金プラチナ短期相場観
ユーロ圏7月景況感指数は過去最高も格差拡大で失速
更新日:2021年7月30日(金)
欧州委員会が発表した7月のユーロ圏景況感指数は119.0。市場予想の118.2を上回り、6月から1.1ポイント上昇して6ヵ月続伸、2000年5月の118.2を上回って21年2ヵ月ぶりに過去最高を更新。ただし前月比+1.1は3ヵ月連続で上昇幅縮小、6ヵ月続伸となってきたなかでは最小の伸び。失速感も漂います。
業種別では製造業が14.6となって4ヵ月連続過去最高を更新、サービス業も19.3となって2007年4月(19.9)以来、14年3ヵ月ぶり高水準となるなど好調を維持。
ユーロ圏主要国、ビッグ4ではイタリアが牽引役。119.6となって8ヵ月続伸、2000年6月(120.1)以来、21年1ヵ月ぶりの高水準。ドイツは117.5で6ヵ月続伸、2ヵ月連続の過去最高で追随。フランスは116.7で前月比+4.0の急騰で猛追。6ヵ月続伸となって、2001年2月(117.5)以来、20年5ヵ月ぶりの高水準。スペインも108.9へと反発し、2018年6月(109.4)以来3年1ヵ月ぶりの高水準。
指数でイタリア以上の好調を示したのは2カ国。オーストリアが123.7となってユーロ圏内トップも前月の過去最高から-1.6。ベルギーは120.2で2ヵ月連続過去最高。
ユーロ圏以上となったのはルクセンブルグで119.1。21年2ヵ月ぶり高水準となった前月からは-2.8。
ユーロ圏未満(フランス未満)スペイン以上は6カ国。フィンランドが113.9で前月の3年半ぶり高水準から-0.9。アイルランドも113.9で2018年12月(114.7)以来2年7ヵ月ぶり高水準。オランダは113.4で前月の13年10ヵ月ぶり高水準から-0.3。ギリシャの111.2は1年5ヵ月ぶり高水準。エストニアは110.1で2007年6月(112.0)以来14年1カ月ぶり高水準。マルタは110.0で4月の3年3ヵ月ぶり高水準から3ヵ月続落。
スペイン未満は6カ国。リトアニアは108.1で13年半ぶり高水準となった5月から続落。スロベニアは106.3で5月の2年4ヵ月ぶり高水準から続落。ポルトガルは104.8で5月の2年5ヵ月ぶり高水準から続落で前月比-5.8の急落。ラトビアは102.9で3年5ヵ月ぶり高水準の前月から-2.7。キプロスは102.0で1年4ヵ月ぶり高水準となった前月から-3.0。スロバキアは97.9となって前月の3年2ヵ月ぶり高水準から-5.5、唯一過去平均100割れ。
ユーロ圏全19カ国中、前月比マイナスとなったのは6月が5カ国だったのに対し、7月は11カ国に倍増。ビッグ4以外で7月に上昇したのはわずかに4カ国。
ユーロ圏内での格差拡大が景況感の失速要因となっています。
29日のNY金相場は+36.1ドル、2.01%の大幅反発。上げ幅は今年の平均騰落値幅12.1ドルの3倍、3月9日(+38.9ドル、2.32%)以来4ヵ月半ぶりで今年3番めの急騰、2%超の上昇も今年3度め。FOMCとパウエル議長会見で当面の緩和政策継続が改めて再確認され、それまで続いた軟調気味の膠着状態から解き放たれての急騰。アジア時間に1820ドル近辺へと一段高、ロンドンでは1820ドル台後半へ、NY朝には米4-6月期GDPが市場予想を下回り、失業保険申請件数も増加して1830ドルトライへ、NY午後には一時1830ドル台後半まで上昇。1ヵ月半ぶりに200日移動平均線(1824.2)を上抜けて6月16日(1861.4)以来、1ヵ月半ぶりの高値。その6月半ばの急落後の最高値となり、7月半ばの高値を超えて節目の1730ドルも上抜け。NY引けにかけての小反落でも1830ドル台を維持し、可能性としてはもう一段の上値を試しに行く余地も。月末月初の指標と1週間後の雇用統計まででポジティブサプライズなどがなければ上値トライ優勢の展開に。ネガティブ指標などのきっかけがあれば短期上値目標は1860ドル近辺まで。当面の下値サポートは1790ドル台。
NYプラチナは+9.5ドル、0.9%の続伸。時間外では金の堅調推移に追随する展開も、1060ドル台後半からNY朝の1080ドル近辺まで。米指標下振れを受けての金の急騰には一時的には追随しながらも米株の伸び悩みなどにも連れる格好で急失速。NY午後には1070ドル割れへと水準を切り下げて上に行って来い、上ヒゲ陽線を形成してのNY引け後には1060ドル割れ。一時1050ドル台前半までを試す場面も。1070ドルの節目上抜けに伴う上値トライへと向かいかけた流れは急速に巻き戻され、下方向への節目1040ドル台との攻防も意識されそうな状況にも。これを割り込んだ場合には下値トライ再開、6月安値1020ドル前後を下値目安に二番底形成へ。
ドル円は43銭のドル安円高、0.39%の反落。FOMC後の軟調な流れは東京朝の109円60銭台でいったんは下げ止まり、東京・欧州時間は109円70銭台を中心に小幅揉み合い推移。NY朝には米4-6月期GDP速報が前期比年率8.5%予想に対して6.5%、失業保険申請件数は38.5万件予想に対して40万件といずれも低調となってドル安の流れとなり、109円40銭台へと下落。90日移動平均線(109.67)も完全に下回る状態に。90日線割れは7月半ばに1日だけわずかに割り込んで以来、本格的に割り込むことになれば1月末以来半年ぶり。ただし、保ち合い下限となる109円40銭では下げ渋る状態で週末へ。この節目水準で耐えきれなくなるようだと一段安の展開へ、短期下値目安は108円前後まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/29終値とチャート
30日の国内金価格は+46円、0.66%の続伸で7月16日(7048)以来、2週間ぶりの高値。FOMC後のNY金の一段高が多少の円高を相殺、ただし買い一巡となったNY金は節目を超えながらも一服状態となっての週末。一段高に向けては多少の追加材料が必要そうにも、そうなった場合には国内価格も7050円の節目超えのチャンスも。9日移動平均線(6991)を上抜けて並びだけは強気のパーフェクトオーダーを完成し、情勢的には上値トライに向けたきっかけ待ちの様相にも。節目超えなら短期上値目標は7120円台。
週間ベースでは+38円、0.54%の反発。月間では+194円、2.84%の反発。
プラチナ価格は-59円、1.43%の反落。前日反発分を帳消し、2日前の水準も下回って6月21日(4034)以来、ほぼ6週間ぶりの安値。二番底をつけて反発への可能性、という状況は巻き戻される形となり、あらためて二番底、の可能性よりも二番底崩れとなる可能性を警戒する局面にも。代わりにNYプラチナが二番底形成へと一段安となれば、6月安値を下回って4020円前後までが短期下値目安に。上方向には4120円の節目を上抜けると4180円近辺までが短期上値目標。
週間ベースでは-64円、1.55%の続落。月間では-106円、2.55%安で3ヵ月続落。3ヵ月続落は2018年8月以来、2年11ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格7/30とチャート
- 2021年7月30日(金)時点の相場
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国内金 : 7,023 円 7/30(金) ▲46(0.66%) 国内プラチナ : 4,059 円 7/30(金) ▼59(1.43%) NY金 : 1,835.8 ドル 7/29(木) ▲36.1(2.01%) NYプラチナ : 1,067.6 ドル 7/29(木) ▲9.5(0.90%) ドル円 : 109.48 円 7/29(木) ▼0.43(0.39%)
コアPCEは3%台で高止まり、トリム平均PCEでは依然2%未達 7/31(土)
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ドル円は8ヵ月ぶりの高ボラ、NY金は1年半ぶり低ボラ 7/29(木)
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PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン