金プラチナ短期相場観
FOMCでは事実上の利上げ打ち止め、早期利下げも否定
更新日:2024年2月1日(木)
既定路線の4会合連続FF金利据え置きを決めたFOMC声明文では、インフレ懸念緩和に伴い利上げの可能性に関する記述を削除して事実上の利上げ打ち止め宣言。その一方で早期利下げも示唆せず、あくまで中立姿勢。パウエルFRB議長会見でも3月利下げの可能性は低いとの見方。
どちらかと言えばタカ派的、とも受け止められる今回のFOMCを経て、事前にドル売り金買いが進んでいた流れは巻き戻し。
米1月ADP雇用が予想外に低調となったことをきっかけに、FOMC直前にドル売り金買いの流れが急速に進行。
1月のADP雇用者数は、3ヵ月平均では前月比+12.3万人。11月の+11.7万人に続いて2ヵ月ぶりの低水準。2020年10月以降の3年4ヵ月では2番めの低水準。
なお、過去データの改定により、2020年の1年間では+114.8万人、2021年は合計-17.8万人。コロナ禍で急減した2020年は大幅に上方修正、反動で急増した2021年は下方修正。
2023年の1年間では合計で+1.6万人と微調整。
2012年から2019年までのADP雇用の平均は17.8万人。3ヵ月平均では10月(12.8)にこれを下回り、この水準での推移が4ヵ月連続。
雇用統計のNFPでも、2012-2019年平均19.6万人を、3ヵ月平均では10月(17.7)から3ヵ月連続で下回る状態。
ただし、両者ともに足下では横ばい推移で下げ渋る状態にも。
雇用情勢としても、早期利下げを催促するほどの状況までには、まだ至ってはないのかもしれません。
31日のNY金は+16.5ドル、0.8%高で3日続伸。今年高値となった1月2日(2073.4)以来、1ヵ月ぶりの高値。2050ドル台での揉み合い推移となって時間外を通過、NY市場では低調な米指標結果が続いて急騰。米1月ADP雇用が予想外に低調となり、10-12月期の雇用コスト指数や1月のシカゴPMIも下振れたことを受けて米10年債利回りは4%割れへと急低下、ドル安急進にも連れて2070ドル台へ。高値では2070ドル台半ばまで上昇し、2030ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標2070ドル近辺に到達。午後には2070ドル割れ、NY引け後には現状維持のFOMC、パウエルFRB議長会見を経て3月利下げ観測後退となって急落、一時2050ドル割れも2050ドル台後半へと反発。上値再トライ一服状態となって次は雇用統計待ちへ、上方向へ行き過ぎなら年末高値圏2090ドル台が意識され、下値サポート候補は20日移動平均線(2031.9)。
月間ベースでは-4.4ドル、0.21%の小幅安で4ヵ月ぶりの反落。
NYプラチナは+0.9ドル、0.1%の小反発。930ドルを挟んでの小幅保ち合いとなった時間外を経て、NY市場では940ドル台へと上昇。直近2日の高値を上回って940ドルの節目超えも940ドル台半ばまでで失速するとNY午後には930ドル近辺へと巻き戻し。NY引け後にはFOMC後の金の下落に追随する格好となって一時930ドル割れ。十字線を形成しての小動きとなって反発局面一服状態継続。引き続き12月高値(1031.0)から1月安値(883.2)までの38.2%戻し(939.7)、940ドル近辺の節目を上抜けると反発局面再開へ、半値戻し(957.1)近辺までが上値目標に。90日移動平均線(922.0)から23.6%戻し(918.1)近辺までが目先のサポート候補。
月間ベースでは-76.6ドル、7.59%の反落。
ドル円は66銭のドル安円高、0.45%の反落で1月15日(145.78)以来、半月ぶりの安値。前日と同じように東京市場朝に147円50銭の節目を割り込むと147円10銭台まで下落して下げ渋り、反発局面では147円50銭の節目を回復して147円80銭台まで上昇。ただし前日高値147円90銭がレジスタンスとなって上値が押さえられる状態が続いて欧州・NY時間へ。NY市場ではADP雇用の下振れを始めとする一連の米指標悪化を受けて147円割れ、NY午後には146円ちょうど付近まで下落。146円割れは回避してNY終盤にはFOMC後のパウエル議長会見を経て早期利下げ観測後退、147円40銭台まで急反発。結果的に147円50銭の節目割れに伴う短期下値目安146円台前半までしっかり下げての反発局面では147円50銭がレジスタンスに切り替わってしまった格好にも。週末の雇用統計までの指標結果次第で146円近辺までの下値再トライか、147円50銭がレジスタンスとならなければ148円前半までの反発余地も。
月間ベースでは+5.93円、4.21%高で3ヵ月ぶりの反発。昨年2月以来、11ヵ月ぶりの大幅高。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/31終値とチャート
1日の国内金価格はわずかに+1円、0.01%の小幅続伸。今年高値の1月24日(10569)以来1週間ぶり高値圏での小康状態。なだらかな上昇軌道の9日移動平均線(10537)にサポートされ、強気のパーフェクトオーダーを維持して今年高値圏再トライへの流れは続くものの、失速気味。10570円超へ今年高値更新なら12月最高値(10819)から12月安値(10115)の76.4%戻し(10653)近辺までが短期上値目標。当面の下値サポートは10470円、これを割れるようだと調整局面入り、短期下値目安は10380円程度まで。
プラチナ価格は-2円、0.04%の小幅続落。中期三角保合い中間ライン、4700円近辺超えを維持して下げ渋り、短期上昇トレンド崩れも回避して上値トライ再開のチャンスをうかがう状態のようにも。4760円の節目を上抜けると上値トライ再開へ、短期上値目標は4800円台回復。下値サポート候補は90日移動平均線(4701)、短中期重要水準4700円を下回るようだと流れが変わりやすい状況に。
※参考:金プラチナ国内価格2/1とチャート
- 2024年2月1日(木)時点の相場
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国内金 : 10,556 円 2/1(木) ▲1(0.01%) 国内プラチナ : 4,722 円 2/1(木) ▼2(0.04%) NY金 : 2,067.4 ドル 1/31(水) ▲16.5(0.80%) NYプラチナ : 932.6 ドル 1/31(水) ▲0.9(0.10%) ドル円 : 146.95 円 1/31(水) ▼0.66(0.45%)
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