金プラチナ短期相場観
需要好調と高インフレ継続を示す7月ISM製造業景況指数
更新日:2018年8月2日(木)
米7月のISM製造業景況指数は58.1となって市場予想の59.4程度を下回り、6月の60.2からも低下しました。
しかし、13年ぶり高水準となった2月の60.8を少し下回る水準での推移が続く、高値もみ合い状態の様相にもなっています。
構成指数のうち、新規受注は60.2となり、昨年5月(59.5)以来1年2カ月ぶりの低水準となりました。しかし、裏を返せば14カ月連続で60以上の高水準を維持している状態でもあります。
いっぽう、顧客在庫は2016年後半からコンスタントに低下基調が続き、7月は近年最低水準となる39.4まで低下しています。顧客在庫が減り続ける状況は、旺盛な需要が続いていることを示し、これが新規受注の高水準維持を支えていることになります。
また、価格指数は7年ぶり高水準となった5月の79.5からは2カ月連続の低下で7月は73.2となっていますが、依然として高水準にあり、2016年3月に指数が50を超えて以降、2年5カ月間連続の50超を維持。原材料価格は29カ月連続で上昇し続けています。
顧客アンケート等では貿易摩擦への懸念を示す声も多数挙がっているようですが、需要の強さとインフレ基調が続いていることを示した7月のISM製造業景況指数からは、米国経済の強さはまだしばらくは崩れそうにもなさそうに見えます。
1日のNY金相場は-6.0ドル、0.49%安で3日ぶりの反落。前日高値1237.8ドルをつけた後の軟調な流れはこの日も続き、NY市場では1230ドル割れ。日本の長期金利上昇をきっかけに米10年債利回りも再び3%台をうかがう展開となったことでドル高基調もサポートされ、相対的に金は上値が重い展開。米7月ADP雇用や製造業PMIなど指標結果は強弱あったものの総じて好調を維持する結果となり、FOMC声明文も米経済の強さを指摘するややタカ派的となってNY引け後には1220ドル台半ばでのもみ合い推移。既に規定路線となっている9月利上げに向けては十分に織り込み済のようにも見え、1220ドルから1230ドル半ばの保ち合いレンジをブレイクするためにはややきっかけ不足の感も。確率は低そうだが雇用統計のネガティブサプライズなどがあれは上方ブレイクで短期上昇トレンド局面入りも、上値目標は5月安値圏1280ドル近辺へ。ポジティブサプライズなどをきっかけに売り圧力再燃で下方ブレイクの場合には1180ドル程度までが下値目安にも。
NYプラチナ相場は-28.6ドル、3.38%の大幅反落。2000億ドル相当の中国製品への関税賦課を準備しているトランプ米政権が、税率を当初案の10%から25%へと引き上げることを検討していることなどが報じられ、米中貿易戦争激化と中国景気への影響懸念なども背景に、戻り売り圧力が急速に強まった様子。前日高値847ドルからほぼ一本調子の売り基調となってNY市場では815ドルまで30ドル超の大幅下落。この日の下落率-3.38%は2017年以降では7月2日の-5.16%に次いで2番め。NY金との90日相関係数は過去6年間で最大となる0.97217と非常に強い相関関係にあり、この状態では金に先行する形でのトレンド形成にはやはり無理があった様子。下方圧力再燃となり、下値警戒水準としては今年最安値794.5ドル前後までを再度試す可能性も。
ドル円は20銭のドル安円高となって3日ぶりの反落。国内10年債利回り上昇局面では日米金利差縮小の思惑からドル安円高の流れに、しかし米10年債利回りも連れ高の展開となれば金利差拡大への思惑からドル高円安へ。やや方向感が定まらないなかでも米株の軟調推移にも連れて円高の勢いが強まる場面も。現状維持のFOMCにも反応は限定的となり、111円台半ばから後半を主要レンジにもみ合い状態に。週末の雇用統計や貿易収支などでサプライズがあればレンジ拡大の可能性も下方向には111円前後、上方向には113円手前辺りまでが目先の許容範囲か。それぞれの方向に抜け出せば1円弱の変動も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/1終値とチャート
2日の国内金価格は-29円、0.61%の反落。ようやく下げ止まった可能性を示したのも束の間、米経済の強さとこれを背景に米中貿易戦争エスカレートの可能性を示して揺さぶりをかけるトランプ米大統領にも振り回される形となっての再反落。デッドキャットバウンスとなって下値模索への警戒感もにわかに高まる状態に。安値更新となれば一段安の展開となって下値目安は4630円台辺りまで。4720円の節目を超えることができれば反発局面形成再トライで上値目標は7月半ばまでのの保ち合い水準4780円近辺まで。
プラチナ価格は-74円、2.29%の大幅反落。前日の大幅反発を大きく上回る下落幅となる乱高下状態。反発局面加速への可能性が巻き戻されただけでなく、下方リスク再燃。既に7月3日と20日の安値と合わせて三番底をつけた形にもなり、NYプラチナも820ドル台では下げ渋る様子も見られることから、いったん反発で安値圏での保ち合い再開も想定されるものの、一段安の展開となれば安値更新となる可能性も。想定される下値目安としては最大で3030円台辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格8/2とチャート
- 2018年8月2日(木)時点の相場
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国内金 : 4,688 円 8/2(木) ▼29(0.61%) 国内プラチナ : 3,152 円 8/2(木) ▼74(2.29%) NY金 : 1,227.6 ドル 8/1(水) ▼6.0(0.49%) NYプラチナ : 817.2 ドル 8/1(水) ▼28.6(3.38%) ドル円 : 111.68 円 8/1(水) ▼0.20(0.18%)
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