更新日:2017年5月4日(木)
予定どおりFF金利据え置きを決定した5月FOMCの声明文では、「第1四半期の成長減速は一時的にとどまる可能性が高い」とし、緩やかながらも経済の拡大傾向は続くとし、「労働市場は依然として力強さを増している」ことが消費の伸びを支え、ファンダメンタルは堅調との見方を示しました。
インフレ動向については、前回の「依然長期目標2%を下回る」状態から「2%の長期目標に近い水準で推移」していることを強調する表現に改められ、「まだ」から「もう」へと変化、6月利上げ示唆の意思表示ともとれる内容とも言えそうです。
そう解釈したと思われる市場では今朝にかけて金利上昇、ドル高の流れが加速する展開となりました。
その少し前に発表された4月のISM非製造業景況指数も予想を上回る好結果となり、この流れを支援した形です。
4月の57.5は1年4カ月ぶりの高水準となった2月の57.6に次ぐ高水準となり、ISM製造業景況指数や各PMI、小売やインフレ指標などでの4月の失速をカバーする結果ともなったようです。
なお、4月の非製造業の内訳指数では、新規受注が2015年8月(63.4)以来、1年8カ月ぶりの高水準となる63.2へと急上昇し、牽引役となりました。
その反面、雇用指数は51.4となり、8カ月ぶりの低水準へと失速しています。
昨日発表されたADP全米雇用リポートでも、4月の雇用者数の伸びは前月までの反動もあってか、半年ぶりに前月比+20万人割れとなる+17.7万人。3カ月平均でも4カ月ぶりの反落で3月の+25.73万人から+22.7万人へと低下。ISM製造業、非製造業の雇用指数と同様に、節目の50超、20万人超を維持する好調期にはあるものの、失速を示す形となっています。
しかし、「労働市場は依然として力強さを増している」ことから、これら雇用指標の最近の失速傾向も「一時的にとどまる可能性が高い」のかもしれません。
3日のNY金相場は0.68%の反落。NY市場にかけて軟調気味に推移、米4月ISM非製造業景況指数の上振れ、米財務省の超長期債発行の検討方針表明などを受けたドル買い金利上昇の流れでは一時1245ドルまで下落。引け後にはタカ派寄りのFOMC声明文を受けて1240ドル割れへ。3月21日以来、1カ月半ぶりの安値水準となる1236ドルまで下げて今朝の時間外でも1230ドル台後半での推移。ゆるやかに下落し始める200日移動平均線(1255.7ドル)を約1カ月ぶりに完全に下抜け、12月安値から4月高値までの38.2%戻し(1231.3)付近でいったん下げ止まった状態。雇用統計もポジティブな結果となれば、6月利上げを一段と織り込んで50%戻し(1210.9)も視野に。
NYプラチナ相場は2.33%の大幅安で4日続落。金に先行する形で下げ足を早め、NY市場までに900ドル台へと20ドル超の大幅下落。FOMC後には金下落に連れての一段安で12月29日以来の900ドル割れ、896ドルまで下落すると、今朝の時間外でも900ドルラインが抵抗線に。中国の景気減速懸念に加え、4月後半から再び対ドルでの南アランド安が進行する状況もプラチナの重石に。今年の平均騰落率0.87%に対し、2%超の下落は4度目(※ただし2%超の上昇も5日)。金との価格差344.1ドルは過去最大となった昨年6月27日(345.5ドル)以来、10カ月ぶり。12月安値888ドルを割れると、中期的には昨年安値圏となる800ドル台前半も意識される。
ドル円は0.68%のドル高円安となって5日続伸。5日続伸は昨年11月以来半年ぶり。NY市場で前日高値112円30銭台を突破するとISM非製造業景況指数の好結果には一時112円半ばまで上昇。予定どおりの現状維持も6月利上げを示唆する格好となったFOMCの結果を受けて米10年債利回りの2.3%台回復とともに112円台後半へと急騰。終値でも3月16日(113.31)以来、1カ月半ぶりのドル高円安水準。112円台へとしっかり水準を切り上げてきたことでドル高円安の勢いを増しそうな状況、休場中の今朝の東京市場でも90日移動平均線(112.83)との攻防中。上値目標114円台を目指しての堅調推移継続へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/3終値とチャート
2017年5月4日(木)時点の相場
国内金:4,839 円 5/2(火) ▼24(0.49%)
国内プラチナ:3,610 円 5/2(火) ▼39(1.07%)
NY金:1,248.5 ドル 5/3(水) ▼8.5(0.68%)
NYプラチナ:904.4 ドル 5/3(水) ▼21.6(2.33%)
ドル円:112.74 円 5/3(水) ▲0.76(0.68%)
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