金プラチナ短期相場観

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伸び悩む賃金上昇率にも、ゼロ賃金の割合は10年ぶり低水準に

更新日:2019年8月13日(火)

ゼロ賃金の割合 2019年7月ゼロ賃金の割合が10年ぶり低水準となり、底打ちの可能性を示すような推移となっていた6月までの状態から一変、低下基調再開の可能性を示すような急低下に。
アトランタ連銀が発表した7月の賃金上昇トラッカー(個人時給中央値の前年比3カ月平均)は前年比+3.9%となり、6月と変わらず横ばい推移。2018年11月と2016年10-11月とも並び、最後のリセッション以降での最高水準で頭打ちの状態が続いています。
雇用統計での平均時給の上昇率が前年比+3.2%前後で推移し、やはり最後のリセッション以降での最高水準付近で頭打ちとなっているのと同じ状態です。

これに対して、賃上げ率が+-0.5%の範囲内にとどまる、通称「ゼロ賃金の割合」は、6月の13.3%から7月は12.9%へと急低下。これまで最後のリセッション以降での最低となっていた2016年10月の13.0%を下回り、2009年3月(12.6%)以来、10年4カ月ぶりの低水準となりました。

これが一時的な下振れに終わらず、もう少しこの傾向が続くようなら賃金上昇率の押し上げ効果をもたらすことになり、延いては低迷が続くインフレ率の押し上げにもつながることにもなりそうです。

差し当たり、本日発表される7月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回るようだと追加利下げ観測が一段と進行し、ドル安の流れが一段と強まる展開も予想されます。しかし、年後半に向けてインフレ上昇の可能性を捨てきれないFOMCタカ派メンバーの利下げ反対理由の一つとしても、ゼロ賃金の割合と賃金上昇率の動向が注目されます。

NY金・日足チャート 2019/7/9 - 8/12週明け12日のNY金相場は+8.7ドル、0.58%高となって3日ぶりの反発。先週末の調整の流れを受け継いだ時間外には一時わずかながらも1500ドルの大台を割れる場面も。しかし、欧州時間に入ると米10年債利回りが1.7%割れへと急低下したことを受けて株安・ドル安の流れが急速に強まり、急反発の金はNY市場にかけて1510ドル台半ばを回復。NY引け後にかけては長期金利が一段と低下、ダウも一段安で390ドル超の下落となった流れを受けてNY金は一時1530ドル台へと一段高、2013年4月12日以来、6年4カ月ぶりの高値水準に。
米中対立と景気減速懸念に米FRBの追加利下げ観測、世界的な金利低下やブレグジット、イタリア政局などへの先行き不透明感、イラン情勢に香港情勢悪化などに加え、この日はアルゼンチン大統領予備選でマクリ大統領が野党候補に大差をつけられて2位となったことを受けてアルゼンチン・ペソが過去最安値へと急落。リスク要因が後を絶たない状況となり、買われ過ぎ状態の金価格を下支え。目先は1500ドルから1520ドルまでが主要レンジとなり、今朝の時間外では1520ドルを上抜けつつある状態。このまま上方ブレイクとなれば1540ドル付近までが次の上値目標に。1500ドル割れへと反落の場合には1480ドル付近までが調整目安に。

NYプラチナ・日足チャート 2019/7/9 - 8/12NYプラチナはわずかに-0.1ドル、0.01%の小幅安で3日続落。時間外には860ドル台半ばから860ドル割れへと軟調推移。急反発の金には追随し切れず、なんとか860ドルを回復した状態。850ドルから870ドル台までの保ち合いレンジ半ばでの横ばい推移となり、20日移動平均線(862.4)にもギリギリ支えられて中立を維持する状態に。870ドル超へと上方ブレイクできれば900ドルの大台付近が上値目標に、850ドル割れへと下方ブレイクなら830ドル付近までが下値目安に。
金との価格差は7日の648.6ドルを上回り、653.5ドルへと過去最大を更新。

ドル円・日足チャート 2019/7/9 - 8/12ドル円は40銭程のドル安円高となって4日続落。終値ベースでは昨年3月23日(104.74)以来、1年4カ月半ぶりの安値水準。東京市場が休場の日には円高が進行しやすいアノマリーはこの日も健在。リスク回避優勢の状況ではやむなしの展開で東京時間朝には先週末水準105円60銭台から30銭台へと低下。円高方向へのサポート水準となってきた105円台半ばの水準へと何度か戻す場面もあったものの、欧州時間以降に力尽きた格好。株安と長期金利低下の流れとともに円高圧力が強まると一時105円00銭台まで下落。しかし、この水準では意外と底堅さもあり、今朝の東京市場にかけては105円30銭台を回復。短期的な流れとしては、もう一段の円高が進行してもおかしくはない状態となり、104円台後半までが目先の下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/12終値とチャート

13日の国内金価格は+3円、0.05%の小反発。カレンダーに救われて大幅調整を回避。山の日の振替休日となった月曜朝から火曜朝までにNY金は15ドル程度水準を切り上げ、為替は1ドル=105円30銭台辺りでほぼ横ばい推移。急反落リスクを抱えたままでの高止まり状態が継続。5月末安値4821円から8月高値5487円まで2カ月余りで666円上昇しており、23.6%戻し(5330)辺りまでが当面の下値目安候補に。高値再更新となれば次の上値目標は5530円台辺りまで。

プラチナ価格は-38円、1.2%の大幅安となって5日ぶりの反落。3156円から3176円までに収束してきた9-90日移動平均線が抵抗水準となって上値を押さえられた格好に。流れとしては下押し圧力再燃、という形で直近安値を下回れば下げ幅拡大へ、というパターンにも。目先、3090円台の直近安値を下回れば少なくとも3050円近辺までの一段安は見込まれ、下押し圧力が強まるようなら今年安値2970円が意識されるような展開にも。逆に3160円超へと切り返す展開となれば3220円近辺までが上値目標にも。
金との価格差は2351円となり、8日の2332円を上回って過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格8/13とチャート

2019年8月13日(火)時点の相場
国内金5,472 円 8/13(火) ▲3(0.05%)
国内プラチナ3,121 円 8/13(火) ▼38(1.20%)
NY金1,517.2 ドル 8/12(月) ▲8.7(0.58%)
NYプラチナ863.7 ドル 8/12(月) ▼0.1(0.01%)
ドル円105.28 円 8/12(月) ▼0.39(0.37%)

8/12(月)のその他主要マーケット指標

健康保健、医療サービス価格高騰でコアCPIは今年最高水準に 8/14(水)

伸び悩む賃金上昇率にも、ゼロ賃金の割合は10年ぶり低水準に 8/13(火)

ドイツ貿易収支、6月は輸出入ともに約3年ぶりの大幅減 8/10(土)

為替は年初来の円高水準、街角景気は3年ぶり低水準 8/9(金)

年内利下げあと2回、90%織り込んで金は1500ドル 8/8(木)


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