更新日:2019年7月19日(金)
7月のフィリー指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は21.8。市場予想の5.0を大幅に上回り、6月の0.3からも急上昇、昨年7月(24.3)以来1年ぶりの高水準。前月比では+21.5となり、2009年6月(+22.6)以来、10年1カ月ぶりの大幅上昇。
NY連銀の製造業景況指数も6月の-8.6から7月には4.3へと急上昇していたことも合わせ、製造業の景況感はこの夏に急回復の兆しとなりつつあるようです。
フィリー指数の構成指数でも、新規受注が半年ぶり高水準、出荷も2カ月ぶり高水準へと上昇し、雇用は1年9カ月ぶり高水準。
半年先の見通しを示す期待指数も1年2カ月ぶりの高水準。4月には3年2カ月ぶり低水準へと落ち込んでいましたが、その後は回復基調となり、総合指数を押し下げてきた流れも反転の兆しに。
過去には、期待指数が総合指数を押し下げ続けてマイナス圏入りすると、リセッション入りへという展開が繰り返されましたが、今回はその目前で回避しつつあるようにも見えます。
フィリー指数急回復により、ドル高の流れが強まるかにも見えたこの日、流れを変えたのはNY連銀のウィリアムズ総裁。
FOMCでは副議長も務めるウィリアムズ総裁は、「現在のような低金利時代においては、経済に問題が生じる兆候があれば迅速に行動すべき」との発言。
後にNY連銀はこの発言を学術的なスピーチであり、今月末のFOMCでの政策変更を示唆するものではないと火消しに走りましたが、時既に遅し。ドル安は進行し、ドル円は108円から107円台前半へ、金利低下も進み2.0%台後半から2.0%台前半へ、金は買われて1420ドル台から1440ドル台へ。
ウィリアムズ・ショックとなって市場の思惑をサポートする形にもなったようです。
今回、フィリー指数の総合指数も期待指数も7月には急回復となりましたが、ピーク水準を切り下げる流れはまだ続いています。前回のリセッション入り直前にも期待指数は40ポイント付近まで急反発していました。
今月末のFOMCで「迅速に行動」することで、リセッション入り回避へとつながるのかもしれません。
18日のNY金相場は+4.8ドル、0.34%の続伸。2013年5月13日(1434.3)以来、6年2カ月ぶりの高値水準。時間外は1420ドル台後半から前半へとやや軟調気味に推移、NY朝には7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の大幅上振れを受けて一時1420ドル割れも、6月の景気先行指標総合指数の下振れを受けて反発。引け後にはNY連銀ウィリアムズ総裁の「米国の中立金利は現在0.5%程度」「金利がゼロ近辺の時は迅速に追加の金融緩和に踏み切る必要」などの発言を受けて7月FOMCでの0.50%利下げの織り込みが34%から70%へと急騰。クラリダ米FRB副議長も「データが変わるまで待つ必要はない」など同調発言、トランプ米大統領は米海軍がホルムズ海峡で無人機を撃墜したことを発表。ドル安と金利低下、株高と金高の流れが急進し、NY金は一時1450ドル台半ばまで急上昇。1420ドル突破後の短期上値目標1450ドル台に早々の到達となり、東京朝にはNY連銀の「ウィリアムズ総裁の講演は次回FOMCにおける政策行動に関するものではない」とのコメント発表などもあり、1440ドルまで急反落する場面も。
NYプラチナは+2.8ドル、0.33%高となって7日続伸。7日続伸は昨年11月以来、8カ月ぶり。5月14日(859.1)以来、2カ月ぶり高値水準での堅調推移となって高値では3日連続850ドル台まで上昇後、850ドル割れ。しかし、この日は引け後のNY金急騰にも連れる形で一時860ドル手前まで上昇し、東京午前の時間帯には850ドル台半ばを維持しての推移。この水準を維持できるかどうかが目先の課題となり、4月高値から5月安値までの61.8%戻し(870.4)が次の上値目標水準に、38.2%戻し(839.6)がサポート候補に。
ドル円は70銭弱のドル安円高となって続落。107円台後半での保ち合い推移が続き、NY朝には米7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の好結果を受けて107円700銭台から108円00銭台まで急上昇したのがこの日の高値。NY午後にはNY連銀ウィリアムズ総裁発言を受けて急反落、クラリダFRB副議長発言や米イラン関係の緊張リスクなどもあり107円20銭近辺まで下落。今朝の東京市場ではNY連銀のコメント発表を受けて107円60銭まで急反発もその後は40銭台へと上げ渋り。107円80銭台のサポート水準を割り込んだことで売り圧力も強まり、ややフライング気味ながらも下値トライ優勢の展開へ。目先は6月安値106円80銭近辺までが下値目安となり、さらに緩和、利下げ継続などの材料があれば一段安で6月安値から7月高値までの1.618倍返しとなる105円台前半までが次の下値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/18終値とチャート
19日の国内金価格は+33円、0.62%の続伸。11日の5300円を上回り、1週間ぶりに近年最高値を更新。NY金の一段高への流れは巻き戻されるどころかいきなりの目標水準到達となって国内価格を押し上げ。6月末以降、オシレータ系指標は上値を切り下げ続け、価格水準は上値を切り上げ続けるいびつな推移となり、逆行現象からの急反落への警戒感も高まる状況に。純粋に高値保ち合い上抜けの状況からは5370円台までの上値余地も、ただしNY金も一服感が生じやすい状況となり、上値は限定的となる可能性も。
週間ベースでは+72円、1.37%高で8週続伸。8週続伸は2016年1月から3月にかけて以来、3年4カ月ぶり。
プラチナ価格は+5円、0.16%高で4日続伸。5月17日(3152)以来、2カ月ぶり高値水準での小幅高が続く状態に。チャート形状的にはアップアップ状態の金価格に対して、安値圏から反発基調が続いてその堅調度合いは増しつつあるプラチナ価格。ただし、上値目標3200円に向けてはその距離がなかなか縮まらず、やや失速感も。200日移動平均線(3171)が目先の抵抗線にも。
週間ベースでは+72円、2.34%の大幅反発。
※参考:金プラチナ国内価格7/19とチャート
2019年7月19日(金)時点の相場
国内金:5,322 円 7/19(金) ▲33(0.62%)
国内プラチナ:3,152 円 7/19(金) ▲5(0.16%)
NY金:1,428.1 ドル 7/18(木) ▲4.8(0.34%)
NYプラチナ:849.9 ドル 7/18(木) ▲2.8(0.33%)
ドル円:107.25 円 7/18(木) ▼0.67(0.62%)
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