更新日:2019年8月7日(水)
米労働省が発表した6月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は734.8万件。市場予想の732.6万件は上回りましたが、5月の738.4万件からは減少し、2月(714.2)以来4カ月ぶりの低水準。この1年間では3番目の低水準となっています。
最後に過去最大を更新したのは昨年11月(762.6)で、以降7カ月連続でこれを下回る水準にとどまります。6カ月平均でもピークは1月(750.95)で、6月は739.08万件で昨年10月(738.13)以来8カ月ぶり低水準。
また、前年同月比では2018年1月から今年1月までは10%台から20%台の2桁増が続いていたのに対し、2月以降は1桁台で更に急減、6月は-0.61%。前年同月比でマイナスとなるのは2017年3月以来、2年3カ月ぶり。
求人件数の伸び悩みは続き、減少フェーズへと移行の兆しの様相も呈してきています。
それでも昨年3月以降は求人件数が失業者数を上回る状態が続いています。
ただ、失業者数は4月に582.4万人と18年ぶり低水準となった後は増加傾向となり、7月には606.3万人。
求人件数と失業者数との差は昨年11月には160.8万件まで拡大したのが最大で、それ以降は停滞、6月にはその差137.3万件となり、2カ月連続の縮小となってこれも頭打ちの兆し。
米中対立激化などを背景に、市場では一度は後退した年内追加利下げ観測が再燃しているのに対し、ハト派の急先鋒、セントルイス連銀のブラード総裁はこの日「貿易戦争をめぐる不確実性への対応は既に講じている」との見解を示してややトーンダウン。「年内の追加利下げはあと1回のみ」との見通しも表明。
再び市場とFRBの思惑との乖離が広がりそうな気配も。
しかし、完全雇用状態となっていた労働市場にも、年後半に向けてさらに減速傾向が見られるようになれば、年内追加利下げあと2回という市場の思惑にFRBが寄せてくる展開も予想されます。
6日のNY金相場は+7.7ドル、0.52%高で3日続伸。2013年4月12日(1501.4)以来、6年4カ月ぶり高値水準での堅調推移。中国の為替操作国認定に伴う米中対立激化懸念によるリスク回避の流れは一時的にとどまり、東京時間午前のうちから急速に巻戻しの展開に。1480ドル台半ばまで水準を切り上げていたNY金も急反落となって一時1470ドル割れ。しかし米10年債利回りの反発も限定的となり、失速するドル高の流れにも呼応するようにNY市場にかけては1480ドル台へと再浮上。年内追加利下げ観測再燃にサポートされ、やや行き過ぎの堅調状態に。ただ、1500ドルの大台までは抵抗感もなく、わずかな材料、きっかけで、あるいは勢いでワンタッチという展開もありか。
NYプラチナは-4.7ドル、0.55%安となって3日ぶりの反落。4日連続で90日移動平均線(847.4)に下値を支えられ、3日連続860ドル台前半で上値を押さえられる小幅保ち合いで重要な攻防を展開中。90日移動平均線超を維持できれば、徐々に地合い好転へも、できなくなれば下値再トライの展開でまずは830ドル付近までの一段安が見込まれる状況に。
金との価格差は2日連続で過去最大を更新、618.6ドルから631ドルへ。
ドル円は80銭強のドル高円安となって4日ぶりの大幅反発。東京朝の急落でつけた105円50銭台がこの日の安値となってリスク回避の巻戻しが急速に進む展開に。中国人民銀行が設定する基準値が実勢相場よりも元高ドル安方向に設定され、過度な通貨安誘導を抑制しているとの思惑も働き、1ドル=7元を超えた人民元安がそれ以上には進行しなかったことも危機感縮小につながった様子も。それでも米中対立激化と景気への悪影響懸念、FRBの追加利下げへの思惑などもあり、上値の重い状態も変わらず。107円にワンタッチしたドル円は106円台半ばでの揉み合い推移に終始。104円に向けての一段安リスクはいったん終息し、105円台半ばが当面の安値となる可能性もあり、年初のフラッシュ・クラッシュでつけた104円台からの二番底を形成する可能性も。なお、105円半ばを割り込んだ場合でも下値目安は104円台後半までにとどまってやはり二番底へ、という形にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/6終値とチャート
7日の国内金価格は+48円、0.9%の続伸。約40年ぶり高値を2日連続で更新。近年最高値圏での斜行三角保ち合いを形成し、下方ブレイクの兆しからの大幅調整への警戒感を振り切っての高値再更新が続く状態に。結果的に斜行三角保ち合いは崩れ、上昇チャネルを形成してさらにこれも上抜けへと想定を超える強気相場状態に。到達確率はやや低めとも思われた短期上値目標5450円に向けた流れが急速に進行中。ただし調整幅も拡大しやすく、5270円台の節目水準までの範囲内では短時間での大幅調整も。
プラチナ価格は+17円、0.55%の続伸。今年安値から7月高値までの61.8%戻し(3092)付近で下げ止まり、これがいったん当面のサポート水準となり、21日移動平均線(3156)から90日移動平均線(3180)までの水準が地合い回復に向けてのポイントに。3090円のサポートを割れると3050円近辺までが次の下値目安に。
金との価格差は2244円から2275円へ、2日連続で過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格8/7とチャート
2019年8月7日(水)時点の相場
国内金:5,400 円 8/7(水) ▲48(0.90%)
国内プラチナ:3,125 円 8/7(水) ▲17(0.55%)
NY金:1,484.2 ドル 8/6(火) ▲7.7(0.52%)
NYプラチナ:853.2 ドル 8/6(火) ▼4.7(0.55%)
ドル円:106.42 円 8/6(火) ▲0.81(0.77%)
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