金プラチナ短期相場観
ドイツ製造業PMIの減速止まらずユーロ急落、金も連れ安
更新日:2018年11月24日(土)
ドイツのメルケル首相は22日、国内企業の間で米中貿易摩擦を受けた不透明性がすでに広がっているとの見解を示しました。
年前半からその影響が顕著に表れていた製造業の景況感は、低下の一途となっています。
この日、マークイットが発表した11月のドイツ製造業PMI速報値は51.6。4カ月続落となって2016年3月(50.7)以来、2年8カ月ぶりの低水準まで落ち込んできました。
生産指数は2013年4月以来、5年7カ月ぶりの低水準、新規受注の伸びは新規輸出のさらなる減少により停滞、期待値を下回り続ける状態となり、受注残は2016年5月以来、2年半ぶりに減少。
雇用創出も減速し、全体的な雇用成長率は5月以来半年ぶりの低水準。ただし、長期的な平均水準をはるかに上回る水準は維持。
インフレ率は6カ月ぶりの水準へと低下したものの、歴史的傾向としては依然、高水準。
見通しの楽観度合いはほぼ4年ぶりの低水準となり、今後もドイツ企業の信頼感はさらに弱まることを示す状況となっています。
ゴーンショックの影響も懸念され、それ以前から常にドイツとユーロ圏の数値を下回り続けるフランスは50.7。3カ月続落となって2016年9月(49.7)以来、2年2カ月ぶりの低水準。好不況の節目50割れも警戒される水準となってきました。
ルノーが日産を取り込みたかった理由を裏付けるように、製造業の雇用は2016年10月以来、2年1カ月ぶりに減少しています。
足下の減速はは自動車需要の落ち込みや市場環境の悪化を反映しているとのこと。
向こう1年間の景気見通しは2年ぶりの低水準となり、一部の企業では需要鈍化が続き、世界的な景気低迷への懸念も表明しているようです。
減速の勢いとしてはフランスよりもドイツのほうが勝り、その差も急接近、ユーロ圏の数値を牽引してきたドイツも今はユーロ圏を押し下げる形となっています。
そのユーロ圏は51.5となり、4カ月続落となってドイツとほぼ同水準、2016年5月(51.5)以来、2年半ぶりの低水準。
なお、ユーロ圏のサービス業は53.1となり、ユーロ圏の総合指数は10月の53.1から11月は52.4へと低下。2014年12月以来、ほぼ4年ぶりの低水準となっています。
低下基調が続くユーロ圏の消費者信頼感指数などは節目となる長期平均までの距離を残し、強気な見方も残る状況ですが、ユーロ圏とドイツの製造業PMIでは節目の50までのマージンは、あとわずか。
23日のNY金相場は-4.8ドル、0.39%の反落。原油価格の下落がとまらず、この日のNY原油は4ドル超、7.7%の下落率で2015年9月1以来、3年2カ月ぶりの大幅下落となり、水準としては50ドル割れも意識され、1年1カ月ぶりの安値水準。NY原油は今年高値からの下落率が34%となり、弱気相場入り。原油安で資源国通貨も売られてドル高優勢地合いとなって金は軟調推移。ドイツの製造業・サービス業PMIが予想以上に低下したことを受けてユーロが急落すると金も一段安。ただし、水準としては1220ドル台後半から前半へと値幅は限定的。反発基調を強めてきた流れは1230ドルで頭打ちとなり、しかし下値は20日移動平均線(1222.4)にサポートされて小幅保ち合いの様相にも。1230ドルの抵抗水準を上抜けできれば1280ドル台を目標に上値を伸ばす展開にも。下値は1220ドルを割れると1200ドルの大台ラインまでは意識されやすい状態にも。
週間ベースではわずかに+0.2ドル(0.02%)で続伸。
NYプラチナ相場は-5.6ドル、0.66%の反落。850ドルをはさんでの揉み合い状態から840ドル台半ばでの揉み合いへと水準をやや切り下げる形となり、NY朝には一時840ドル割れもこの水準では底堅く推移。850ドル台では上値が重くなり、20日移動平均線(852.5)が抵抗水準となりつつある状態にも。850ドルから860ドルまでの抵抗水準を突破できれば流れも好転、上値目標は880ドル台へ。840ドルから830ドルまでのサポート水準を維持できなくなれば810ドル台辺りまで下値余地拡大へ。
週間では-1.6ドル(0.19%)の小幅安で3週続落。
ドル円は前日からほぼ変わらず112円90銭台での横ばい推移。感謝祭の祝日を挟んだNY市場でダウは4営業日続落となり、週間では1120ドル超、4.44%の下落率となって3月以来8カ月ぶりの大幅下落、水準としては4カ月半ぶりの安値水準に。ナスダックも週間下落率は4.26%となって8カ月ぶりの大幅下落となるなど米株安基調は続き、株安原油安でドル高円高地合い。ドル円はこの日も113円で上値を押さえられ、株安原油安の勢いが強まったNY時間には112円60銭台まで下押し。しかし株価と原油が下げ止まると元の水準に向けて反発。下ヒゲを残して底堅さを見せる形となったものの、次週は月末指標やG20、米中首脳会談などが波乱要因にも。112円台半ばのサポート水準を割れると円高の流れが強まる可能性もあり、下値目安は3月安値から10月高値までの38.2%戻しとなる110円70銭台辺りまでが意識されることにも。
週間ベースでは+0.15円(0.13%)で小反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/23終値とチャート
- 2018年11月24日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,772 円 11/22(木) ▲32(0.68%) 国内プラチナ : 3,297 円 11/22(木) ▲28(0.86%) NY金 : 1,223.2 ドル 11/23(金) ▼4.8(0.39%) NYプラチナ : 845.0 ドル 11/23(金) ▼5.6(0.66%) ドル円 : 112.97 円 11/23(金) ▲0.03(0.03%)
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