金プラチナ短期相場観

PCEは鈍化、トランプ政策は軟化期待でリスク回避は巻き戻し
更新日:2025年5月1日(木)
米4月ADP雇用は前月比+11.5万人予想に対して+6.2万人と大幅下振れ、昨年7月(+4.2)以来、9ヵ月ぶり低水準へと急失速。1-3月期GDP速報は前期比年率-0.3%。市場予想の-0.2%を下回り、3年ぶりのマイナス成長。
4月のシカゴPMIも低調となるなど、景気悪化への警戒感も。
ただし、PCEインフレは鈍化傾向となり、利下げ再開への期待も回復へ。
この日は米中関税交渉を巡ってトランプ米政権側から中国への接触なども伝えられ、関税政策の軟化期待も。既に進行し始めたリスク回避の巻き戻しの流れは継続の兆しも。
米3月PCEは前年比+2.29%。2月(2.69)からは-0.39%の急反落で9月(2.10)以来、半年ぶり低水準。
コアPCEは+2.65%。2月(2.96)から-0.32%の急反落で昨年6月(2.63)以来、9ヵ月ぶりの低水準。
スーパーコアPCEサービス価格は前年比+3.29%。2月(3.63)から-0.34%の急反落で2ヵ月ぶり低水準。半年で2番め、4年間では4番めの低水準。
ダラス連銀のトリム平均PCEは前年比+2.45%。3ヵ月続落で2021年8月以来、3年7ヵ月ぶりの低水準。
クリーブランド連銀のメディアンPCEは+2.92%。3ヵ月続落で3年半ぶりの低水準。
トランプ関税で警戒されたインフレ高騰は逆方向へ、関税による景気悪化とデフレ懸念でインフレ指標は急失速の兆しにも。
30日のNY金は-14.5ドル、0.43%の続落。アジア時間の3330ドル台後半が高値となって時間外は軟調推移、ロンドン序盤には3300ドル割れ、NY朝にかけて一時3280ドル割れ。NY市場ではADP雇用が低調となったことをきっかけに流れが反転、3270ドル台半ばの安値をつけて切り返すと米1-3月期GDP速報の下振れなどもあり3330ドルまで反発。シカゴPMIも低調となり、PCEインフレは鈍化などを受けて3320ドル台を維持しての推移もNY午後には米中接触報道もあり、米関税政策の軟化期待などから軟調推移再開、NY引け後には3300ドル近辺へ。3290ドルから3350ドルまでの保ち合いレンジ内推移継続も、下限割れトライを含めて流れは軟調方向へと傾斜、3290ドルの節目をしっかり割れると調整局面拡大へ、2月安値(2844.1)から最高値(3509.9)の半値戻し(3177.0)辺りまでが短期調整目安に。
月間では+168.8ドル、5.36%高で4ヵ月続伸。
NYプラチナは-16.1ドル、1.63%の続落。時間外は序盤の980ドル台前半が高値となって軟調推移、ロンドン市場では970ドル割れ、NY市場にかけては970ドルを挟んでの保ち合いとなり、安値では960ドル台半ばまで下落。NY引け後には970ドルの節目維持をかけた攻防状態に。わずかながら終値で節目を割り込んだことから下値トライへの流れが進行しやすい状況に。970ドルの節目割れに伴う短期下値目安は920ドル近辺まで。節目割れが一時的で下げ渋ると1000ドルの上限までのレンジで保ち合いへ。
月間では-58.1ドル、5.65%の反落。
ドル円は+70銭、0.49%の続伸。東京朝の142円10銭台が安値となって堅調推移。リスク回避の巻き戻しが進む株高基調にも連れ、欧州時間序盤に143円台を回復。NY市場ではADP雇用、1-3月期GDP速報、シカゴPMIがいずれも予想を下回り、142円半ばへと軟調推移。3月PCEはほぼ市場予想どおりも前月分が上方改定され、143円まで急反発も一時的となって142円後半での乱高下。NY午後には米中関税交渉を巡る報道などもあり、期待感から堅調方向へ、NY終盤には143円再トライへ。先週末に142円半ばの節目を割り込み、警戒された下値トライへの流れは緩和、徐々に巻き戻される展開に。141円90銭から143円80銭辺りまでが目先の主要レンジとなり、日銀動向と週末の米雇用統計、トランプ動向を確認して方向感を模索する展開にも。保ち合い上抜けなら145円台を目指す流れにも。下抜けへと反落なら140円近辺までの下値再トライへ。
月間では-6.90円、4.60%安で4ヵ月続落。昨年7月(-10.86円、6.75%)以来9ヵ月ぶりの大幅安。4ヵ月続落は2020年12月以来、4年4ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/30終値とチャート
1日の国内金価格は-228円、1.37%の大幅安で3日続落。4月16日(16352)以来、半月ぶりの安値。16710円の節目割れに伴う短期下値目安16590円程度に到達後も下げ止まらず。三尊天井ネックライン割れに伴う下値トライへの流れが急加速してしまった格好にも。三尊天井の値幅(372)分下落すると仮定した場合の目安は16246円。目先のサポート候補としては4月安値(15235)から最高値(16990)の38.2%戻し(16320)、21日移動平均線(16311)辺り。
プラチナ価格は-38円、0.78%安で3日続落。4月23日(4777)以来1週間ぶり安値圏で一段安。4月上旬安値からの反発途上での調整局面継続も、4770円から4910円までのレンジを維持。4470円を維持できなければ反発局面は腰折れ、4680円辺りまでを目安に短期下値トライへ。4910円超へと切り返すことができれば反発局面再開、短期上値目標は4950円辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格5/1とチャート
- 2025年5月1日(木)時点の相場
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国内金 : 16,363 円 5/1(木) ▼228(1.37%) 国内プラチナ : 4,816 円 5/1(木) ▼38(0.78%) NY金 : 3,319.1 ドル 4/30(水) ▼14.5(0.43%) NYプラチナ : 969.4 ドル 4/30(水) ▼16.1(1.63%) ドル円 : 143.06 円 4/30(水) ▲0.70(0.49%)
ISM製造業景況指数4月は予想ほど悪化せず、でも輸出入は低調 5/2(金)
PCEは鈍化、トランプ政策は軟化期待でリスク回避は巻き戻し 5/1(木)
ユーロ圏景況感指数も4月は低調、ドイツは4ヵ月続伸 4/30(水)
米地区連銀製造業は4月も低調、ダラス連銀はコロナ後最低へ 4/29(火)
急騰局面一服の国内金、上昇チャネル上限からの調整余地も 4/28(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン