金プラチナ短期相場観
FRBのタカ派急傾斜を促進した共通インフレ期待指数「CIE」
更新日:2022年6月21日(火)
高インフレは一時的、との見方が誤りだったことを素直に認めたイエレン米財務長官(前FRB議長)に同調する形で利上げピッチを急速に上げ始めたFRB。
FOMCでの2022年末FF金利予想中央値が3月時点の1.875%から6月には3.375%へと急騰した背景には、容認し難いほど高い物価は今年いっぱい続くとするイエレン財務長官の最近の予想にも追随し、だからこその大幅利上げの必要性も示したような格好にも。
さらにイエレン財務長官は、ウクライナ戦争を発端とするエネルギー供給の混乱や食料品価格の高騰、中国のコロナ対策なども影響し、極めて多くの不確実要素が存在し、それらが急速に弱まる可能性は低いとしながらも、極めて強い米労働市場なども背景に米国のリセッション回避は可能との見解。
パウエルFRB議長もリセッションは避けられない結果ではないが、可能性としては残ると危機感は隠せない様子も。合わせてウクライナ戦争の影響を多分に受ける状況を考慮し、暗にFRBの責任回避に向けた保険的なニュアンスも。
ともあれ、高騰状態が今しばらくは続きそうなインフレ抑制対策は喫緊の課題。その判断材料の一つとなったのがFRBが実験的に公表するインフレ期待モデル、共通インフレ期待指数(CIE:Common Inflation Expectations)。
NY連銀調査やミシガン大のインフレ期待を含む、様々な指数を加味してFRBが算出するこの指数は最近変更が加えられ、その結果、足下では急上昇。2021年第2四半期、6月時点で2.09となって長期平均2.07を超え、7年ぶり高水準へと急上昇。2022年第1四半期、3月時点では2.15まで上昇。2008年9月(2.15)以来、13年半ぶりの高水準となっています。
もう少し前に変更が加えられていたなら、もう少し早めに利上げフェーズがスタートしていた可能性もあったかもしれません。
四半期単位で算出されるこの指標の次回発表日は7月第3金曜日。この時期までには月間ベースのミシガン大とNY連銀のインフレ期待も出揃い、7月FOMC以降の利上げペース変動要因としての参考材料の一つとなりそうです。
なお、その次は10月第3金曜、さらにその次は来年1月。その頃には軌道修正したイエレン財務長官のインフレ見通しとFRBの利上げペース見通しに対する一定の結果も概ね確認され、場合によってはさらなる軌道修正や利上げペース見直しを余儀なくされるような事態も警戒されそうです。
週明け20日のドル円は15銭のドル高円安、0.11%の続伸。NY終値では14日(135.44)以来、1週間ぶりの135円台。小幅急騰スタートの東京市場朝には135円40銭台、週末高値と同水準まで上昇し、15日高値135円50銭台には届かず失速。日経平均の軟調推移にも同調する形で午前中のうちに134円60銭台まで反落すると午後には一時134円50銭台まで下げて反発。欧州時間に135円台を回復したところでNY時間にかけて動意縮小。引き続き132円から135円50銭までの広めのレンジ内で5日移動平均線(134.30)から134円近辺までに下値サポートを切り上げようかという状態にも。イベント的には月末までやや材料不足感もあるものの、高値更新へと買い圧力が強まって135円台後半へと抜け出せば、136円超、137円台トライへと向かう可能性。
20日NY市場が休場のNY金は時間外のみ、1840ドル近辺から高値では1840ドル台後半、安値では1830ドル台後半まで、10ドル余りの小幅レンジでの揉み合いに終始、ほぼ横ばい推移。
21日の国内金価格は+3円、0.03%の小幅続伸。6月13日(8859)以来1週間ぶり高値圏でわずかに上昇。8650円の節目突破に伴う短期上値目標8700円台到達による一服感からの小動きにも。保ち合い形成としては過去最高値圏8700円前後の水準に位置し、居心地の良い水準でもあることからも動意低下状態に。引き続きドル円の高値更新トライに追随できれば過去最高値近辺再トライの可能性。8620円の下値サポートを維持できない場合には8500円台前半へと調整へ。
週明け時間外のNYプラチナは930ドル近辺から920ドル台半ばまで下げて940ドル台半ばまで反発も、930ドル付近まで巻き戻し。
21日の国内プラチナ価格は+10円、0.23%の続伸。ゆるやかな上昇軌道を維持する21日移動平均線(4425)との揉み合いから、付いていくのが精一杯という状態にも。21日線に上値を押さえられたまま4400円に切り上げた下値サポートを割り込むようだと90日移動平均線(4312)から4300円近辺までを目安に水準を切り下げる展開にも。21日線を突破して4440円の節目超えへと抜け出すことができれば4500円近辺を目安に反発局面形成へも。
※参考:金プラチナ国内価格6/21とチャート
- 2022年6月21日(火)時点の相場
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国内金 : 8,726 円 6/21(火) ▲3(0.03%) 国内プラチナ : 4,415 円 6/21(火) ▲10(0.23%) NY金 : 1,840.6 ドル 6/17(金) ▼9.3(0.50%) NYプラチナ : 930.2 ドル 6/17(金) ▼20.9(2.20%) ドル円 : 135.10 円 6/20(月) ▲0.15(0.11%)
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