更新日:2014年8月21日(木)
労働市場の改善傾向やインフレの下方リスク懸念後退など、総じてタカ派より優勢と受け止められる7月末のFOMC議事録が発表されました。そのなかでキーワードとなるのが「労働力の未活用」。これまでの失業率重視の表現から、様々な指標評価に基づき、労働力の未活用度合いを表現する必要がある、というイエレン議長の主張に賛同するメンバーが多かった、ということが想定される内容となっています。
イエレン・ダッシュボードにもある労働参加率や長期失業者の割合、広義の失業率(U6失業率)などの回復度合い低迷、退職率と入職率(採用率)の低さが示す転職への抵抗感、さらには賃金上昇率の低さなどを含めて、労働市場には以前のような活況が見られないことを多いに懸念し、これを市場にどう伝えていくのかが重要、ということかと推測します。
しかし、労働力の未活用を簡潔に表現することの難しさや、過大な不安を招くような誤解も懸念されると同時に、現在の労働市場の改善が続けば、労働力の未活用も近いうちに改善されるだろうとの見込みも。
労働力の未活用を理由に出来る限り利上げを先延ばしにしたいハト派のイエレン議長としては、労働力の未活用状態を市場にアピールし過ぎて余計な混乱を生じさせてもまずい、との葛藤が続きます。
20日のNY市場、金相場は0.12%の小幅安となり4日続落。前日比ほぼ変わらずの1,290ドル台半ばでの推移からFOMC議事録のタカ派内容を受けて引け後には1,280ドル台へ。ただし、今のところは下値も堅く90日移動平均線近辺を維持、1,280-1,320ドルのレンジ相場が継続中。
プラチナ相場は0.72%の下落で6営業日続落。5月9日以来3カ月ぶりの安値水準となり、200日移動平均線(1436.4)を下回るのも5月9日以来。なお、6日続落となるのは1月末以来2度めで今年最長。また、ゆるやかな短期下落トレンドの流れから下方向に少しはずれて下落、中期上昇トレンドの下値サポートラインも下方ブレイクした状況。行き過ぎか、中期的な流れが変わり始めたか、分岐点にさしかかってきた可能性。ただし、RSIは横ばい推移の状態となり、下げ止まりの可能性も示唆。
ドル円は今年3番目の上げ幅となる84銭、0.82%の大幅上昇で3日続伸。4月3日以来4カ月半ぶりの高値水準に。前日、4カ月間レジスタンスラインとなっていた102円80銭をブレイクしたことで、解き放たれたように加速すると103円台後半の目標水準、70銭近辺にいきなり到達。今年ここまでの流れなら、いったん反落の可能性が高まるものの、ようやく動き始めた感もあり、流れが変わり始めた可能性を重視するなら、このまま104円台半ば辺りまで上値を伸ばす可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/20終値とチャート
21日の国内金価格は0.37%続伸。過去の実績どおり、4,580円近辺がサポートラインとしての効果を発揮、反発傾向へ。しかし、9-90日移動平均線が全て水平状態となってきたことが、トレンド喪失傾向を示す状況。目先は今月高値の4,630円との攻防がポイントに。
プラチナはわずかに0.1%下げて5日続落。NYプラチナと同様に中期的な上昇トレンドをの下値をサポートするラインを微妙に下抜けた状況。しかし短期的には下値目標水準に達したところであり、RSIも下げ止まりの可能性を示す状況に。
※参考:金プラチナ国内価格8/20とチャート
2014年8月21日(木)時点の相場
国内金:4,607 円 8/21(木) ▲17(0.37%)
国内プラチナ:5,084 円 8/21(木) ▼5(0.10%)
NY金:1,295.2 ドル 8/20(水) ▼1.5(0.12%)
NYプラチナ:1,429.2 ドル 8/20(水) ▼10.3(0.72%)
ドル円:103.75 円 8/20(水) ▲0.84(0.82%)
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