更新日:2015年12月2日(水)
小幅反発の事前予想に対して3年ぶりの節目割れへと大幅低下となった米11月のISM製造業景況指数。5カ月連続の低下で世界金融危機の時以来6年5カ月ぶりの水準まで低下したことはかなりのネガティブ・サプライズに。NYダウは100ドル超の急落後には持ち直して反発へと向かい、ドル円も30銭程度の急落にとどまったことで、市場への影響は限定的と見られてはいます。最近のその他の指標が比較的好調であること、12月利上げへの織り込みがかなり浸透していることなどの影響でこの程度の反応にとどまったようですが、タイミングや状況が少し違えば、もっと大きなネガティブ反応が見られたことでしょう。
内訳では、新規受注が前月の52.9から48.9へと-4.0、生産も52.9から49.2へと-3.7、価格は39.0から35.5へと-3.5ポイント、などが大きく足を引っ張りました。新規受注は2012年8月以来3年3カ月ぶりの低水準。救いは雇用が47.6から51.3へと+3.7ポイントの上昇となっていることくらいです。
3年前の節目50割れとなった時には単月で50超へと反発しています。今回も次月の動向が気になるところですが、次回発表は1月、利上げ開始後。反発していれば利上げの判断は正しかったとされ、続落となると、2回めの利上げ観測後退へとつながりそうです。
なお、今回の大幅低下を受けて、CMEのFedウォッチでは12月利上げの確率は77.5%から75.2%へと若干低下しています。
また、マークイット発表の米11月製造業PMIは、速報値の52.6から52.8へと上方修正されてはいますが、こちらも低下傾向が続き、2013年10月以来2年1カ月ぶり低水準となっています。
同じマークイット発表の製造業PMIで世界各国の状況と比較してみると、
11月の52.8という数値は、水準的にはユーロ圏と並んで世界で最も好調な水準。ユーロ圏のなかではイタリア54.9、オランダ53.5、スペイン53.1などこれを上回る国もあります。米国の低下傾向に対してはユーロ圏は上昇傾向と、方向性も異なります。日本52.6、トルコ50.9なども上昇傾向となっています。
金融緩和継続中の日本、さらに追加緩和見込みのユーロ圏の堅調推移に対し、金融政策正常化に向けて利上げ目前の米国、その次に利上げ見込み(最近やや後退観測)の英国がいずれも低下、もしくは急反落で同水準となっている状況です。
雇用統計までもが、まさかのネガティブ・サプライズとなるようなことがあれば、マーケットの反応も今回のような控えめな範囲にはとどまらない可能性が高まります。
1日のNY金相場は0.17%の小反落。東京時間朝の円高ドル安急進に反応して1074ドルまで急騰して反落。上値抵抗線で跳ね返された形。イベント前の警戒感からの小動きのなかでもやや軟調推移。1030ドル台までの下落余地を残しながら保ち合い傾向へと流れが変わりつつある可能性も。ただし、多少の反発では抵抗水準突破はまだ難しい状況か。もし超えると1100ドル台へと上値余地拡大へ。
NYプラチナ相場は3日ぶりの反発で0.3%の小幅高。7年ぶり安値圏での小康状態。当面は860ドルの抵抗線トライもやや難しい状況か。この水準での保ち合い状態が続けば反発方向へと流れが変わる可能性も、830ドルで下げ止まりの兆候もまだ確認できず。
ドル円相場は0.19%の小幅反落。東京市場での年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の為替ヘッジ報道に過剰反応した流れは欧州時間までに取り戻したものの、ISM製造業景況指数のネガティブ・サプライズで再び123円割れへと急落。122円台半ばから123円台半ばまでの保ち合い状態で、イベント待ちへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.09%の小幅続伸。4470円台から4580円台までのレンジ中央付近で方向感を模索する展開へ。上方ブレイクなら4600円台半ば、下方ブレイクなら4420円台辺りを目指す流れが加速する可能性。下方リスクのほうがまだ優勢の状況。
国内プラチナ価格も0.28%の小幅続伸。3480円近辺までの下落余地を残す下落トレンド継続もその勢いは後退。切り返す展開で3620円台までの間でレンジ形成の動きも。ユーロ安ドル高進行に伴う下値トライ再開に警戒。
※参考:金プラチナ国内価格12/2とチャート
2015年12月2日(水)時点の相場
国内金:4,530 円 12/2(水) ▲4(0.09%)
国内プラチナ:3,567 円 12/2(水) ▲10(0.28%)
NY金:1,063.5 ドル 12/1(火) ▼1.8(0.17%)
NYプラチナ:835.4 ドル 12/1(火) ▲2.5(0.30%)
ドル円:122.87 円 12/1(火) ▼0.23(0.19%)
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