金プラチナ短期相場観
エネルギー価格上昇で米8月CPI総合指数は予想通り加速
更新日:2023年9月14日(木)
9月FOMCでの判断材料となる最後の重要指標、米8月消費者物価は総合指数が前年比でわずかに市場予想を上回り、コア指数は前月比で予想を上回る結果となり、瞬間的には米長期金利急騰とドル高進行。しかし概ね予想どおりで鈍化傾向も進行中の結果に対して一方的な流れは続かず、巻き戻されて長期金利は低下傾向へ。ドルも小幅上下動で横ばい推移傾向へ。
8月CPIは前年比+3.67%。市場予想の+3.6%を上回り、前月から0.49%上昇。2年3ヵ月ぶり低水準となった6月(2.97)から続伸で3ヵ月ぶりの高水準。
コアCPIは前年比+4.35%。市場予想の+4.3%にほぼ一致(※小数点以下2桁で見ると小幅に上昇)。7月の+4.65%も下回り、5ヵ月続落で2021年9月(4.03)以来、1年11ヵ月ぶりの低水準。
セクタ別ではサービス価格が前年比+5.9%、6ヵ月続落で1年1ヵ月ぶり低水準。エネルギー価格は前年比-3.6%。6月の-16.7%から2ヵ月連続急上昇、6ヵ月連続前年割れのなかでは最高、6ヵ月ぶり高水準。
主な項目別では、賃貸住宅が+7.8%で4ヵ月続落、10ヵ月ぶり低水準。帰属家賃は+7.3%で4ヵ月続落、9ヵ月ぶり低水準。
クリーブランド連銀発表のメディアンCPIは前年比+5.72%。過去最高となった2月(7.20)から6ヵ月続落で1年3ヵ月ぶりの低水準。
16%トリム平均CPIでは前年比+4.47%。過去最高の9月(7.31)から11ヵ月続落で1年10ヵ月ぶりの低水準。
アトランタ連銀発表のスティッキーCPIは前年比+5.30%。6ヵ月続落で1年3ヵ月ぶりの低水準。
コアCPIを含め、いずれもほぼ一方的に、着実にインフレ鈍化は進行中。ただし依然として、まだまだ高インフレ。
13日のNY金は-2.6ドル、0.13%の小幅続落。8月22日(1926.0)以来3週間ぶり安値圏での一段安。ほぼ1930ドル台前半での小幅保合い推移となり、NY朝には米CPI結果を受けて一時1930ドル割れ、切り返してつけた高値も1930ドル台後半まで。ほぼ市場予想通りの結果に反応も限定的となってこの日に変動値幅は11.2ドルにとどまり、今年の平均25.1ドルの半分以下、今年7番めの小動き。ただNY午後には軟調推移となって1930ドル付近へ、NY引け後には1930ドル割れを試す場面も。節目の1930ドル台を割り込みつつあり、軟調方向へと転じた流れはもう少し続く可能性も。次週FOMCまでは動きにくい状況ながら、8月安値(1913.6)前後へと二番底をつけに行く可能性も高まり、1900ドルの大台近辺までが短期下値目標に。
NYプラチナは-7.6ドル、0.83%安で3日ぶりの反落。前日高値から徐々に上値を切り下げる流れが継続、910ドル台半ばの抵抗感も増す形となり、時間外序盤の高値915ドル付近から軟調推移。910ドルを割れるとロンドン序盤にかけては900ドル台後半での小幅保合い、NY市場では900ドル台前半へと水準を切り下げての保合い推移。安値では一時900ドル割れを試す場面もありながら前日安値を下回らず、しかし上値も限定的となって大台維持をかけた攻防状態に。890ドルから910ドル台半ばまでのレンジで安値保合いを形成し、下方ブレイクとなった場合には850ドル近辺を目安に一段安の展開へ。上方ブレイクなら底打ち反発局面形成へ、短期上値目標は960ドル近辺。
ドル円は43銭のドル高円安、0.29%の続伸。東京朝の147円ちょうど付近が安値となり、東京市場では147円40銭台まで水準を切り上げて小康状態に。147円30銭台を中心に小幅揉み合い推移で欧州時間を通過、NY朝のCPI後には147円70銭台までの急騰後に147円10銭台まで急反落、乱高下の反応を経てNY午後にも147円10銭台まで軟調推移、しかしNY終盤には147円50銭台まで反発。この日の変動値幅は前日の79銭をさらに下回る69銭、今年の平均1.37円の半分にとどまる小動き。146円半ばから147円90銭までのレンジで高値保合いを維持する形となり、保合いブレイクは次週FOMCまで先送りとなる可能性も。上抜けなら149円台前半までが短期上値目標に、下抜けの場合には調整局面入り、144円台後半辺りまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/13終値とチャート
14日の国内金価格は-12円、0.12%安となって6日続落。8月29日(9886)以来、半月ぶりの安値。6日続落は今年最長タイ、7月以来2ヵ月ぶりで今年2度め。9930円の節目割れに伴う高値保合い崩れ、小さなダブルトップ完成後の流れがゆっくりと進行中。短期下値目安はダブルトップの値幅分下落した水準、7月安値(9499)から9月最高値(9991)の23.6%戻し(9875)近辺、9870円近辺まで。
プラチナ価格は-38円、0.81%安で3日ぶりの反落。底打ち・反発への可能性も示唆した流れは急失速。21日移動平均線(4737)を下抜けて急降下を続ける9日移動平均線(4715)の圧に押される格好にもなって巻き戻し。反発局面再開か、腰折れをかけた保合い形成となり、目先、4670円台の節目上抜けへと切り返すことができれば前者、短期上値目標は4750円近辺。4600円の大台割れなら後者、短期下値目安は4540円近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格9/14とチャート
- 2023年9月14日(木)時点の相場
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国内金 : 9,895 円 9/14(木) ▼12(0.12%) 国内プラチナ : 4,633 円 9/14(木) ▼38(0.81%) NY金 : 1,932.5 ドル 9/13(水) ▼2.6(0.13%) NYプラチナ : 905.2 ドル 9/13(水) ▼7.6(0.83%) ドル円 : 147.47 円 9/13(水) ▲0.43(0.29%)
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