金プラチナ短期相場観
金産出大国は中豪露、金輸出大国は豪州、金輸入大国は印中
更新日:2019年3月5日(火)
世界全体での金の鉱山産出量は2018年に3260トン。
米地質調査所(U.S.Geological Survey)によれば、世界の金産出量は近年増加傾向が続き、2008年の2260トンからは1000トンの増加。
国別の金産出量では、中国が400トンで世界全体の12%を占め、豪州が310トン、10%、ロシアが295トン、9%で続きます。金産出大国ビッグ3、中国、豪州、ロシアで世界全体の3割を産出しています。
このうち、中国は2018年の金消費需要が976.7トン。国内産出分では需要の半分もまかない切れず、数字上は600トン弱を輸入で補う形となっています。
産出量2位の豪州では、金消費の国内需要は多くはなく、産出分の大半が輸出に回っている可能性があります。
産出量3位のロシアでは、2018年にはロシア中銀が274トンもの金を買い増ししており、国内産出分の大半を中銀が買い取る、地産地消状態となっているものと推測されます。
なお、産出量4位は米国で2018年には210トン。このうち金消費需要で156トン(消費需要世界3位)。米国もロシアと同様に地産地消が可能な金大国でもあります。
そして、国内ではほとんど金が産出されないインドでは、年間金消費需要760トン(2018年)を全て輸入で満たしていることになります。
世界の金産出大国は中国、豪州、ロシアですが、金輸出大国は豪州のみということになり、金輸入大国としては、やはりインドと中国のビッグ2となります。
オーストラリアでは、この1年間でドル高・豪ドル安が進行し、豪ドル建て金価格は理論値で7%ほど上昇。金輸出大国オーストラリアでは、金の輸出が国内経済に貢献しているはずです。
インドでもドル高・ルピー安の進行に伴い、ルピー建て金価格は6%上昇。金輸入大国インドでは、国内金価格上昇が国内金消費需要の足かせになりそうです。
中国でもドル高・人民元安が進行し、人民元建て金価格はこの1年で3%上昇。国内需要の半分以上を輸入に依存する金輸入大国中国では、金産出量も近年減少傾向となり、輸入依存度も高まりつつあります。国内景気減速懸念とともに、国内金価格の上昇が金消費需要の伸びを押さえる要因の一つとなりそうです。
4日のNY金相場は-11.7ドル、0.9%の大幅安で6日続落、1月24日(1279.8)以来の安値水準に。6日続落は2017年3月以来、2年ぶり。米中協議の進展に伴い、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が3月27日頃に首脳会談を開いて正式合意となる可能性なども伝えられ、リスクオンの株高地合いに。欧州時間にはユーロ売りに伴うドル高優勢の流れに金も軟調推移となって1290ドル割れ。NY市場ではダウの戻り売りが強まって一時400ドル安となってドル高も失速すると1290ドル台へと反発する場面もあったものの、これも一時的に。NY朝につけた安値では1280ドル台前半まで下げ、昨年8月安値から2月高値までの38.2%戻し(1280)にもほぼ到達した形となり、調整局面一服ともなりやすいところだが。
NYプラチナ相場は-24.8ドル、2.87%の大幅続落。下げ幅としては昨年安値となった8月15日(-29.8ドル、3.72%)以来、半年ぶりの大幅下落。金の下落にも連れ、欧州時間に下げ幅を拡大すると850ドル割れへと急落、NY市場では一段安となって840ドルをはさんでの保ち合い推移の展開に。12月安値から2月末高値までの38.2%戻し(841.2)を達成したことで調整一服も。50%戻し(829.3)となる820ドル台後半は比較的強めのサポートにも。ただし、この重要水準を割り込んだ場合には800ドルの大台ライン付近が意識される展開にも。
ドル円は20銭弱のドル安円高となって4日ぶりの小反落。3日間の堅調推移で水準を切り上げてきた流れは東京時間朝につけた112円00銭台で頭打ち、前日高値付近で上値を押さえられると、112円手前での膠着状態に。NY時間には米株急落の流れにも連れて円高圧力が強まり111円60銭台まで下押し。米10年債利回りが2.8%手前で失速して反落の流れとなったことも重石に。ただし、下値も堅く今朝の東京市場では反落スタートの日経平均の下げ幅縮小にも連れて再び112円方向へと堅調推移。90-200日移動平均線が集中する111円30銭台が当面のサポート水準にもなりそうで、きっかけがあれば112円台半ば辺りまでは上値を伸ばす展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/4終値とチャート
5日の国内金価格は-33円、0.66%の続落で2月8日(4934)以来、1カ月ぶりの安値水準に。NY金の軟調推移継続に円安サポートも入らず、短期下値目安4970円近辺をオーバーラン。水準的には8月安値から2月高値までの23.6%戻し(4942)付近にも到達しており、ここから2月初旬安値4930円辺りまでは次のサポート候補にも。
プラチナ価格は-89円、2.7%の大幅続落。下げ幅は今年最大となり、昨年安値をつけた8月16日(-162円、5.27%)以来、6カ月半ぶりの大幅下落。過熱感解消に向けて予想された一段安の目安、1月安値から3月高値までの23.6%戻し(3247)を突き抜けて38.2%戻し(3196)付近に到達。昨年10月の保ち合い水準にも達しており、この近辺は落ち着きどころにも。下げ止まらないようなら半値戻し(3156)と90日移動平均線(3156)辺りが意識されることにも。
※参考:金プラチナ国内価格3/5とチャート
- 2019年3月5日(火)時点の相場
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国内金 : 4,951 円 3/5(火) ▼33(0.66%) 国内プラチナ : 3,209 円 3/5(火) ▼89(2.70%) NY金 : 1,287.5 ドル 3/4(月) ▼11.7(0.90%) NYプラチナ : 838.9 ドル 3/4(月) ▼24.8(2.87%) ドル円 : 111.74 円 3/4(月) ▼0.18(0.16%)
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