金プラチナ短期相場観
CPIは2年4カ月ぶり低水準もコアCPIは11カ月連続2%超でドル高
更新日:2019年2月14日(木)
米労働省が発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.6%となり、市場予想の+1.5%を上回りました。食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+2.2%。これも市場予想の+2.1%を上回り、3カ月連続で2.2%を維持し、2%台での推移は昨年3月から11カ月連続。
インフレ適正水準2%前後のレンジ内で、やや上方の水準が続いていることが示され、年内利上げ打ち止め観測が強まるなかで、意外とそうはならない可能性も示唆する形となって市場はドル高と金利上昇の反応となりました。
この日、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が「今年と来年それぞれ1回の利上げが適切」、「インフレ率も今年と来年にかけて2%超」と最近の関係者発言のなかでは珍しく、利上げ回数に言及するややタカ派的な発言にも一致する結果となったようです。
項目別では、ガソリン価格が前年比-10.1%と大幅下落となり、航空運賃が-2.8%となって半年ぶり低水準。携帯電話サービスも3カ月連続で-3.0%台と9カ月ぶり低水準での推移が続き、医療用品も-0.3%で2カ月連続の前年比マイナスとなるなど、インフレ加速の兆しは見られません。
また、CPIの+1.6%は2017年6月以来1年7カ月ぶり低水準となっていますが、小数点以下2桁で見ると前年比+1.55%にとどまっており、2016年9月(1.46)以来2年4カ月ぶりの低水準。
もちろんこれは原油価格急落の影響によるものであり、NY原油価格は月間平均で12月の48.78ドルから1月は51.55ドルへと反発しており、2月も現時点で53.58ドル。CPIも次月以降の反発が予想されます。
しかし、コアCPIを小数点以下2桁で見ると1月は+2.15%となり、11月の+2.21%からは2カ月連続の低下。3カ月ぶりの低水準となり、直近9カ月ては2番めの低水準にとどまっており、インフレ加速よりはむしろ減速基調。
また、政府機関の一部閉鎖の該当省庁となっていた商務省管轄の個人消費支出物価指数(PCE)は12月分もまだ発表されておらず、FRBの政策判断指標も政局リスクの影響を受ける形となっています。
11月のコアPCEは前年比+1.88%となっていました。コアCPIと同様の推移となれば1月にかけても低調な推移が予想され、目標水準2%前後の下限付近での推移が続いていることになり、まずは3月FOMCでの据え置き確定となりそうです。
万が一政府機関の再閉鎖となれば、その判断にも影響が及び、リスク回避再燃となってやはり3月FOMCでの据え置き確定へ。
13日のNY金相場は+1.1ドル、0.08%の小幅続伸。時間外の1310ドル台での保ち合い推移からNY朝には米1月CPIが予想を上回り、1310ドル付近まで小幅下落もインフレ圧力はそれほど強くもなく、切り返す展開で1320ドル超へと買い上げる動きに。しかし、市場反応は長期金利の急反発とドル高の流れが加速する展開となって急失速、戻り売り圧力が強まるとNY午後には1310ドル割れ。引け後には1310ドルを回復する場面もあり、この水準での底堅さも続くものの1320ドル超での上値の重さも継続。小幅保ち合い状態が続くなか、ユーロドルは3カ月ぶり安値となる1.12ドル台、ドル円も111円台、ドルインデックスも節目の97ポイント付近に到達し、ドル高の流れには巻き戻しも入りやすい水準に。NY金は20日移動平均線(1305.5)から1300ドルの大台ライン近辺まででサポートされれば徐々に保ち合いから上値トライ再開へと流れが変わる可能性も。
NYプラチナ相場は+2.2ドル、0.28%の小幅続伸。NY朝には一時790ドル台後半まで反発も、戻り売り圧力が勝って再び790ドル割れ。今年最安値となった前日の785.5ドルこそ下回らないものの、上値の重い展開は継続中。下げ渋りながらも下値目安760ドル台を目指す流れが優勢に。800ドルの大台回復と20日移動平均線(807.8)超えが短期的な地合い好転への関門に。
ドル円は50銭のドル高円安となって3日続伸。12月26日(111.31)以来、1カ月半ぶりの高値水準で一段高となって短期上値目標111円付近にしっかり到達。前日のドル安円安の流れから、この日はコンスタントにドル高円安の流れが継続。欧州時間には110円70銭台でいったん頭打ちとなったものの、米CPIの好結果を受けて80銭台へと急騰、その後もドル高の流れが続いて一時111円超え。今朝の東京市場では節目の21000円を超えてきた日経平均が3日続伸スタート後に急失速していることにも連れて110円80銭台へと軟調推移スタート。目先は上昇一服となりやすく、多少行き過ぎの場合でも200日移動平均(111.28)辺りが抵抗線となる可能性。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/13終値とチャート
14日の国内金価格は+13円、0.26%高となって4日続伸。昨年5月11日(4984)以来9カ月ぶりの高値水準での堅調推移となり、短期上値目標5000円台に向けた流れが着実に進行し始めた様子も。昨年1月高値5127円から8月安値4458円までの76.4%戻し(4969)を達成しており、中期的には100%戻しが次の上値目標にも。ただし、短期的には円安一服感とNY金の上値の重さも続いており、どちらかが予想外の展開とならない限り一本調子での大台到達とはいかない可能性も。調整局面が進行し、下方向への節目4930円を割れた場合には4870円近辺まで下値余地拡大も。
プラチナ価格は-6円、0.2%の小幅反落。2月に入ってからの急落からデッド・キャット・バウンス状態となって下値警戒感再燃も。プラチナの場合にしばしば見られる大幅急落後の小反発からの一段安。ただ、しばらくは急落後の安値圏を維持する保ち合い推移となる傾向もあり、12月から4度サポートされた2980-2990円台の水準を維持できるかどうか。しかし、11月以降の急落からのデッド・キャット・バウンス後の保ち合い下限と見ると・・・。2990円割れなら2950円前後までが次の下値目安に。
金との価格差は1968円へと過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格2/14とチャート
- 2019年2月14日(木)時点の相場
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国内金 : 4,977 円 2/14(木) ▲13(0.26%) 国内プラチナ : 3,009 円 2/14(木) ▼6(0.20%) NY金 : 1,315.1 ドル 2/13(水) ▲1.1(0.08%) NYプラチナ : 791.8 ドル 2/13(水) ▲2.2(0.28%) ドル円 : 110.97 円 2/13(水) ▲0.50(0.45%)
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