳の応酬に対する免疫力もかなりアップしていたはずの市場も、北朝鮮の李容浩外相がトランプ米大統領発言を指して「宣戦布告」と表現したことにはやや意表を突かれた形でリスク回避の流れが急進。株価急落、米長期金利も急低下、円高の流れとなり、1290ドル台半ばでの小動きが続いていたNY金も1310ドルまで急騰。弾道ミサイル発射の場合には被害がないことが確認され次第、急速にリスク回避の巻き戻しの流れとなるのに対し、今回はここまで反発は限定的。「領空外でも米戦略爆撃機を撃墜する権利がある」などの発言もあり、偶発的な衝突への警戒感もやや増した様子。1290ドルから1320ドルまでのレンジを形成中のNY金は、上抜けなら1340ドル台辺りまでの反発へ、下抜けなら1270ドル台辺りまでが短期下値目安に。
NYプラチナ相場は0.87%の大幅高となり、12日ぶりの反発。NY朝には下値トライ継続の様相となっていたタイミングでのリスク回避の展開に救われた格好に。結果、920ドル半ばまで下げて夏場の上昇幅の76.4%戻し(923.3)をほぼ達成しての反発で、940ドル台を回復して61.8%ライン(943.0)付近に落ち着いた状態。やや長めの下ヒゲを残して反発基調継続への可能性を示しながらも、反発力の差によって金との価格差は371.3ドルへと3日ぶりに過去最大を更新。目先90-200移動平均線が集中する950ドル台が上方向への節目、下方向には930ドルを割れると910ドル台までが次の下値目安に。
ドル円は0.25%のドル安円高となって続落。112円台前半での保ち合い推移から、NY市場でのリスク回避の急落で111円台半ばへ、今朝の東京市場でも上値の重さが目立つ状態に。12月の追加利上げ観測再燃を好感する向きと北朝鮮情勢悪化を危惧する向きとの綱引き状態となり、目先は111円台半ばのサポート水準を維持できるかどうか。ここを割れると円高方向へと加速し易く110円台前半が次のサポート水準に。円安方向には112円半ばが当面の抵抗水準となり、超えると113円台半ばへ。今晩予定されているイエレンFRB議長講演でタカ派姿勢が見られ、米朝首脳がおとなしくできれば上値トライ再開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/25終値とチャート
26日の国内金価格は0.5%の続伸。調整局面スタートの兆しからの巻き戻しとなり、今年高値圏での保ち合い再開へ。流れとしては上値の重い状態が続くなかでも地政学リスクへの警戒感が下値も支え、4990円台から5050円までのレンジ内推移が今しばらくは続きそうな状況に。米朝首脳の暴言一服状態が続くなら、イエレン議長講演が目先の動向を左右することになり、タカ派的な言及があれば下値警戒感、ハト派寄りとなれば上値トライへ。下限割れなら再度調整局面スタートで目標水準は4950円台まで、上限突破なら5100円台トライへ。
プラチナ価格は0.17%の小幅高で6日ぶりの反発。見かけ上は下げ止まりも、下落基調が続くなかでの一服状態に過ぎず、金との価格差は過去最大を連日の大幅更新となって1401円。反発への可能性を示す為には、すぐ上で上昇基調から横ばいへと移行し始めた90日移動平均線(3634)は超えておきたいところ。下方向には引き続き3600円前後が意識される状況。
※参考:金プラチナ国内価格9/26とチャート
- 2017年9月26日(火)時点の相場
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国内金 : 5,029 円 9/26(火) ▲25(0.50%) 国内プラチナ : 3,628 円 9/26(火) ▲6(0.17%) NY金 : 1,311.5 ドル 9/25(月) ▲14.0(1.08%) NYプラチナ : 940.2 ドル 9/25(月) ▲8.1(0.87%) ドル円 : 111.72 円 9/25(月) ▼0.28(0.25%)
新築住宅販売件数は今年最低、中古と合わせると1年ぶり低水準 9/27(水)
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国内金価格は5000円近辺での保ち合い継続か、もう一段の調整か 9/25(月)
9月マークイット製造業PMI速報値では米欧格差拡大 9/23(土)
フィラデルフィア連銀製造業指数も好調、しかし金は調整一服も 9/22(金)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン