金プラチナ短期相場観

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米8月PPI予想外の急失速でドル安、金は反発基調再開へ

更新日:2018年9月13日(木)

生産者物価指数(PPI)2018年8月米労働省が発表した8月の生産者物価指数(PPI)は予想外の急失速。前月比では市場予想の+0.2%に対して-0.1%。前月比でのマイナスは昨年2月以来、1年半ぶり。サービス価格や食品価格の下落が影響したもよう。

前年比では+2.8%となり、市場予想の+3.2%を大きく下回り、7月の前年比+3.3%からも急落。6年7カ月ぶりの高水準となった6月の+3.4%からは2カ月連続の低下で4カ月ぶりの低水準。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+2.3%。これも市場予想と7月の+2.7%を大幅に下回る結果となり、近年最高水準となった6月の+2.8%からは2カ月連続の低下、今年1月以来7カ月ぶりの低水準に。
食品とエネルギー、さら貿易サービスを除いたコアPPI2だけは前年比+2.9%で3カ月連続の上昇、5カ月ぶりの高水準となっています。

米FRBの金融政策の指針となるインフレ動向としては、本日の消費者物価(CPI)で見極め、月末のPCEデフレーターで確認することにはなりますが、想定以上の減速を示したPPIの影響は少なからずこれらのインフレ指標にも影響を及ぼしそうです。

「財やサービスの価格は、大半の地区で控えめから緩やかなペースで上昇しつつあるが、減速の兆候も一部に見られる」とした今朝のベージュブックの内容にも一致し、パウエルFRB議長などが指摘しているとおりの状況にもなりつつあり、PCEインフレが2%を超えてさらに加速する兆候はまだしばらくは見られない状態が続きそうです。

CMEフェドウォッチの12月利上げ確率は83%台から81%台へとわずかな低下にとどまっていますが、来年半ばには中立金利到達で利上げフェーズはいったん打ち止め、というシナリオの現実味が徐々に増してきそうな気配も。

米10年債利回りは3%手前で失速し、ドルインデックスは95ポイント割れへと反落、金価格は反発基調再開への兆しも見られる状況となってきました。

NY金・日足チャート 2018/8/8 - 9/1212日のNY金相場は+8.7ドル、0.72%の続伸で2週間ぶり高値水準。米8月PPIの下振れをきっかけにドル安の流れが強まり、週間在庫統計での原油在庫減少により原油価格が大幅続伸となって70ドル台を回復したことにも触発され、アップルの新型iPhone発表後にはNYダウが反落に転じたことなどもあって上げ幅を拡大。1200ドル近辺での保ち合い推移から上放れ、ゆるやかに上昇し始めた20日移動平均線(1201.5)との揉み合いからも抜け出して1210ドル台半ばまで上昇。このまま1210ドル台を維持できれば上方ブレイクに伴う反発基調再開で当面の上値目標は1250ドル台辺りまで。

NYプラチナ・日足チャート 2018/8/8 - 9/12NYプラチナ相場は+10.6ドル、1.34%の大幅反発。金に追随してNY市場で上げ幅を拡大、8月27日(804.2)以来の高値水準となり、NY引けにかけては800ドルの大台ラインで若干の揉み合いを経てこれも上抜けの兆し。保ち合い形成後に急落のパターンを繰り返して来た今年これまでの流れとは決別し、大幅反発局面形成へと向かう可能性も。8月の急落前の保ち合い上限水準850ドルが当面の上値目標に。

ドル円・日足チャート 2018/8/9 - 9/12ドル円は40銭弱のドル安円高となって4日ぶりの反落。111円台半ばの保ち合い上限を完全には抜けきれず、攻防が続いた状態から、8月PPIが想定以上の失速となったことを受けて急反落。ドル安進行も米10年債利回りの低下は限定的となったこともあり、111円10銭台までの下落では底堅さも。また、米国サイドから中国への新たな貿易交渉提案などが伝えられたことで貿易戦争への懸念後退の思惑から買い戻される場面も。今朝の東京市場でも日経平均の堅調推移に連れる形で111円30銭台へと堅調推移。保ち合い上抜けには失敗し、110円台半ばから111円70銭までのレンジで保ち合い継続へと仕切り直し。今晩の8月CPIでも想定以上の下振れとなるようだと上限トライに向けた勢いはさらに後退へ。また、トルコ中銀の利上げ不十分なら新興国通貨売りによる波乱の展開再現も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/12終値とチャート

13日の国内金価格は+22円、0.48%高となって3日続伸。緩やかに上昇軌道がスタートした21日移動平均線(4570)の上で下げ止まった9日移動平均線(4590)も反発の兆しとなり、金価格の上昇局面形成をサポートする態勢に。予想外に円安反転でNY金の保ち合い上方ブレイクによる上昇となったことにより、上値目標4660円台に向けての到達確率は若干高まったはず。

プラチナ価格は+35円、1.15%の大幅高での3日続伸。8月28日(3096)以来、半月ぶりの高値水準に。円安ではなくNYプラチナ急騰にサポートされたことで上げ幅を拡大、短期上値目標3090円近辺へともう一息。中期的な地合いも好転するためには8月末高値3096円超えが必須となり、重要な攻防水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格9/13とチャート

2018年9月13日(木)時点の相場
国内金4,628 円 9/13(木) ▲22(0.48%)
国内プラチナ3,075 円 9/13(木) ▲35(1.15%)
NY金1,210.9 ドル 9/12(水) ▲8.7(0.72%)
NYプラチナ799.9 ドル 9/12(水) ▲10.6(1.34%)
ドル円111.23 円 9/12(水) ▼0.37(0.33%)

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