金プラチナ短期相場観

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米5月CPIは6年3カ月ぶり高水準で賃金上昇率を上回る

更新日:2018年6月13日(水)

消費者物価指数(CPI)と賃金上昇率 2018年5月米労働省が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.8%。4月の+2.5%から大幅上昇で4カ月連続の加速となり、2012年2月(2.9)以来6年3カ月ぶりの高水準となりました。食品とエネルギーを除くコアCPIも前年比+2.2%となり、3カ月連続での2%超えで昨年2月以来1年3カ月ぶりの高水準。

原油価格の上昇が大きく影響し、ガソリン価格は4月の前年比+13.4%から5月は+21.8%へと急加速。これ以外で上昇が目立ったのは医療用品が4月の+1.9%から+2.7%へと急上昇、医療サービスも+2.2%から+2.3%へと上昇基調が続いています。賃貸住宅は+3.6%付近の高水準での横ばい推移傾向。
低下傾向にあるのは中古車が-1.7%と4月の-0.9%から大きく低下、航空運賃は-6.6%で4月の-6.9%からは小幅に上昇。

市場予想と同じ結果となったことで市場反応は限定的となりましたが、2%超でのインフレ上昇傾向を維持していることから、年内にもコアPCE(4月:+1.8%)の2%到達を予想する向きも目立ち始めているようです。今回はともかく、今後のさらなるインフレ上昇で利上げペース加速観測が台頭することにもなりそうです。

また、今回CPIが+2.8%となったことで、5月の賃金上昇率+2.7%を上回っています。CPIが賃金上昇率を上回るのは昨年1月以来、1年4カ月ぶりのこと。
「低インフレの謎」が解けてインフレ基調加速の兆しが見られ始める状態にあって、「賃金上昇率が加速しない謎」が続くようなら、賃金上昇を上回る物価上昇による消費停滞懸念が台頭することになりそうです。

NY金・日足チャート 2018/5/8 - 6/1212日のNY金相場は3.8ドルの反落。ワーキングランチ後にトランプ米大統領が「誰も予想できなかったほどうまくいった」と自画自賛した米朝首脳会談は、共同声明や会見などで公開された内容が誰も予想できなかったほど包括的で具体性に欠けるものにとどまったことで期待ハズレ感も。これを見越していたかのように金市場は1300ドル台で様子見状態。NY朝には米CPI発表に向けての期待感からドル買いが進行すると1290ドル半ばまで下落する場面も。1300ドル台へと反発後にはパウエルFRB議長が毎回のFOMCで会見を行うことを検討中との報道で再びドル買い金売りとなって1300ドル割れ。また、6月のZEWドイツ景況感指数も-16.1と5年9カ月ぶり低水準となり、ECBの金融政策正常化に向けてはアゲンスト。ユーロ安によるドル下支え材料となって金の重石にも。今回のFOMCでは強気見通しが示される可能性もあり、一時的には下押し圧力が強まる展開にも。1290ドルを割り込むと1250ドル台辺りまでが当面の下値目安に。なお、中期的にはトランプ大統領のG7でのちゃぶ台返しで通商摩擦拡大が懸念されて金のサポート要因にも。

NYプラチナ・日足チャート 2018/5/8 - 6/12NYプラチナ相場は4.9ドル安となって3日ぶりの反落。NY朝には910ドル台まで上昇後に反落、900ドル割れを何度も試しながらも節目割れを回避する底堅さも。FOMCでの強気見通しへの警戒感とユーロ圏の景況感悪化がとまらない状況からECBの政策の遅れも警戒され、長期保ち合いからの下方ブレイクへの警戒感も。その場合の最大目安として2016年安値圏となる820ドル近辺までが意識される展開にも。全く逆の結果となれば保ち合い上方ブレイクで大幅上昇局面形成の可能性もありうるが。

ドル円・日足チャート 2018/5/9 - 6/12ドル円は30銭ほど水準を切り上げての続伸で110円40銭台へ。米朝首脳会談スタート前に110円40銭台まで上昇した後は、それ以上期待感が高まらなかったことを示すようにこれがこの日の高値となって110円台前半での保ち合い推移の展開に。米5月CPIへの期待感も結果は市場予想の範囲内にとどまり、パウエル議長のFOMC会見回数変更検討報道による利上げペース加速への思惑でも110円40銭台までで上値も限定的に。今朝の東京市場では一時的にこれを上抜ける場面もあり、徐々に上値トライへの勢いが強まる様子も。抵抗線となっていた200日移動平均線(110.19)を完全に上抜けており、年内利上げ見通し中央値が4回となれば一段高の展開が予想され、当面の上値目標水準は112円台後半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/12終値とチャート

13日の国内金価格は前日から-8円と小幅に反落。流れとしては上昇局面形成へと動き出した可能性は高まり、当面の上値目標は4月高値4990円を超えて2月初旬以来となる5000円の大台へ。ただし、FOMCとECB理事会を経てドル高円安、NY金が売られる展開となれば上昇圧力はかなり相殺されてしまうことに。NY金の下げ渋りか、逆の展開となればサポートされやすい状態に。

プラチナ価格は9円安となって3日ぶりの反落。保ち合い上抜けの兆しからの小幅巻き戻しとなった形も、金の堅調推移が続くようならこれに追随しての上値トライ継続で目標水準3540円台を目指す展開へ。下値警戒感がくすぶり続けるNYプラチナの下げ渋りが必要条件にも。
※参考:金プラチナ国内価格6/13とチャート

2018年6月13日(水)時点の相場
国内金4,925 円 6/13(水) ▼8(0.16%)
国内プラチナ3,433 円 6/13(水) ▼9(0.26%)
NY金1,299.4 ドル 6/12(火) ▼3.8(0.29%)
NYプラチナ901.5 ドル 6/12(火) ▼4.9(0.54%)
ドル円110.41 円 6/12(火) ▲0.34(0.31%)

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