更新日:2019年8月8日(木)
6月後半、1300ドル台半ばで推移していたNY金は月末にかけて1400ドルを超え、8月に入ると一段高となって1500ドルの大台超え。わずか1カ月半で150ドル以上水準を切り上げる急騰局面を形成し、6年4カ月ぶりの高値水準に達しています。
その6年4カ月前、2013年4月上旬には1500ドル台半ばから後半で推移していたNY金、4月11日の1564.9ドルから翌12日金曜日には1501.4ドルへと63.5ドル、4.06%の大幅下落となり、さらに翌営業日となる週明け月曜日、4月15日には1361.1ドルへ、140.3ドル、9.34%の暴落。わずか2営業日で200ドル超、13%もの暴落となって大きく水準を切り下げました。
この2日間の暴落で切り下げた値幅を、今回は1カ月半かけて、ようやく取り戻したことにもなります。
米FRBのQE縮小見通しが台頭し、緩和政策の終了が意識され始めた年に大きく水準を切り下げたNY金は6年後、FRBの利上げがストップし、1回目の利下げを敢行して引き締め政策から緩和政策へと舵を切り始めた可能性も意識され始めた年に、6年間の下落分をほぼ取り戻すことになりました。
7月FOMCで今年1回目の利下げを決めたことにより、これと前後して世界的にも安心して景気対策としての利下げがしやすくなり、各国中銀が一斉に利下げを敢行。この日はニュージーランド準備銀行が過去最低となる1.00%へと利下げ、インド中銀も4会合連続利下げで5.40%へ、タイ中銀も追随して1.50%へと利下げ。先月には韓国、インドネシア中銀なども数年ぶりに利下げへと踏み切りました。
今後は豪州、ECB、欧州各国や英国などでも利下げが予想され、世界的に景気対策として緩和政策へと傾斜する状態となり、世界的低金利時代を迎えようとしていることも、金価格を大きく押し上げる材料となっています。
FOMCでの今年1回目の利下げは、1カ月前には100%織り込む状態となっていました。9月中旬の次回FOMCに向けて1カ月前に差し掛かる現在、今年2回めの利下げを100%織り込む状態となってきました。
現時点で90%織り込んできた今年3回目の利下げ、11月までに100%に達することになれば、12月FOMCで今年3回目の利下げ、が現実味を帯びることにもなりそうです。
そんな思惑も背景に、金価格は1500ドルの大台を超えてきました。
7日のNY金相場は+35.4ドル、2.39%の大幅高となって4日続伸。上昇幅としては6月20日(+48.1ドル、3.57%)以来、1カ月半ぶりで今年2番めの大幅上昇。8月に入ってからの勢いそのままに、東京時間に一段高となって1500ドルにワンタッチ、欧州時間には1500ドル台へとしっかり水準を切り上げるとNY市場では1520ドル台を何度も試す展開に。ただし、急騰一服となったNY引け後には1510ドル割れへと反落の兆しも。複数のオシレータ系指標では6月末ピーク水準を超えないダイバージェンスを形成し、通常であれば反落警戒感が大いに高まる状態。5月安値1267.3ドルからこの日の高値1522.7ドルまで約3カ月で255.4ドル上昇しており、23.6%戻し(1462.4)辺りまでの大幅調整はいつ入ってもおかしくはない状況にも。
NYプラチナは+17.8ドル、2.09%の反発。5日連続850ドル割れの水準で下値を支えられると、860ドル台前半の抵抗水準は攻防4日めのNY市場で突破、1週間ぶりに870ドル台へと一段高。ただし、NY引け後には金の失速にも連れて870ドル割れ。7月末の高値保ち合い水準870ドルから880ドルのレンジがいったん抵抗水準にもなる形にも。この水準をしっかりと回復し、880ドル超へと抜け出すことができれば一段高の展開も予想され、4月につけた今年最高値920ドルが上値目標にも。
金との価格差は3日連続で過去最大を更新、631ドルから648.6ドルへ。
ドル円は30銭ほどのドル安円高となって反落。3日連続で安値は105円50銭台、この日NY時間につけた安値では105円50銭ちょうど付近となって年初以来7カ月ぶりの安値。世界的景気減速懸念はそう簡単には払拭できそうにない状態でもあり、リスクオフの巻戻しのサイクルは長続きしない状況のようにも。トランプ大統領のFRBへの利下げ圧力はとどまる気配もなく、一部FRB関係者からもさらなる緩和を正当化する発言も聞かれ、金利とドルの重石となりやすい状況に。NY午後には米10年債利回りの反発や米株の下げ渋りなどにも連れてドル円は106円台回復も、目先は106円台半ばが抵抗水準となってきた様子も。この水準を超えることができれば107円台半ば辺りまで水準を切り上げる展開にも。下値は105円半ばがやや堅めのサポート水準となりつつあり、これを割り込むようだと年初の安値104円台半ば辺りまでが次の下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/7終値とチャート
8日の国内金価格は+87円、1.61%の大幅高で3日続伸。上げ幅としては7月3日(+126円、2.44%)以来、1カ月ぶりで今年3番目の大幅上昇となり、近年最高値を3日連続で更新。到達確率低めと思われた短期上値目標5450円にもしっかり到達し、さらに大きく突き抜ける形に。世界的低金利時代へと向かう状況が金利を産まない金の買い材料となる状態も、短期的にはやや行き過ぎの領域にも。調整の目安としては5月末安値から今回高値までの23.6%戻し(5330)がちょうど7月末の保ち合い上限にも相当。
プラチナ価格は+30円、0.96%高で3日続伸。中期的には6月安値から徐々に下値を切り上げる上昇基調が継続、しかし短期サイクル的には調整局面から抜け切れていない状態。右肩上がりの21日移動平均線(3162)を追いかける状態から、これを追い越して90日移動平均線(3179)付近を回復できれば上値トライ再開も意識される状況にも。
金との価格差は2275円から2332円へ、3日連続で過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格8/8とチャート
2019年8月8日(木)時点の相場
国内金:5,487 円 8/8(木) ▲87(1.61%)
国内プラチナ:3,155 円 8/8(木) ▲30(0.96%)
NY金:1,519.6 ドル 8/7(水) ▲35.4(2.39%)
NYプラチナ:871.0 ドル 8/7(水) ▲17.8(2.09%)
ドル円:106.10 円 8/7(水) ▼0.32(0.30%)
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