更新日:2018年11月2日(金)
ワールド・ゴールド・カウンシルのレポートによると、2018年第3四半期の世界の金需要は964.3トン。3四半期連続の減少。ただし、前年同期比では+6.2トン(+0.6%)と微増。
宝飾品と現物投資を合わせた金消費需要が前年比+95.0トン(+12.9%)と大幅増となりましたが、金ETF関連の-103.2トンの大幅売り越しにより、相殺されました。
全体需要のうち、宝飾品は535.7トンで前年比+29.9トン(+5.9%)、3四半期ぶり高水準。産業用は85.3トンで前年比+1.0トン(+1.2%)、これも3四半期ぶり高水準。投資需要は194.9トンで前年比-51.3トン(-20.8%)、2014年第4四半期以来、15四半期ぶりの低水準。中央銀行など公的機関は148.4トンの買い越しで前年比+26.6トン(+21.8%)、2015年第4四半期(168.9)以来11四半期ぶりの高水準となりました。
比率としては宝飾品:55.6%(前期52.4%)、産業用:8.8%(同8.5%)、投資:20.2%(同28.9%)、公的機関:15.4%(同10.1%)。
投資需要のなかでは、バーやコインなどの現物需要が298.1トンとなり、前年比+65.1トン(+28.0%)。2017年第1四半期(303.2)以来、1年半ぶりの高水準。金価格の水準が第2四半期の1300ドル台から第3四半期には1210ドル台へと急落し、2016年第1四半期(1182.6)以来2年半ぶりの安値圏となったことで、逆張り志向となりやすい現物需要が高まりました。
対照的に、順張り志向の金ETF関連は第2四半期の33.8トンの買い越しから103.2トンの大幅売り越しとなり、2016年第4四半期(-173.4)以来、7四半期ぶりの売り越し量となっています。金価格は10月には反発しており、今のところ第4四半期は買い越し転換の可能性もありそうです。
宝飾品と現物投資を合わせた金消費需要という括りでは合計833.8トンとなり、需要全体の86.5%を占めました。これは2016年第4四半期、やはり価格急落時のシェア97.2%に次ぐ高水準となっています。
このうち、2大金消費大国、中国とインドの合計シェアは宝飾需要で60.3%、現物投資需要で40.5%、合計では53.2%。この割合は近年横ばい推移となっています。
このなかでは、中国の現物投資需要が86.5トンとなり、2017年第1四半期(105.9)以来、6四半期ぶりの高水準へと急増しました。インドでは横ばい推移傾向が続くのに対し、中国は宝飾需要でも前期比、前年比ともに増加しています。
7月は中国のバレンタインデーとも言われる慈渓祭(Qixi festival)があり、近年ではジュエリー会社がこれをターゲットに商品を開発し、売上も堅調となった模様。
中国、インドに続く、世界の金消費需要上位10カ国の顔ぶれは、3位米国までは不動、4位には前期6位のドイツが2ランクアップ。5位にはイランが前期4位からダウン、6位タイは7位から上昇、7位インドネシアも1ランクアップ、8位サウジアラビアは2ランクアップ、9位ベトナムは変わらず、10位香港は1ランクアップ。前期5位のトルコはトルコリラショックの影響で7ランクダウンで12位に。
なお、11位にはロシア、13位には日本。日本の金消費需要は前期の6.5トンから11.7トンへと大幅増。日本の逆張り志向も顕著に表れます。
公的機関では、ロシア中銀の金保有量が第3四半期に92.2トン増加し、記録的増加量となって総保有量は2000トン超え。ロシアは米国による制裁に対するヘッジの意味合いから既に米国債の大半を売却しており、引き続きドル離れ政策の一貫として金保有量の増加は続くものと推測されます。
供給面では、鉱山産出量が875.3トンで少なくとも2010年以降では最大。リサイクルも306.3トンで1年ぶり高水準。鉱山ヘッジ分を含めて総供給量は1161.5トンでこれも1年ぶり。
需給バランスは148.5トンの供給過多、供給が需要を上回るのは6四半期連続。
1日のNY金相場は+23.6ドル、1.94%の大幅高で4日ぶりの反発。上げ幅としては10月11日(+34.2ドル、2.87%)以来で今年3番目の大幅上昇となり、7月16日(1239.7)以来、3カ月半ぶりの高値水準に。英国のEU離脱を巡って金融アクセスの継続で合意との報道もあってポンドが大幅に買い戻されてユーロも連れ高。米10月ISN製造業景況指数の2カ月連続低下などもあり、ユーロドルは8月安値との二番底からの反発基調が急速に進行し、ドルインデックスは1年4カ月ぶり高値水準からの大幅調整。ドル安の流れにサポートされてNY金は時間外の1210ドル台から反発基調を強め、NY朝には1230ドル台を回復し一時1240ドル近辺まで20ドル超の急上昇。保ち合い下方ブレイクからの下値トライで1200ドル近辺を目指した流れは前日安値1210ドル前半までで切り返され、90日移動平均線(1218.2)にもサポートされる形となってブレイク前の保ち合い上限トライへ。しかし、またしても1240ドルが抵抗水準として上値を押さえる形にも。結果的に4月高値から8月安値までの23.6%戻し(1214.8)から38.2%戻し(1244.4)までが主要レンジとなり、上限突破できれば次の上値目標は7月高値1266.9ドル近辺へ。
NYプラチナ相場は+19.8ドル、2.35%高となって6日続伸。6日続伸は年初以来10カ月ぶりで、6月26日(871.3)以来、4カ月ぶりの高値水準に。株価の反発基調が続くなか、NY金の急反発にも支えられて上げ幅を拡大し、上値目標860ドル近辺にもしっかり到達。これで今年1月高値から8月安値までの23.6%戻し(821.2)で下値を支えられての反発基調で38.2%戻し(861.7)を達成。水準的には一服感も生じやすいところながら、日柄的には米雇用統計や米中間選挙なども控え、波乱の展開も警戒すべきタイミングに。中期的には次なる上値目標候補としては50%戻し(894.5)から900ドルの大台水準が意識されることにも。
ドル円は40銭弱のドル安円高となって続落。欧州通貨高主導でドル全面安の流れとなり、行き過ぎたドル高是正の動きはドル円にも波及、113円ラインに上値を押さえられて軟調な展開に。ただし、株価反発の流れにも連れての円安圧力が下支えする形となり、下値は112円50銭台までと底堅さも。上値トライの流れは前日高値113円40銭近辺までで一服状態となり、目先は112円近辺から113円近辺までが上下の節目となり、イベント・ドリブンの展開にも。113円超へと抜け出すことができれば114円までが上値目標に、112円を完全に割り込むようだと9月安値圏110円台半ばまでが下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/1終値とチャート
2日の国内金価格は+65円、1.38%の大幅高となって3日ぶりの反発。7月17日(4803)以来、3カ月半ぶりの高値水準に。雇用統計前に予想外の展開でドル高の急速な巻き戻しが入って流れが逆転。調整局面は巻き戻されて6-8月の下落幅の61.8%戻し(4766)も一気に上抜けての一段高となり、次のシナリオへ。保ち合いを上抜けた形にもなり、上値トライ再開となりやすく、当面の上値目標は76.4%戻し(4839)と7月高値(4837)が意識され、4830円台を目指す流れへ。
週間ベースでは+27円(0.57%)で5週続伸。
プラチナ価格は+104円、3.2%の大幅高となって5日続伸。5日続伸は5月以来で半年ぶり。3%超の上げ幅となるのは昨年1月4日(+128円、3.52%)以来、1年10カ月ぶり。水準としては6月19日(3363)以来、4カ月半ぶりの高値水準。ダブルトプ解消かトリプルトップ警戒水準にもなった重要な分岐点を突き抜ける形となっての一段高となり、6月急落前の保ち合い水準3400円台の上値目標にも現実味。ただし、目先は波乱要因も多数控え、不安定な展開への警戒感も。
週間ベースでは+163円(5.11%)の大幅高で4週ぶりの反発。週間上昇率としては2017年第1週(+209円、5.74%)以来、1年10カ月ぶりの大幅上昇。
※参考:金プラチナ国内価格11/2とチャート
2018年11月2日(金)時点の相場
国内金:4,790 円 11/2(金) ▲65(1.38%)
国内プラチナ:3,351 円 11/2(金) ▲104(3.20%)
NY金:1,238.6 ドル 11/1(木) ▲23.6(1.94%)
NYプラチナ:862.8 ドル 11/1(木) ▲19.8(2.35%)
ドル円:112.59 円 11/1(木) ▼0.37(0.33%)
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