金プラチナ短期相場観
ISM製造業景況指数も急低下で新年のリスクオフを助長
更新日:2019年1月4日(金)
米12月ISM製造業景況指数が市場予想を大幅に下回ったことをきっかけに米長期金利が急低下し、ドル安と株安の流れも後押し、東京市場朝の時間帯から続いていたリスクオフムードを助長した格好となりました。
12月は各地区連銀の製造業景況指数が軒並み低調となっていたことから、ある程度の下振れは予想されましたが、その振れ幅が想定以上と見る向きのほうが多かったようです。
節目の50を大きく上回る54.1という数値は決して悪くはないものの、11月の59.3からは-5.2ポイントの急低下となったことが米景気減速への警戒感を強める形にもなったようです。
-5.2ポイントの急低下となるのは2014年1月(-5.2)以来、4年11カ月ぶりとなり、それ以前では2011年5月(-5.2)、さらに遡ると2008年10月の-5.9。
リーマンショックの時に続き、2番めタイの急低下となっています。
構成指数では、新規受注が51.1となり、2年4カ月ぶり低水準。生産も54.3で2年3カ月ぶり低水準。受注残は拡大と縮小の節目50.0となって1年11カ月ぶり低水準。
60ポイント台の高水準が続いていた入荷遅延も57.5へと急低下し、1年ぶり低水準。
景気の過熱感が後退していることを示す結果となってきています。
その一方で顧客在庫は41.7と低水準での推移が続き、決して需要が減少している訳ではないことも示しています。
その他、雇用は56.2で8カ月ぶりの水準へと低下も依然として高水準を維持。
輸入は52.7と拡大基調は続いていますが、1年11カ月ぶり低水準へと減速し、価格も60-70台の高水準から54.9まで低下し、2年1カ月ぶり低水準。
この日発表されたADP雇用者数も予想外の好結果となっていたのと同様に、労働市場の好調はまだまだ続いているようですが、他のインフレ指標が示すとおりにインフレ圧力は後退しているようです。
これまで強過ぎた景況感がそれなりのレベルへと減速しただけと見ることもできるものの、少なくとも3月利上げを見送る材料にはなり得そうな状況にはなってきたようです。
3日のNY金相場は+10.7ドル、0.83%の続伸で6月14日(1308.3)以来、6カ月半ぶり高値水準となり、昨年高値から安値の61.8%戻し(1292.1)を終値でも達成。為替市場がフラッシュ・クラッシュ状態となった東京朝の時間帯に水準を切り上げるも1290ドルでは落ち着かず、1290ドルをはさんでの保ち合い推移。NY市場では米12月ISM製造業景況指数の大幅下振れを受けて米10年債利回りがおよそ1年ぶりとなる2.5%台へと急低下、金は1290ドル台後半へと急騰。今晩の雇用統計では賃金上昇率も含めてそれなりの好結果となる可能性のほうが高そうで、リスクオフムード後退も予想され、そうならない場合に限り1300ドルの大台トライも。20日移動平均線(1261.8)までが当面の下値サポートに。
NYプラチナ相場は-4.7ドル、0.58%安となって3営業日ぶりの反落。800ドルの大台を挟んでの揉み合い状態に終始、NY引け後になってようやく805ドル超を試す動きも。現状のようにサイクル的に堅調な流れで水準を切り上げることができない場合、次の展開としては大きく水準を切り下げるようなパターンがこれまでも繰り返されてきたことへの警戒感も。上値トライが進行した場合、目先は820ドル台辺りまでが上値目安に。780ドル台の下値サポートを割り込むようなことがあれば昨年安値更新トライへ。金との価格差は12月28日の493.4ドルを超え、495.5ドルへと過去最大を更新。
ドル円は110銭超のドル安円高となって5日続落。4月20日(107.66)以来、8カ月半ぶりのドル安円高水準。東京朝の急落で一時的に105円を割れて107円台後半へと戻した後は、106円70銭台までの再反落と108円30銭台まで反発する場面もあり、荒い値動きから107円台後半で落ち着き始めた状態に。大発会の日経平均が大きく下げてスタートしている割には底堅さも見られ、日足レベルでは過熱感も高まっていることもあり、米12月雇用統計がそこそこの好結果となれば安心感から若干の反発も。昨年安値から高値までの76.4%戻しとなる107円近辺が目先のサポートとなりやすく、61.8%戻しとなる108円40銭台までが反発方向への目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/3終値とチャート
- 2019年1月4日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,848 円 12/27(木) ▲35(0.73%) 国内プラチナ : 3,056 円 12/27(木) ▲56(1.87%) NY金 : 1,294.8 ドル 1/3(木) ▲10.7(0.83%) NYプラチナ : 799.3 ドル 1/3(木) ▼4.7(0.58%) ドル円 : 107.69 円 1/3(木) ▼1.14(1.05%)
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