更新日:2015年5月7日(木)
一時的な要因による景気減速の影響を受けた3月の米雇用市場は、4月以降の回復が予想されたにもかかわらず、ADP雇用リポートでは雇用者数の伸びが市場予想を大きく下回りました。低調だった3月よりも低下し、1年3カ月ぶりの低水準にとどまっています。
雇用統計での非農業部門雇用者数(NFP)とADPの雇用者数との相関関係が強まっている最近の状況からすると、4月分の雇用統計も市場予想を大きく上回るような結果は想定し難いことになります。
では、ADPと同じように前月を下回るような低水準が続くかと言えば、それも考え難いと思われます。
理由のひとつは、新規失業保険申請件数が好調ぶりを示していること。
2月末から3月末まで30万件台へと跳ね上がっていた4週移動平均は、3月末以降は28万件台へと急落して落ち着き始めており、雇用市場の改善傾向を示唆しています。3月のNFPが低調となったこととも整合性がとれます。
2つめの理由として、NFPが3月の12.6万人と同等水準以下なら、年間平均の数値でADPの19.1万人を下回ってしまうことが挙げられます。一時的ならともかく、コンスタントにADPの数値を上回るはずのNFPの数値が年間平均で下回るケースはあまり想定できません。4月分のNFPが17万人でもこのケースに該当します。
3つめにADPとNFP逆転の法則。季節的な要因も影響しているのか、寒波の影響が取沙汰される最近は、3月にNFPの数値がADPを下回り、4月には逆転するというケースが続いています。2014年も、2013年もそうでした。2011年も該当します。
今年も3月分がADPを下回ったことで、4月分は逆転する可能性が高まります。そうなると、やはり最低でも17万人以上。
また、相関関係の強い両者の24カ月相関係数は、2014年12月の0.707台をピークにわずかに低下傾向となっています。4月分が市場予想どおりの22.5万人なら相関係数は0.683台へと4カ月連続で低下することになります。
19万人程度なら、年間平均でADPを上回り、相関係数も0.703台へと上昇する、程良い数値となります。
6日のNY金相場は3日ぶりの反落で0.24%の小幅安。日本時間夕刻、欧州時間からのドル買いの流れを受けて売りが進むと1190ドル割れへ、ADP雇用統計下振れを受けて1200ドル手前まで急反発、しかしその後はドルの買い戻しの流れで反落へと狭いレンジでの乱高下。1日の変動値幅としては、今年の平均18.6ドルの半分にとどまる9.5ドルの小動き。1170ドルから1210ドル台までのレンジ相場継続。
プラチナ相場は0.52%の続落。金への連れ高局面での上値は1150ドルまでにとどまり、反落時の下値も1136ドルまでとプラチナも小動きに。それでも上下の変動値幅は14.2ドル、今年の平均は20.9ドル。1120ドルから1160ドルまでのレンジの中間点に位置する現在、週末にかけて上下どちらかへの流れが発生した場合には、今年の平均的な値幅でもレンジの上限、または下限までは簡単に動いてしまうことに。
ドル円は0.35%安で3日続落となり、4月末水準まで逆戻り。東京時間のジリ安から欧州時間のジリ高を経てADP雇用リポート下振れで急落。120円の高値から一時サポートライン手前の119円20銭まで下落し、ドル高円安方向への流れは大きく巻き戻し。それでも119円台前半では底堅さも見せ、週末の結果次第で上値トライ再開へと望みをつなぐ状態。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/6終値とチャート
大型連休明けとなった7日の国内金価格は24円、0.49%の上昇。小幅高か大幅安となるゴールデンウィーク前後、今年は雇用統計が連休明けとなっとこともあり、前者のパターンに。緩やかな下落基調のなかでの反発局面が継続中。上値抵抗水準は4930円台、超えると5000円近辺を目指す流れに。下値サポートラインは4870円台、下抜けると今年の安値更新トライへ。
プラチナも連休前からわずかに上昇もほぼ変わらず。今年安値圏からの反発基調のなかでの一服状態から再開で、4720円台を上抜けると4800円台をうかがう流れが加速する可能性。
※参考:金プラチナ国内価格5/7とチャート
2015年5月7日(木)時点の相場
国内金:4,899 円 5/7(木) ▲24(0.49%)
国内プラチナ:4,704 円 5/7(木) ▲2(0.04%)
NY金:1,190.3 ドル 5/6(水) ▼2.9(0.24%)
NYプラチナ:1,142.8 ドル 5/6(水) ▼6.0(0.52%)
ドル円:119.44 円 5/6(水) ▼0.41(0.35%)
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