金プラチナ短期相場観
微妙に弱かった?8月雇用統計、秋以降要注意の指標
更新日:2019年9月7日(土)
8月の平均時給は前年同月比+3.2%となり、市場予想の+3.0%を上回りました。前月比でも予想を上回る好結果となり、雇用者数の伸びが低調となった分をカバーする形にはなりました。しかし、相変わらず昨年末から年初にかけてのピーク水準から一段下がったところでの推移が続き、引き続きピークアウトの可能性を示す状態となっています。
この日、パウエルFRB議長は「リセッションは予想していない」と明言しましたが、市場の認識としては逆イールドなどから「いずれはリセッション入り」を警戒するムードは依然として根強く残ります。
今回の8月雇用統計でも「いずれはリセッション入り」を警戒すべき指標も散見されます。
【非農業部門雇用者数(NFP)】・・・3カ月平均では前月比+15.6万人となり、7月の+13.3万人からは上昇。ただし、7月の数値は2012年8月(13.2)以来、6年11カ月ぶり低水準。年初からの減少傾向も継続中。
【失業率】・・・3.7%で3カ月連続横ばい推移。4-5月の3.6%は1969年12月(3.5)以来、49年4カ月ぶり低水準。12カ月平均では7月の3.76%から8月は3.75%。底打ち間近?の様相にも。過去の実績から、★失業率が12カ月平均を超えたらリセッション入り警戒サイン。
【U6失業率】・・・2000年12月(6.9%)以来18年7カ月ぶり低水準となった7月の7.0%から8月は7.2%へと反発。U6失業率(広義の失業率)とU3失業率(通常の失業率)との差は、7月には3.3%となり、2001年8月(3.2)以来、17年11カ月ぶり低水準。8月にその差は3.5%へと拡大。★U6失業率とU3失業率との差が拡大し始めたらリセッション入り警戒サイン。
【長期失業者の割合】・・・2008年7月(18.9)以来11年ぶり低水準となった7月の19.2%から8月は20.6%へと上昇。12カ月平均は21.18%で11カ月連続21%台で下げ渋りの兆候。★長期失業者の割合12カ月平均が底打ち、反発し始めたらリセッション入り警戒サイン。
秋以降、これらの指標にも・・・要注意です。
6日のNY金相場は-10ドル、0.66%の続落。時間外は前日からのリスク回避の巻き戻しの流れが継続、1520ドル台で下げ渋る展開も20日移動平均線(1528.7)に上値を押さえられ、欧州時間には米長期金利上昇とユーロ安ドル高の流れに連れて軟調推移となり、NY朝には1510ドルまで下落。米8月雇用統計の結果を受けての急反発局面では一時1530ドル半ばまで上昇、その後は1530ドルをはさんでの保ち合いから引けにかけてはパウエルFRB議長講演への警戒感などもあって1520ドル割れへと軟調推移。2日間の調整で50ドル水準を切り下げて1510ドルでいったんはサポートされた状態も、下値目安1500ドル付近までもう少しの下落余地も。
週間ベースでは-13.9ドル、0.91%の続落。続落は4月以来、5カ月ぶり。
NYプラチナは-5.2ドル、0.54%の続落。金に追随する形で軟調推移となった欧州時間には下げ幅を拡大し、960ドル台からNY朝には一時930ドル割れ。雇用統計後の反発では元の水準、960ドル台後半へと乱高下状態。長めの下ヒゲを残して反発への可能性も示唆する状況ながら、上値が重くなってきた金への連動状態を強める現状からは、950ドル付近から980ドル台までを主要レンジに保ち合い形成できるかどうか。もう一段の調整進行なら5月末安値から9月高値までの38.2%戻し(920.1)付近までが次の下値目安にも。
週間では+26.8ドル、2.88%高で3週続伸。
ドル円は106円90銭台でほぼ横ばい推移。107円をはさんでの小幅保ち合い推移が続いた後、雇用統計には急落の反応で107円から106円60銭台へ。強弱混在の結果に下値も限定的ながら上値も重く、107円回復はできず。ただし、前々日までの保ち合い上限にもなってきた106円60銭台がサポートに切り替わる様相にもなり、円安方向への流れが進行しやすい状況のようにも。パウエルFRB議長は引き続き景気拡大維持に向けて「適切に行動する」と利下げ示唆とも受け取れる発言も。しかし、比較的好調な指標も続いたこと、利下げ反対派も根強く存在することなどから、意外と今月は利下げ見送りの可能性も?そんなムードが強まるようなら上値目標108円台前半に向けての流れが加速することにも。
週間では+0.61円、0.57%の続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/6終値とチャート
- 2019年9月7日(土)時点の相場
-
国内金 : 5,592 円 9/6(金) ▼73(1.29%) 国内プラチナ : 3,498 円 9/6(金) ▼86(2.40%) NY金 : 1,515.5 ドル 9/6(金) ▼10.0(0.66%) NYプラチナ : 958.5 ドル 9/6(金) ▼5.2(0.54%) ドル円 : 106.92 円 9/6(金) ▼0.01(0.01%)
微妙に弱かった?8月雇用統計、秋以降要注意の指標 9/7(土)
明暗分かれたISM景況感指数、製造業下振れを非製造業でカバー 9/6(金)
想定外のISM製造業景況指数下振れ、3年ぶりに拡大基調終了へ 9/4(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン