金プラチナ短期相場観

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パウエル議長も方向転換、供給問題とインフレ懸念は来年も継続

更新日:2021年10月23日(土)

ユーロ圏サービス業PMI 2021年10月速報パウエルFRB議長はこの日、「供給上の制約とインフレ高止まりは従来の想定よりも長く続く可能性が高く、来年も継続するだろう。」と発言。「インフレは一時的」としてきた従来姿勢からの方向転換を実質的に認めた格好にも。

供給制約とインフレ高止まりは世界的な問題となり、コロナからの経済復活途上に影を落とす状況となっています。
この問題はユーロ圏の経済成長も抑制。ユーロ圏総合PMIの10月速報値は54.3となって前月比-1.9ポイント、4月(53.8)以来半年ぶり低水準へと落ち込みました。
フランスが54.7とユーロ圏をわずかに上回って牽引。前月比-0.6の小幅低下で4月(51.6)以来、半年ぶり低水準にとどまったの対し、ドイツは52.0と前月比-3.5の大幅低下。7月の過去最高(62.4)をピークに3ヵ月連続の急減速となって2月(51.1)以来、8ヵ月ぶりの低水準。総合PMIでドイツがフランスを下回るのは5ヵ月ぶり。

業種別では、ユーロ圏製造業PMIが10月速報で58.5。前月比-0.1とわずかに低下して2月(57.9)以来、8ヵ月ぶりの低水準。サービス業PMIは54.7で前月比-1.7、4月(50.5)以来半年ぶりの低水準。製造業では60ドル台の高水準でのピーク状態が続き、緩やかな低下基調で9月以降は60割れも相対的には高水準を維持したのに対し、サービス業は今年春以降にようやく50超の成長軌道を回復も、7月の60ポイント近辺をピークに急降下傾向。

この流れを助長したのはやはりドイツの動向、独仏ともに製造業PMIの10月速報では9ヵ月ぶり低水準ながら、ドイツの58.2に対してフランスは53.3。サービス業では逆の展開となり、10月速報ではドイツが52.4となって半年ぶり低水準はユーロ圏と同じ。フランスは56.6となって3ヵ月ぶり高水準。サービス業での独仏逆転は4ヵ月ぶり。

今後の見通しについては、4ヵ月連続で2月以来の最低水準に低迷。サービス業の見通しはやや明るくなったのに対し、製造業ではパンデミックがサプライチェーンや価格に及ぼす影響が長引くことへの懸念から、1年間で最低。
「インフレは一時的」とするラガルドECB総裁の見方にも今後、変化が見られるかもしれません。

NY金・日足チャート 2021/9/20 - 10/2222日のNY金相場は+14.4ドル、0.81%の反発で14日(1797.9)以来、1週間ぶりの高値。1.7%からの反落基調となった米10年債利回りとドル安傾向の流れを受けてロンドン市場にかけて1790ドル台へと10ドル程水準を切り上げて小康状態。NY市場で流れが再開すると1800ドルの大台超えへと一段高、米10月製造業PMIが予想を下回ったことなどもあり、一時1810ドル台半ばまで急騰。1800ドルの節目超えに伴う短期上値目標1820ドル近辺にいきなり急接近して失速すると、パウエルFRB議長がインフレ高止まりリスクに言及したことなどを受けて流れが反転。急反落となって1800ドルを割れると一時1780ドル台半ばまで下げてこの日の上げ幅を帳消し。上に行って来いの荒っぽい展開となった後の自律反発では1800ドルの大台が再び抵抗水準となった感もあり、1790ドル台半ばから前半へと失速、200日移動平均線(1795.0)超えにも失敗。一時的に保ち合いを上抜けて短期上値目標付近まで急騰も、振り出しに戻った状態にも。目先は200日線と1800ドルの大台ラインとの攻防再開も。
週間ベースでは+28ドル、1.58%の続伸。52週移動平均線(1809.4)も抵抗線に。

NYプラチナ・日足チャート 2021/9/20 - 10/22NYプラチナは+2.4ドル、0.23%の小反発。時間外から反発基調で金に追随する展開、1050ドル台からロンドンまでに1060ドル台、保ち合い上限1060ドル超えに伴い、NY朝には一時1080ドルまで急騰。7月29日高値(1081.3)以来、ほぼ3ヵ月ぶり高値をつけ、上方ブレイクに伴う短期上値目標1080ドル近辺にも到達して失速すると1050ドル割れへと30ドル超の急落。自律反発も1050ドル台半ばまでと限定的、NY引け後には1040ドル台前半へと一段安。目先、あらためて1030ドル台から1060ドルまでの保ち合いレンジを維持する形で上抜けなら1080ドルまでの再トライへ、下抜けなら1010ドル前後までを目安に調整局面入り。
週間ベースでは-0.8ドル、0.64%安で3週ぶりの反落。52週移動平均線(1086.5)には少し及ばす。

ドル円・日足チャート 2021/9/20 - 10/22ドル円は51銭のドル安円高、0.45%安となって3日続落。13日(113.25)以来、10日ぶりの安値水準。東京朝に113円80銭まで下げて114円20銭まで反発したのがこの日の高値となって軟調推移。米10年債利回りの低下基調に連れて欧州時間には114円割れ、NY午前には米10月製造業PMI速報値下振れなどを受けて113円60銭まで下落。パウエルFRB議長発言では来年にかけてもインフレ高止まり懸念へと方向転換、ただし早期利上げ否定スタンスは継続で113円80銭台までの急反発後には急反落、NY午後にかけては113円40銭台へと一段安。目標水準到達に伴う短期円安トレンド一服後の調整局面が一段と進行した形となり、113円20銭から114円40銭までが目先の主要レンジに。月末にかけての経済指標で予想外の結果には素直に反応する展開も予想され、レンジ下限を割れると112円近辺を下値目安に調整幅拡大へ。上限超えへと反発なら上値目標は2017年3月高値115円50銭近辺。
週間ベースでは-76銭、0.67%安となって7週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/22終値とチャート

2021年10月23日(土)時点の相場
国内金7,135 円 10/22(金) ▼6(0.08%)
国内プラチナ4,167 円 10/22(金) ▼9(0.22%)
NY金1,796.3 ドル 10/22(金) ▲14.4(0.81%)
NYプラチナ1,052.1 ドル 10/22(金) ▲2.4(0.23%)
ドル円113.50 円 10/22(金) ▼0.51(0.45%)

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