金プラチナ短期相場観
金ETFに過熱感、90日移動平均乖離率は高止まり
更新日:2020年6月20日(土)
金ETF大手、SPDRゴールド・シェアの19日時点での保有量は1159.31トン。2013年4月11日(1181.42)以来、7年2ヵ月ぶりの高水準となっています。NY金が暴落した2013年4月。その暴落直前の水準以来となる量まで回復したことになります。
この時の金価格は1560ドル台、2日後に金価格は1390ドル台、金ETFは1150トン台、その後も1100トン割れ、1000トン割れへと短期間で急減して行くことになります。
昨年夏から金価格の急騰が続き、金ETFも増加が続きます。90日移動平均との乖離率に着目すると、いずれも12%を超えるとピークアウト警戒感が高まる状態となります。
昨年8月に金価格が1500ドル台に到達した時、金価格の90日移動平均乖離率は12%に到達しました。8月中に散発的に5度、12%台を記録した後、秋にかけての金価格の調整局面に合わせて乖離率も1桁台へと過熱感を解消していきました。
これに若干遅れる形で、金ETFの90日移動平均乖離率は9月初旬に12%台に到達。9月中に5日間ほど12%台を記録し、800トンを超えて10月以降は過熱感を解消。
そして今年、3月のコロナショックの影響で価格が乱高下したこともあり、金価格の90日移動平均乖離率はそれほど極端な上昇はなく、急落前の2月20日に1670ドルまで上昇した時に10%台まで上昇、その後は4月まで1桁台が続き、今年高値1760ドル台まで上昇した4月14日、90日移動平均乖離率も12%台に到達。しかし、今年の12%台はこの1日のみ。2桁台でもこの前後合わせて4日間と2月の1日とで合計5日間のみ。4月中旬以降は1桁台での推移が続き、6月に入ると1%台まで低下した日もありました。
過熱感を大きく解消したことも、この週末に金価格が保ち合い上抜けへと急上昇した要因の一つとなったかもしれません。
金ETFの90日移動平均乖離率は、価格が最高値となった4月14日に10%に到達し、20日以降には12%台、4月末から6月初旬までは12%台以上が続き、5月半ばには最大15%台まで上昇。今週に入って12%割れへと若干低下していましたが、金曜日の価格急騰とともに金ETFも増加、90日移動平均乖離率も再び12%を飛び越えて13%台へと急騰。
金ETFの90日移動平均乖離率が高止まりの現状、短期的には金ETFの過熱感が、目先の金価格の上値を押さえる要因の一つとなる可能性もありそうです。
19日のNY金相場は+21.9ドル、1.27%の大幅高となって3日ぶりの反発。5月15日(1756.3)以来、1ヵ月ぶりの高値。米国ではアリゾナ州やフロリダ州などで新型コロナウイルスの感染者数が急増、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はパンデミックは「新しい危険な局面」発言、アップルは再開していた店舗の一部、4州で11店舗を再閉鎖。FRB関係者は連日、異口同音に米経済回復の弱さ、時間を要することなどを指摘。米株も6連騰のナスダック以外は一服状態、ダウはアイランド・リバーサルのギャップ埋めに失敗して3日続落。ドルインデックスは4日続伸もリスク回避優勢の流れを背景にNY金は保ち合い上放れ。時間外から堅調推移となって欧州時間には節目の1740ドルの攻防、これを突破するとNY朝にかけて加速、1750ドル台へと水準を切り上げて1760ドルにもワンタッチ。短期上値目標1760ドル台にも瞬間的にほぼ到達した形にも。終値ベースで1750ドル台、高値では1760ドル付近でピークアウトするパターンは4月以降何度も繰り返されており、今回も新たな材料がなければ週明けに1770ドル付近まで上値を伸ばすかどうか、という状況で反落警戒感も。
週間ベースでは+15.7ドル、0.9%の続伸。
NYプラチナは+15.1ドル、1.86%の大幅高で3日ぶりの反発。NY金の堅調推移に連れて下げ渋り、もう一段の下値トライに向けた流れは巻き戻されて欧州時間から徐々に加速、NY朝には830ドルを回復し、午前のうちに850ドル付近まで急騰。しかし上方向への節目となる840ドル台から20日移動平均線(853.0)などへの抵抗感もあってこの水準を維持できず、NY引けにかけては830ドル割れ。5月後半以降、上値を切り下げてきた抵抗線突破には失敗。次週、再チャレンジで840ドル台から850ドル超へと上抜けできればトレンド転換へ、880ドル近辺までが目先の上値目標に。逆に810ドルの下値サポートを割れるようだと下値トライ再開、下値目安は780ドル付近まで。
週間ベースでは+8.3ドル、1.01%高で4週ぶりの反発。
ドル円は10銭弱のドル安円高、0.07%安で小幅に4日続落。感染第2波懸念などが意識されてリスク回避ムードがやや優勢、という状態でドル高・円高優勢の綱引きとなったドル円は106円80銭台を中心に小幅保ち合い。下値は前日安値106円60銭台を下回らず、106円70銭台では底堅く、上値も前日高値107円10銭台にも届かず。変動値幅は30銭にとどまり、今年の平均86銭の半分以下。106円80銭から107円50銭までの小幅レンジでの保ち合い継続、下方ブレイクなら5月安値105円90銭台までが目安に、上方ブレイクなら200日移動平均線(108.42)前後、108円台半ばまでが上値目標に。
週間ベースでは-47銭、0.44%の続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/19終値とチャート
- 2020年6月20日(土)時点の相場
-
国内金 : 6,479 円 6/19(金) ▼13(0.20%) 国内プラチナ : 3,031 円 6/19(金) ▼27(0.88%) NY金 : 1,753.0 ドル 6/19(金) ▲21.9(1.27%) NYプラチナ : 827.3 ドル 6/19(金) ▲15.1(1.86%) ドル円 : 106.89 円 6/19(金) ▼0.08(0.07%)
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